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ヤノベケンジがふたたび岡本太郎記念館をジャック!「太郎と猫と太陽と」展。GINZA SIXとの連動企画。


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南青山の岡本太郎記念館が現代芸術家のヤノベケンジにジャックされています。

実はヤノベケンジにジャックされるのは2011年に続き2回目。前回が「SUN CHILD」をフィーチャーしたもの、そして今回は「BIG CAT BANG(猫大爆発)」をテーマにした《太郎と猫と太陽と》展。

しかも、肝心のBIG CAT BANGはGINZA SIXの吹き抜けで公開中で、つまり岡本太郎記念館とGINZA SIXの ”ふたつでひとつ” の展覧会なのです。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲GINZA SIXでは主役である「BIG CAT BANG」が空間を圧倒し、こちらの岡本太郎記念館ではその背景にあるストーリーとディテールが語られるという構成です。

どちらか一方だけでは文字通りの片手落ちなので、GINZA SIXでヤノベケンジに圧倒された方はぜひ青山の岡本太郎記念館にも足を運んで背景にあるその壮大なストーリーに身を浸してみてください。

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太郎と猫と太陽と 第一展示室

展覧会のタイトルにある ”太陽” はSUN CHILDの太陽ではなく、大阪万博での「太陽の塔」のことです。

今は渋谷駅に展示されている「明日の神話」といった作品で知られ、レディ・ガガなど世界的にも多くのファンがいる芸術家、岡本太郎の名を多くの人に知らしめたあの太陽の塔です。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲ヤノベケンジはその太陽の塔に別の意味を与え、まさに太陽の塔を乗っ取っているのです。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲太陽の塔の本当の目的は? なぜ猫たちが宇宙服を着ているのか?

岡本太郎が追求した生命の根源とは?

そんな疑問に応える壮大なストーリーがあるのです。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲太陽の塔のように見えるのは宇宙船「LUCA」号。

それが運ぶのは「生命の種」。

どこから? 何のために?

太郎と猫と太陽と 第二展示室

続いて第二展示室へ。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲第2室はヤノベケンジの《太陽の塔、乗っ取り計画》とその創作スケッチ、関連映像の上映です。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲2003年にヤノベケンジが太陽の塔を舞台にゲリラ的に敢行した「アイジャック事件」再現パフォーマンス。

1970年の大阪万博で学生が太陽の塔をジャックした実際の事件をベースにしています

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲太陽の塔の目玉部分にSUN CHILDの姿で座るのはヤノベケンジ本人。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲《太陽の塔、乗っ取り計画》の創作スケッチやノートが展示されています。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲第2展示室で上映されているのは「太陽の塔、乗っ取り計画」17分30秒、「太陽の子、太郎の子」3分30秒、「インタビュー」20分。

ヤノベケンジにとっての岡本太郎、太陽の塔、そしてBIG CAT BANGのストーリーとその意味などについて語られますからどの映像も必見です。

全部みると合計41分ですが、椅子(座ることを拒否する椅子ではありません)も用意されていますし、時間を取って全部じっくり鑑賞する心づもりで訪問しましょう

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岡本太郎記念館のサロン

《太郎と猫を太陽と》展を観たら、館内のサロン、アトリエそれと庭の作品も忘れずに鑑賞しましょう。

いつも作品が入れ替わっているので見過ごすことはできないのです。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲《太郎と猫を太陽と》開催中のサロンの様子です。

ここもヤノベケンジにジャックされています。

見慣れない猫たちがあちこちに。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲探せば探すほど見つかる猫。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲おなじみ、季節ごとに衣替えする岡本太郎人形。2024年夏は緑のポロシャツとパナナ帽ですが、昨2023年夏とほぼ同じですね。スラックスだけちょっと色が違うかな。

そしてやはりヤノベケンジにジャックされていて周りは猫だらけ。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲これは2024年前半、麻の涼し気なスーツに水色のネクタイの岡本太郎です

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲これは2023年夏の岡本太郎人形。

グリーンの半袖ポロにスラックス、そしてパナマ帽。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲これは2022年夏の岡本太郎人形。

この時はストライプ柄のシャツにスラックス、そして帽子でした。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲2022年春の「赤と黒」展の時はキャメルカラーのスーツ。ノーネクタイのワイシャツ。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲これは数年前の様子。

ダークスーツだけどネクタイは岡本太郎自身のデザイン。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲これはさらに昔の様子です。

白のスーツにやはり自分でデザインしたネクタイ。なんか旧いフランス映画に出てくるギャングのボスみたいにも見えます

ちなみに、衣装替えの際に使う服は、岡本太郎が生前着ていたものを今も利用しているのだそうです

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岡本太郎のアトリエ

ここ岡本太郎記念館は実際に岡本太郎が住居として使用していた建物なので、当然創作の現場であるアトリエもあり、今も当時のまま残され見学することができます。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲2024年《太郎と猫を太陽と》展の際のアトリエです。

やはりヤノベケンジにジャックされています。猫型のステンドグラス作品ですね。

いつもだったら配置が変わったとか、作品が入れ替わったとか気になりますが、今回はそもそも他人の作品が並んでいるわけですからね。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲ヤノベケンジのステングラス作品は「Journey of Life(SHIP’s CAT)」です。

作品らしい作品はこれ一つです。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲でも猫はアトリエ内のあちこにいます。

目立つところにいるもの、隠れているもの。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲2階の手すりにも!

まさに館内がヤノベケンジにジャックされているのです。

普段岡本太郎記念館を訪問する時でも、サロンやアトリエの様子を確認するのが楽しみですが、「太郎と猫と太陽と」展ではヤノベケンジの猫を探す楽しみが増えました。

庭と太陽の塔

岡本太郎の作品は館内だけでなく、その緑が自然のままに生い茂る庭にも点在しています。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

 

▲いつもは「座ることを拒否する椅子」が置かれ、岡本太郎らしい不思議な造形の生き物などの彫刻作品が無造作に置かれているのですが、この庭もヤノベケンジにジャックされています。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲巨大な猫だけでなく、小さい猫もいます。

庭の空間自体が岡本太郎ワールドとしての一つの作品でもあるのですが、すっかりヤノベワールドに変貌しています。

ちなみに庭は入館料を払ったお客さんだけが入れます。無料ではないので注意しましょう。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

ベランダから庭を見下ろしている太陽の塔。これも見どころの一つですね。

GINZA SIXの猫大爆発

《太郎と猫と太陽と》の主役でもある「BIG CAT BANG」はGINZA SIXの吹き抜けに吊られています。

ヤノベケンジ「BIG BANG CAT」GINZA SIX 写真:建築とアートを巡る

▲全長9mのBIG CAT BANGと周囲を飛び交う猫。

岡本太郎記念館で《太郎と猫と太陽と》を観てその物語やデティールを把握したらもう一度GINZA SIXのこれを見直してみてはどうでしょう。

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写真撮影、その他注意事項について

岡本太郎記念館での撮影は原則として撮影OKです。今回も撮影OKですが他の鑑賞者が写り込まないよう注意しましょう。

ただ、撮影は可能でも作品に手を触れることはNGです。この点は受付でも注意されるので気をつけましょう。たぶん撮影に夢中になって作品に触れてしまう人が多いのだと思います

庭に置かれている椅子は座っても大丈夫です。他では体験できない「座ることを拒否する椅子」の座り心地を試してみましょう。

また岡本太郎記念館にはロッカーはありません。荷物を受付などで預かることもありません。キャリーケースなどは床面を痛めるので持ち込み禁止です。大きな荷物やキャリーケースなどは例えば表参道駅などのロッカーに預けてから訪問することを強く推奨します。

それと本展に限るかもしれませんが、靴はビニール袋に入れて自分で持ち歩くスタイルです。これまでは下駄箱に入れるかビニール袋に入れるか選択できましたが、本展ではビニール袋持ち運びの一択です。

鑑賞時間の目安

第一展示室が10分、第二展示室は映像が40分、それ以外が約10分。最低でも1時間くらい必要です。

さらにサロンとアトリエを見て、庭の作品群を見てとなると1時間半コースです。

もし岡本太郎記念館が初訪問だと、サロンに並ぶ作品の数々、アトリエの空間と作品たち、そして庭の作品群と見どころが多くそれだけでお1時間くらいあっという間に過ぎてしまいます。初訪問の場合は最低でも2時間を目処にすると良いでしょう。

また、この展覧会も岡本太郎記念館も予約不要です。

ミュージアムショップとカフェ

館内1階のホールにミュージアムショップが併設されています。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲岡本太郎の関連書籍、グッズなどが購入できます。

本展開催中はヤノベケンジ関連のグッズも販売されています。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲また「ア・ピース・オブ・ケイク」というパンケーキが美味しいミュージアムカフェも併設されていて、こちらは岡本太郎記念館の入場者でなくても利用が可能です。

近くのAPOCと同じパンケーキが食べられます。

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岡本太郎記念館の建築

岡本太郎記念館は岡本太郎の友人で、ル・コルビュジエの弟子でもある坂倉準三による設計です。

戦前ここは岡本家が渡仏するまで暮らしていた住居だったのですが、空襲で焼失していまい、戦後岡本太郎が再建しています。

全体としては、展示室やア・ピース・オブ・ケイクの入る旧館と、アトリアなどが入る展示棟が隣接して建っています。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲岡本太郎の描いた顔とサインが壁面に見えるこの建物が「旧館」。岡本太郎の希望だという面白い屋根の形がこちら側からだと良く分かりますね。これは冬の写真なのでTAROの文字が見えています。現在は前の木の葉が生い茂りTAROのサインが見えません。

この旧館の1階には「ア・ピース・オブ・ケイクス」や受付にホールなど。2階には第一、第二の2つの展示室があります。

その右に見えるのが「展示棟」。ここにサロンやアトリエが入っています。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲今は2つの建物を無理やり繋げているので、旧館ホールから展示棟サロンへ通じる通路は開口部の寸法が異なり ”頭上注意” の貼り紙だらけ。

でも岡本太郎の作品の世界(旧館)と岡本太郎のリアルな世界(展示棟)を行き来する良いアクセントになっていると思います。

ちょっと待った! 帰る前に

「太郎と猫を太陽と」展を見て、サロンやアトリエを見学し、ミュージアムショップでお土産を買い、庭の作品たちも見て回り、最後にミュージアムカフェでひと息ついて。

さぁ帰ろうという前に、見ておくべき岡本太郎作品はまだありますよ。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

岡本太郎記念館のブロック塀に沿って裏手の方に回り込んでみましょう。

門扉に使われているのは岡本太郎のアイアンワークです。

ここまで見て初めて岡本太郎記念館コンプリートです。

岡本太郎記念館 写真:建築とアートを巡る

▲また、ブロック塀の角のところに消えかかった「殺すな」の文字があります。

”殺すな” は岡本太郎の有名な反戦メッセージですが、ブロック塀に書かれていたのは実は岡本太郎のものではありません。

2013年に「明日の神話事件」を受け、Chim↑Pomがここで展覧会を行った際のインスタレーションの名残です。10年以上経ってほとんど消えかかっているので、今のうちによく見て岡本太郎とChim↑Pomのメッセージを受け止めてみましょう。

岡本太郎記念館をまだ訪問したことが無い方も、この機会に岡本太郎の創作の裏舞台も垣間見える記念館を訪問してはどうでしょう。

岡本太郎の魅力溢れる作品、サロンにアトリエそして庭など映え写真のポイントだらけです!

またGINZA SIXのBIG CAT BANGに圧倒された方、ぜひ青山の岡本太郎記念館にもあしをはこんでみてくだ。

基本情報

太郎と猫と太陽と

会期:2024年7月12日(金) - 11月10日(日) 

休館日:火曜日、年末年始

開館時間:10:00 – 18:00

観覧料:一般650円、小学生300円

予約:予約不要

会場:岡本太郎記念館

住所:港区南青山 6-1-9 MAP

アクセス:地下鉄表参道駅より徒歩8分

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