恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館や周辺ギャラリーなど複数ヶ所で毎年開催される恵比寿映像祭も今年で15回目です。東京都写真美術館ことTOP Mueseumだけでなく恵比寿はもちろん、中目黒や代官山など地域連携プログラムを見て回るのも楽しみの一つです。今年はどんな作品が観られるのか。
東京都写真美術館、日仏会館をはじめ9箇所の近隣ギャラリーをレポートします。
ただし、写真美術館内には写真撮影不可の作品もあるので全作品の紹介はできません。
最終日の前日に行ったら撮影可能の作品が増えていましたので追記しています。
▲毎回恒例のシールラリーでもらったエコバッグ。各所にあるシールを3つ集めると写真のエコバッグがもらえます。
PR東京都写真美術館
恵比寿映像祭の主催であり、メイン会場の東京都写真美術館から紹介します。
写真美術館の地下、2階、3階と全ての展示室が恵比寿映像祭の会場です。
地下<会期終了>
10組のアーティストの作品が展示されています。このフロアで一番おすすめしたいのはフィオナ・タンです。
しかし、残念なことに写真撮影が禁止なので展示風景をお見せすることはできません。
フィオナ・タンは2014年に東京都写真美術館で「まなざしの詩学」という個展を開催しています。
その際のフライヤーになっていた作品と久しぶりに再会することができました。
また、フィオナ・タンの作品は映像が2点と平面が1点が観られます。おすすめです!
撮影可能に変更されていました。再訪しなかったら気づかなかったことです。やっぱり何度も通うべきだなと実感しました。
▲築地仁、北代省三の写真作品
真っ暗な空間で見る梅沢英樹+佐藤浩一の3画面の映像作品もとても良かったです。
2階<会期終了>
2階の展示室に入ってすぐに大音量で音楽が漏れ聞こえてくるのは、ルー・ヤンの映像作品です。
▲ルー・ヤンが手がけるDOKUシリーズの最新作には中銀カプセルタワービル?!のような建物が出てきます。
▲Houxo Queのパイプが突き刺さったディスプレイ。
パイプが突き刺さりひび割れているけれど音もなくただ光だけを放つディスプレイの数々はなんだか痛々しい。
▲静止画かと思ったけれど、凝視しないとわからないくらいゆっくりと、そして滑らかにスライドしています。
▲2台のカメラを使って制作された映像作品は、不思議な世界観に包まれています。
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3階
3階では今回からスタートしたコミッションプロジェクトの展示が行われています。この展示のみ3月26日まで展示されています。
コミッション・プロジェクトとは、日本を拠点に活動するアーティストを選出し、制作委嘱した映像作品を“新たな恵比寿映像祭”の成果として発表するものです。
今回は4人のアーティストが選出されています。
▲葉山嶺はネズミの体内を旅するような映像作品です。
▲葉山嶺の作品
▲荒木悠のコピーバンドを題材とした作品
写真撮影が禁止だったので写真はありませんが、大木裕之の映像作品にしれっとあの女優杏の元夫で俳優の東出昌大▲が登場してびっくりしました。
特にクレジットとかされていなかったようですが。週刊誌に書かれていたように本当に山の中で過ごしていましたよ。
この作品も2/18に再訪したら撮影可能になっていました。
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撮影について
今回東京都写真美術館では、写真撮影可能な作品だけキャプションに写真マークがついています。ノーマークの作品は撮影禁止です。動画撮影は全て禁止です。撮影可か不可は作品ごとではなく作家ごとです。
複数出品の作家で撮影可能な場合は、その作家の作品全部撮影可能、その逆も然りです。2/18に再訪したら撮影可能作品が増えていました。
恵比寿ガーデンプレイスセンター広場<会期終了>
毎回大掛かりな作品の展示が行われる広場の作品です。今年は東京2020オリンピックのロゴマークをデザインした野老朝雄と平本知樹、井口皓太3人による《FORMING SPHERES》です。
いつもそうですが、恵比寿映像祭の広場の作品は夜の方がいいです。
▲中央部分に入ることはできません。今年はいつもよりも少し小規模でおとなしめな作品でした。
▲日中は、残念ながら装置が目立っていて床面は何も見えずあまりよくわかりませんでした。
以上が写真美術館の展示です。
このブログに掲載した作品は全て入場無料で鑑賞できます。
基本情報
恵比寿映像祭2023「テクノロジー? Technology?」
2023年2月3日(金)~2月19日(日)月休 3階コミッション・プロジェクトのみ〜3月26日まで 10:00~20:00(最終日は18:00まで) 2月21日~3月26日(コミッション・プロジェクト展示)は10:00~18:00/木・金は20:00まで 入場無料(一部有料プログラムあり) 目黒区三田1丁目13−3 恵比寿ガーデンプレイス内 MAP アクセス:JR恵比寿駅東口より徒歩約7分、東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分 |
YEBIZO MEETS 地域連携プログラム
地域連携プログラムは全網羅していませんが、1箇所を除いて巡ったのでレポートします。
各会場ごとに開館時間、休館日は異なります。
日仏会館ギャラリー<会期終了>
オートメイテッド・フォトグラフィ
2023年2月3日 – 2023年2月19日 10:00-20:00 (最終日のみ18:00まで)
毎回1人のアーティストの個展形式の展示がされている印象ですが、今回はECAL/ローザンヌ美術大学の写真修士課程の学生の作品展示です。
▲この会場も夜の方が見やすいかもしれません。
▲気になったのはベッヒャーの作品から着想を得たこの作品です。
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MA2 Gallery
小瀬村真美 Before the Beginning
2023年2月3日 – 2023年3月4日 13:00-18:0
今回の一番のおすすめはここMA2ギャラリーです。
今回もまたとてもいい!小瀬村さんご本人も在廊されていて直接色々とお話を聞くことができました。
絵画のような写真作品は、元になった静物画があり、その静物画のシチュエーションの一部をそっくり再現して写真に撮ったものです。
元になった静物画には、テーブルの上にさまざまなものが置いてあるのですが、小瀬村さんはテーブルとその上の布だけ、あるいは布と皿2枚だけを抽出して撮影しています。
▲この作品、実は映像作品です。今回の展覧会には写真作品と映像作品の両方があります。この映像作品の元になったのが下のオランダ人画家が描いた静物画です。
▲この静物画の牡蠣の部分をクローズアップしています。映像として、何がどう動くのかは実際に鑑賞してみてください。
小瀬村作品は、どれも一様にどこか悲しげで儚げで、とっても美しい。
テーブルから落ちる寸前の布の表情の美しさたるや。布の表情がとても好きだとご本人もおしゃっていただけあって、かなりこだわっているのがよくわかりました。
小瀬村展は、いつもいつも独自の視点で制作された美しい作品に心震えます。
小瀬村さんは2021年にもこのMA2ギャラリーで2人展という形で、恵比寿映像祭に参加しています。その時のモノクロの映像作品もとんでもなく美しく印象的でした。今回もあの感じかと思いきや、全く違う切り口でした。
いい意味で裏切られた美しい作品の数々に魅了されました。
▲2階には静物画を再現するために用意された小道具が実際に展示されています。皿の向こうの黒い点はなんとハエ。
▲ここにもガガンボ!
そうなんです。この展覧会、所々に虫がいるんです。それも飛び立つ瞬間だったり、着地の瞬間だったり、今にも動き出しそうな感じでいろんなところに虫たちがいるので見逃さないように!
▲今回の恵比寿映像祭で一番好きなのはこの小瀬村展でした。激しくおすすめです。近いからもう1回行こうかな。
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工房親、MuCul
隣り合っている二つのスペースです。
▲工房親 Anais-Karenin: Mediate Plants
2023年2月1日 – 2023年2月24日 水〜土12:00-19:00 日祝12:00-18:00(最終日は17:00まで)
▲MuCuL みかがみ 佐藤慶子
2023年2月3日 – 2023年2月19日 13:30-18:30
NADiff
NADiff Window Gallery vol.87 シシヤマザキ 店内展示
2023年2月2日 – 2023年2月26日 13:00-19:00
2021年の恵比寿映像祭では写真美術館内での展示でした。今回はナディッフにいます!
MEM
金村修展 Can I Help Me?
2023年2月2日 – 2023年2月26日 13:00-19:00
▲壁面に貼られた大量の写真に映像が投影されているインスタレーション
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N&A Art SITE
タイジ・テラサキ Paradise Reborn: Rewilding Palmyra ー楽園の再生:パルミラ環礁の再自然化ー
2023年2月3日 – 2023年2月24日 12:00-17:30
スマホでARも見れますよ!
Art Front Gallery
ディストピア:記憶の変遷
2023年2月3日 – 2023年3月5日 水〜金12:00-19:00 土日祝11:00-17:00
映像作品は、副島しのぶ、釘町彰、ムニール・ファトゥミ、カールステン・ニコライ、ジャンナ・カディロワが出品
造形作品はカネコタカナオ、エコ・ヌグロホ、エカテリーナ・ムロムツェワ、川俣正、元田久治、冨安由真、藤堂などが見られます。
AL<会期終了>
Law-technology? High-quality! Yoshihiko Satoh, MEGANE, Yuko Mohri
2023年2月2日 – 2023年2月12日 11:00-19:00 最終日は18:00まで
▲パフォーマンスもあるようです。
POETIC SCAPE<会期終了>
兼子裕代 APPEARANCE
2023年2月3日 – 2023年2月19日 13:00-19:00
中目黒駅から徒歩11分というなかなか立地のギャラリーですが、到着すると温かいお茶を振舞ってくれて、とてもいい雰囲気のギャラリーでした。
以上地域連携プログラムの様子でした。
一応上映プログラムではなく展覧会形式の場所にはほぼ全て足を運んでみました。
私の一押しは、MA2Gallleryの小瀬村真美展です。これは必見です!!
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