南青山には建築とアートをまたぐ専門書店「新建築書店/POST Architecture Books」という新建築社とPOSTがタッグを組んだ新コンセプトの書店がオープンしていますが、その本店ともいえる恵比寿のアートブック専門書店「POST」を訪問してみました。
新建築POSTは建築とアートをまたぐ領域が専門という位置づけでしたが、POSTはそれに加え写真などの領域もカバーしています。
POST
このアートブック書店POSTは恵比寿の住宅街の一角にあります。飲食店が多く賑やかな駅前と違って、オシャレな雑貨屋さんやセレクトショップなども多い恵比寿らしいエリアです。
そんな場所で2002年にスタートした古書&インテリアショップが「limArt」、書店POSTの前身です。そしてその後2011年にブックショップ「POST」がオープンします。
POSTの代表中島佑介氏がこのようなお店を始めたきっかけの一つに、学生時代ワタリウム階下のアートショップon sundaysでバイトしていたというからすごく納得しました。
現在中島佑介氏は、2015年からアートブックの大人気イベント「TOKYO ART BOOK FAIR」のディレクターに就任しています。
POSTの特徴は、定期的に扱っている本が入れ代わる新しいタイプの書店であることです。しかも扱う本は出版社という括りで特集し、普通の書店では見えにくい「出版社」の世界観を感じながら本を購入できるようになっているのです。
また、近年は新建築POSTだけでなく、初台のオペラシティギャラリーのミュージアムショップの位置付けのgallery5の運営もPOSTです。さらに銀座のドーバーストリートマーケット内にもコーナーを持っています。活躍目覚ましいですね。
新建築POST▼
Gallery5の記事は後半に掲載されています。▼
POSTの店内
恵比寿の住宅街のちょっと古めの一軒家の1階がPOSTです。
それでは店内の様子を見ていきましょう。
▲店内は新刊、古書の区分、そしてアート、建築、インテリア、プロダクトデザイン、写真という領域によって本棚が区切られています。
ただあまり厳密でもないようです。
そして例えば本棚によっては著者の名前のABC順だったり、本の背の高い順だったりで並んでいます。逆に言うとこれはこれでアーティストと読者の思いがけない出会いを作り出す仕掛けなのかもしれません。
店内の入口側(写真では手前)がアート関連、奥の右が建築関係、左が写真関係という大区分がされています。
この机には左からヨゼフ・ボイス&マルセル・デュシャン、ゲルハルト・リヒター、河原温と並んでいてアート関連のエリアだなと分かります。
またほとんどはいわゆる洋書。海外の出版社から刊行されたもので、Amazonでの扱いもないような書籍が多く、あのアーティストの作品集はないかなぁという時に訪れておきたい書店の一つです。
▲ポップな可愛い照明が付けられた棚は、いつもは出版社ごとの特集コーナーとなる本棚です。
▲訪問した際は通常の本棚として使われていましたが、出版社の特集を行う時は、この棚に同じ出版社の書籍がずらっと並ぶことになります。それはなかなか見られない光景ですね。
POSTのギャラリー
POSTの一番奥には小さいながらもギャラリースペースがあり企画展などが開催されています。
▲訪問した時はフランス在住のアーティスト、森田幸子の作品集「Time in Air, Time in Paper」の刊行記念展が終わったばかり。
自作印画紙にペイントするという写真でもあり絵画でもある森田幸子の作品は初めてみるものばかりでしたが印象に残ります。
POSTの店舗
POSTはその書籍の在庫だけでなく、店舗の作りなどにもセンスとこだわりが感じられます。
▲この白くて古い一軒家をリノベーションした店舗です。
ドアを開けて中に入るとBookshop Day支援のポスターが貼られていたりします。
店頭のガラス窓には古今東西の書籍にまつわる名言や格言が書かれています。
上から孔子(思想家)、カフカ(小説家)、アラブの格言、スーザン・ソンタグ(作家・評論家)、リチャード・ヒーバー(書籍蒐集家)、トーマス・フラー(聖職者で歴史家)の言葉です。どれも含蓄のある言葉なのでPOSTを訪れたらこの窓の言葉もじっくり読んでみてください。
アートブック専門書店「POST」。次は、ぜひ奥のギャラリーも鑑賞したいと思います。
基本情報
POST
月曜定休 11:00 – 19:00 渋谷区恵比寿南2丁目10−3 MAP アクセス:東京メトロ日比谷線広尾駅 徒歩5分、JR恵比寿駅 徒歩10分 |