ペインティング、コラージュ、写真、シルクスクリーンなど様々な技法を⽤いて精⼒的に作品を発表している若手女性アーティスト大竹彩子の個展が、恵比寿のNADiff A/P/A/R/Tの地下NADiff Gallery(ナディッフギャラリー)及び1階店舗内を使って大々的に展開されています。
近くなので早速足を運んで見ました。
展覧会
大竹彩子の展覧会は、通常のNADiff Galleryだけでなく、昨年開催された大山エンリコイサム展の時のように、NADiffの店舗全体を使った展覧会です。
早速見て観ましょう。
1階店内
NADiff A/P/A/R/Tの建物の中に足を踏入れる前から、もう大竹彩子展は始まっています。
▲NADiffの特徴でもある大きなガラスのファサード越しにモノクロの作品が見えています。
いつものNADiffだとこの場所はこの場所で地下のギャラリーとは別の特集が組まれていたりすることもあるのですが、今回はここから展覧会会場であり、ギャラリー然とした空間になっています。これで大竹彩子展に対するNADiffの力の入れ具合がよくわかります。
店舗の中に入ってレジ横のスペース、ここも当然大竹彩子作品です。
額装されたシルクスクリーンの作品は、カラフルでどこか懐かしさを感じる女性像です。
シルクスクリーンは版画の種類で、同じ版で100枚くらい刷ることも珍しくない技法ですが、大竹彩子のシルクスクリーンは、エディションが8とか10でとても少ないので、希少性が高いですね。(エディションというのは、限定枚数のことでエディション8ならば8枚しか刷っていないという意味です)
▲地下のギャラリーに進む時に店内をスルーしてはいけません。横の壁面にも作品が展示されています。
この作品はシルクスクリーンですが、紙ではなく、キャンバスに刷った作品です。
▲1階奥にはいつもはない、壁が立てられこちらにもキッチュでカラフルなシルクスクリーンの数々が展示されています。
螺旋階段前
地下へ降りる螺旋階段の手前のスペース、NADiff入店前のファサードから見えていたスペースです。
ここは、モノクロのコラージュ作品で統一されています。
▲そして、階段の上部にも小品が展示されています。
▲独創的な女性像です。
勝手な印象ですが、迷いなくサラサラと描かれた絵なのだろうと感じます。
真っ白な紙やキャンバスを前に悩み苦しみ抜いて描くというのではなく、呼吸をするように当たり前の行為として作品制作をされているような気がします。
地下ギャラリー
地下ギャラリーには螺旋階段に上部にあった小品と同様の小さなコラージュ作品が並んでいました。
▲この作品は、今回の展覧会のアイキャッチ画像になっている作品です。
▲一つ一つ作品に合わせて違うカラーのフレームにおさめられています。
父はあのアーティスト
ここまで観てきて、すでにお気づきの方も多いでしょう。大竹彩子は愛媛県宇和島生まれの女性アーティストです。
宇和島生まれでこの画風で苗字が大竹。そうです。あの大御所アーティスト大竹伸朗の長女なのです。
次女の大竹笙子も同様にアーティスト活動をされています。
▲NADiffの店内では父大竹伸朗のガチャ景やニューシャネルと一緒に娘大竹彩子の作品やグッズが並んでいます。
また、NADiffは今や蔦屋書店のCCCの傘下になってしまいましたが、元々は、西武グループのアート系書店&グッズを取り扱うアールヴィヴァンにいた方が創立した会社です。
創立者はすでに亡くなっていますが、西武グループのアールヴィヴァンには、大竹彩子の母、すなわち大竹伸朗の奥様が勤務されていたという縁もあります。
アーティストグッズ
今回の展覧会は、作品だけでなく大竹彩子の手がけるさまざまなグッズも購入することができます。
▲中央に飾られているのは、なんとスカジャン!確かに大竹彩子の作品とスカジャンは親和性が高いですね。
しかも黒のベッチン地に絵柄が白い刺繍で描かれており、スカジャンなんだけれどとんでもなくモードです。
他にTシャツやトートバッグもあります。
▲また、ライフワークのように制作し続けているフォトブックの数々も見ていてとても楽しいです。
PARCOでの展覧会
私自身は、2020年にPARCO MUSEUMで開催された個展以来の鑑賞でした。
少しだけその時の展覧会の様子を。

▲この展覧会では、大型の作品がたくさん展示されていて、圧倒されました。
▲もう3年前の展覧会ですが今見ても、作品は一貫していて全くブレてないですね。
ちょうどお父上である大竹伸朗の東京国立近代美術館の展覧会に3回ほど足を運んだ後でしたので、父娘の作品を同時に堪能できて感慨深いものがありました。
大竹彩子は、ぎりぎり昭和生まれとはいえ、その人生のほとんどを平成で過ごしているはずなのに、作品に流れる空気に昭和を感じるのは、父の影響が少なくないはずです。
そりゃそうですよね、親ではなくても大竹伸朗に影響されているアーティストは美術の分野に限らず星の数ほどいるんです。生まれた瞬間から当たり前のように大竹伸朗作品に囲まれて育ったら、影響されない方がおかしいです。
どことなく大竹伸朗の影響を感じつつも、そこには大竹彩子独自の世界観があって今後の活躍がまずます楽しみですね。
基本情報
大竹彩子 SAIKO OTAKE「VIVITONE」 |