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「岡本太郎の1世紀」展 坂倉準三設計の太郎のアトリエで観る小さな美術館の大回顧展


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南青山の岡本太郎記念館で開催されている日本の偉大な芸術家、岡本太郎の足跡と記念館の活動を振り返る展覧会「岡本太郎の1世紀」。

日本国内を巡回する大規模回顧展「展覧会 岡本太郎」がちょうど大阪で開幕し東京では10月からというタイミングで本家本元の岡本太郎記念館で開催されるこの展覧会は、その回顧展をサポートするような内容になっています

▲キービジュアルは30代後半の岡本太郎。才能と野心が爆発しているような風貌です。

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岡本太郎の1世紀 第一展示室

大阪万博での「太陽の塔」、今は渋谷駅に展示されている「明日の神話」といった作品で知られる芸術家で、世界的にも多くのファンがいます。

あのレディ・ガガも来日した際にはここ岡本太郎記念館に足を運び、岡本太郎の作品集を購入しています▼

▲「岡本太郎の1世紀」展は岡本太郎記念館に2つある展示室で開催されていて、第一展示室では戦後から1980年代にかけての岡本太郎の作品やスケッチ、資料などが展示されています。

一つ目のこの作品はタイトル不詳な1947年の作品。日本で創作活動を開始した非常に初期のもので、岡本太郎記念館秘蔵の作品だそうです。

「展覧会 岡本太郎」ではフランスに遺されていて最近発見された彼の20代の最初期作品が3点、展示されています。それと呼応するかのようにここでも初期の秘蔵作品が展示されています。

▲この辺りは1980年代の作品。

▲年代ごとにまとめられたスケッチや下書きなどの資料も。

▲展示されている作品数は決して多くないのですが。戦後1940年代後半から1980年にかけての作品が並べられ、プチ回顧展な展示です。

それと真っ赤な壁の空間。これも原色たっぷりな岡本太郎的空間です。

▲第一展示室に常設の太陽の塔のレプリカ、いつ行っても毎回向きが変わってりような気がしますが、今は外の方を向いてお客さんを迎えています。

吹き抜けの壁も新しくなっています。つい最近までは ”ロールオーバーTARO(岡本太郎をぶっとばせ)” な写真集でしたが、最新(2022年7月)では ”岡本太郎の歩み” という年表になっていました。

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岡本太郎の1世紀 第二展示室

黒で統一された第二展示室の方は1996年に岡本太郎が亡くなって以降の、岡本太郎記念館の活動に焦点が当てられた展示構成です。

▲岡本太郎の作品自体は1点のみ。

残りは岡本太郎記念館のプロジェクト映像や活動資料などです。

▲左から《「太陽の塔」再生プロジェクト》、《TARO100祭り》、《「明日の神話」再生プロジェクト》。

どれも過去に岡本太郎記念館で観たものばかりですが、最近岡本太郎を知った若い人にはまとめて観られて良いのではないでしょうか。

できれば「展覧会 岡本太郎」の前にここで観ておくと理解がスムーズかもしれません。

▲「太陽の塔」再生プロジェクトは、2018年に太陽の塔の改修とその内部の再生が行われ一般公開されたプロジェクトの記録映像です。

▲《TARO100祭り》は2011年、岡本太郎の生誕100周年の映像。

《「明日の神話」再生プロジェクト》これはメキシコで発見された明日の神話が復元され、渋谷駅に設置され一般公開されるまでの記録映像です。

「明日の神話」はこのあとChim↑Pomに手を加えられ・・という事件もあったりしました。それについては森美術館でのChim↑Pomの展覧会「ハッピースプリング」の記事でも触れています。

▲入り口側の壁には過去に岡本太郎記念館で開催された企画展の資料や、関わった展覧会、プロジェクトの資料が展示されています。

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岡本太郎記念館のサロン

企画展「岡本太郎の1世紀」を観たら、館内のサロン、アトリエそれと庭の作品も忘れずに鑑賞。

いつも作品が入れ替わっているので見過ごすことはできないのです。

▲「岡本太郎の1世紀」開催中のサロンの様子です。

展覧会ごと、季節ごとに微妙に入れ替わりや配置替えがあって間違い探し状態。

▲いつも来館者を迎える岡本太郎の等身大の象。

2022年夏はストライプ柄のシャツにスラックス、そして帽子でした。

▲2022年春の「赤と黒」展の時はキャメルカラーのスーツ。ノーネクタイのワイシャツ。

▲これは数年前の様子。

ダークスーツだけどネクタイは岡本太郎自身のデザイン。

▲これはさらに昔の様子です。

白のスーツにやはり自分でデザインしたネクタイ。なんか旧いフランス映画に出てくるギャングのボスみたいにも見えます。

ちなみに、衣装替えの際に使う服は、岡本太郎が生前着ていたものを今も利用しているのだそうです

アトリエ

ここ岡本太郎記念館は実際に岡本太郎が住居として使用していた建物なので、当然創作の現場であるアトリエもあり、今も当時のまま残され見学することができます。

▲「岡本太郎の1世紀」展開催中のアトリエの様子です。

サロン同様、アトリエも作品の入れ替えや配置替えが行われています。

▲これは少し前の「赤と黒」の頃のアトリエ。

明らかに展示されている作品が異なります。

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庭と太陽の塔

岡本太郎の作品は館内だけでなく、その緑が自然のままに生い茂る庭にも点在しています。

▲岡本太郎らしい不思議な造形の生き物などの彫刻作品が無造作に置かれています。

一つ一つの作品というより、この空間自体が岡本太郎ワールドとしての一つの作品のようです。

ちなみに庭は入館料を払ったお客さんだけが入れます。無料ではないので注意しましょう。

▲南風が強い日の午後は羽田空港へ向かう旅客機を上空間近に見ることができます。

この写真は「岡本太郎の1世紀」開催中のある日の午後ですが、いつもならベランダにいるはずのアレがいない!

▲いつもはこのようにベランダから庭を見下ろしている太陽の塔。

たぶん「展覧会 岡本太郎」に出張しているのでしょう。

写真撮影について

岡本太郎記念館での撮影は原則として撮影OKです。企画展によっては撮影NGな作品もあるので、念のため確認しながら鑑賞しましょう。

ただ、撮影は可能でも作品に手を触れることはNGです。この点は受付でも注意されるので気をつけましょう。たぶん撮影に夢中になって作品に触れてしまう人が多いのだと思います

鑑賞時間の目安

第一展示室が10分、第二展示室の映像作品もそれほど長くはないのでまとめて見れば約10分。ただ1本づつ丁寧に観ていくと20分くらい必要です。

サロンとアトリエを見て、庭の作品群を見ても合わせて30分くらいでしょうか。

ただ岡本太郎記念館が初訪問の方は、サロンに並ぶ作品の数々、アトリエの空間と作品たち、そして庭の作品群と見どころが多いので1時間くらいあっという間に過ぎてしまいます。初訪問の場合は最低でも1時間、できれば1時間半くらいを目処にすると良いでしょう。

また、この展覧会も岡本太郎記念館も予約不要です。それと館内は土足厳禁。用意されたスリッパに履き替えます。

ミュージアムショップとカフェ

館内1階のホールにミュージアムショップが併設されています。

岡本太郎の関連書籍、グッズなどが購入できます。

▲この作品をポーチ化した製品とかもあって思わず手が伸びてしまいます(たぶん「岡本太郎」展でも販売していると思います)。

▲また「ア・ピース・オブ・ケイク」というパンケーキが美味しいミュージアムカフェも併設されていて、こちらは岡本太郎記念館の入場者でなくても利用が可能です。近くのAPOCと同じパンケーキが食べられます。

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岡本太郎記念館の建築

岡本太郎記念館は岡本太郎の友人で、ル・コルビュジエの弟子でもある坂倉準三による設計です。

戦前ここは岡本家が渡仏するまで暮らしていた住居だったのですが、空襲で焼失していまい、戦後岡本太郎が再建しています。

全体としては、展示室やア・ピース・オブ・ケイクの入る旧館と、アトリアなどが入る展示棟が隣接して建っています。

▲岡本太郎の描いた顔とサインが壁面に見えるこの建物が「旧館」。岡本太郎の希望だという面白い屋根の形がこちら側からだと良く分かりますね。

この旧館の1階には「ア・ピース・オブ・ケイクス」や受付にホールなど。2階には第一、第二の2つの展示室があります。

その右に見えるのが「展示棟」。ここにサロンやアトリエが入っています。

▲今は2つの建物を無理やり繋げているので、旧館ホールから展示棟サロンへ通じる通路は開口部の寸法が異なり ”頭上注意” の貼り紙だらけ。

でも岡本太郎の作品の世界(旧館)と岡本太郎のリアルな世界(展示棟)を行き来する良いアクセントになっていると思います。

ちょっと待った! 帰る前に

「岡本太郎の1世紀」展を見て、サロンやアトリエを見学し、ミュージアムショップでお土産を買い、庭の作品たちも見て回り、最後にミュージアムカフェでひと息ついて。

さぁ帰ろうという前に、見ておくべき岡本太郎作品はまだありますよ。

岡本太郎記念館のブロック塀に沿って裏手の方に回り込んでみましょう。門扉に使われているのは岡本太郎のアイアンワークです。ここまで見て初めて岡本太郎記念館コンプリートです。

また、ブロック塀の角のところに消えかかった「殺すな!」の文字があったかと思います。岡本太郎の有名な書ですが、ブロック塀に書かれていたのは実は岡本太郎のものではありません。2013年に明日の神話事件を受けてChim↑Pomがここで展覧会を行った際のインスタレーションの名残です。

展覧会 岡本太郎」と合わせての開催ですが、むしろこの「岡本太郎の1世紀」と岡本太郎記念館を先に見ておいた方が「岡本太郎」を楽しめるように思えます。

また岡本太郎記念館をまだ訪問したことが無い方も、この機会に岡本太郎の創作の裏舞台も垣間見える記念館を訪問してはどうでしょう。

今は赤い展示室に秘蔵の岡本太郎作品、黒い展示室など映え写真や映え映像のポイントだらけです!

基本情報

「岡本太郎の1世紀」

2022年7月20日(土) - 11月20日(日)  火曜日休館

10:00 – 18:00

一般650円、小学生300円

予約不要

岡本太郎記念館

港区南青山 6-1-9 MAP

アクセス:地下鉄表参道駅より徒歩8分

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