資生堂ギャラリーが2006年より始めた新進若手アーティストの公募展のshiseido art egg の16回目がスタートしました。これまでに宮永愛子、久門剛史、冨安由真など現在大活躍するアーティストを数多く発掘してきた現代美術の登竜門の一つです。
毎回3人が選出され、各々約1ヶ月の展覧会会期が設定されています。
16回目は岡 ともみ(おか ともみ)、YU SORA(ゆ そら)、佐藤 壮馬(さとう そうま)の3人が入選しました。
最初に展覧会を開催するのは岡ともみです。(会期終了)
▲リカルド・ボフィル設計の真紅のビル。1階に資生堂パーラーが入るビルの地下にギャラリーはあります。
サカサゴト
岡ともみの展覧会は「サカサゴト」です。
サカサゴトとは、死者が出た際に日常の様々な動作を逆に行う風習で、アーティスト自身の祖父が亡くなった時の葬儀で体験したことがきっかけとなっています。
具体的にいうと、あの世とこの世はあべこべで、こちらが夕ならあちらは朝、こちらが朝ならあちらは夕、着物の合わせがこちらが右前なら、あちらは左前という逆の発想です。
そのサカサゴトの風習の経験を元に、日本各地に残るさまざまな風習を紐解き、形骸化しつつある葬送の形や死との向き合い方について再考するというのが岡ともみの作品のコンセプトです。
展覧会
地下の会場に向かう階段の踊り場に、今や見かけることのなくなった懐かしいダイヤル式の黒電話があります。
その電話の受話器をとってみると‥。もしかしたら、この電話はあの世につながっているのでしょうか。
▲暗い踊り場で黒電話だけにスポットライトが当たっています。
受話器をとってみることが可能です。
逆回転の古時計
地下のギャラリーには柱が浮かんでいて、そこには、これまた黒電話同様に、ほとんど目にしなくなってきた古時計がかけられています。
▲そして、これら時計は皆、秒針が逆回転しているのです。
▲文字盤の下の振り子の部分に、各々映像が仕掛けられています。
そこには、日本各地に残る死にまつわる風習を表現した映像作品をみることができます。
紫陽花
奥のスペースにはアーティストの個人的な経験である祖父の死を元にした作品が展示されています。
▲上には黒電話、下には祖父の死の象徴となった紫陽花をモチーフとした作品です。
撮影について
今回の展覧会は通常の展覧会同様に、写真撮影、動画撮影が可能です。
資生堂ギャラリーの公募プログラム資生堂アートエッグの第16回の展覧会は、YU SORA(ゆ そら)3/7-4/9、佐藤 壮馬(さとう そうま)4/18-5/21と続きます。
今後の展覧会も楽しみです。
基本情報
第16回shiseido art egg 岡ともみ展「サカサゴト」
2023年1月24日(火)~ 2月26日(日)会期終了 火~土11:00~19:00 日祝11:00~18:00 月休 入場無料 資生堂ギャラリー 中央区銀座8丁目8−3 資生堂銀座ビル B1F MAP |