六本木通り沿いの俳優座の並びにある2022年5月に新しくオープンしたカフェ&ミュージックバーラウンジ commonに行ってきました。内装のデザインを手掛けたのはSTUDIO DIG.です。
築50年以上、3年後には六本木の再開発のため取り壊しの予定があるオフィスビルの1階を大規模リノベーションしたcommonのカフェ空間は、かっこいいだけでなく、マテリアル、家具、などあちこちに工夫が詰まっていて、まるで空間全体がカフェ機能のあるインスタレーション作品のようです。
もちろん、こだわりのコーヒーや美味しいフードもあります。夜はDJが届ける音楽を聴きながら過ごすミュージックバーになります。
PRSTUDIO DIG.
インテリアデザインを担当したのは、3人組のデザインユニットSTUDIO DIG.です。実はこの方々知らなかったのですが、調べてみたら事務所はかなりご近所さんのようです。
3年後には解体されてしまう状況にあるこのビルのストーリーも空間作りの重要な要素となっています。
Story of Common
現在、Commonの入口スペースでインテリアデザインを担当したSTUDIO DIG.による「Story of Common」という展示が行われています。
このカフェは来るべき解体時にリユースできるような素材と施工方法でできています。
それは、ネガティブポイントとも思われる解体予定にあることを逆手にとって、解体を惜しむのではなく楽しみに思えるような仕組みなんだそうです。ポジティブでいい!
ブロックタイル
例えば、壁に使われているブロックタイルです。
「蛇籠」からヒント得て、接着せずに積んでいるだけなので、鉄線を外せば、すぐに取り出せる仕組みです。簡単にリユースできますね。▼
これが実際の壁です。▼アートを飾るニッチの部分は残して、躯体の壁の前に積み上げて鉄線で止めています。
アートは芸大性・美大生の作品を定期的に掛け替えるそうです。アートに頼らなくても空間に主張があるのでなくてもいいくらいです。
ベンチの背もたれが木なのも面白い。▼
PRカウンター
展示の中央に置いてある簾とその前にある紐でつなげてある木の丸棒に注目です。▼
カウンターの腰壁には木の丸棒がビスや釘を使うことなく、簾の要領で紐でジョイントされています。ですから、紐を解けば丸棒は再利用が可能なわけです。すごい発想!▼
コーヒー豆
コーヒー豆をテラゾーのように入れ込んだマテリアルのサンプル▼
カフェ店内で使われている、コーヒー豆が混ざったマテリアルが使われているテーブル天板。
この天板は特に写真よりも実物の方が断然いいです。▼
ベンチ部分はとっても細かい粒が入っています。
剥き出しの躯体の荒々しさに対して、このベンチの風合いとか色味がとても優しくて不思議な調和を生み出しています。▼
PRDJブース
ミルフィーユのような断面のマテリアルに注目▼
合板の断面を見せたDJブース。地層のようですごく綺麗でした。▼
3つのパーツが重なってできています。▼
Wrap
こちらは京都で活動しているデザインファーム「NEW DOMANI」によるリユースをテーマにした展示▼
床置きしてある左からA:袋に入った廃材、B:石の上に置いてあるのが合板、C:NEW DOMANI制作の「Wrap 」は、各部材をロープで巻き付けてできた容器のようなもの。用途はそれぞれ後から考える▼ Wrapは購入可能です。
ベンチにたくさん並んでいるのは、部材をロープで繋いだ「Wrap」の数々▼
PR3年限定カフェ
前述しましたが、解体が決まっているのでCommonは3年間限定のカフェです。
一見ネガティブに考えがちなそんな状況でさえも楽しみになるような仕掛けを考えて制作されたカフェ空間は至る所に工夫と創造性に溢れていて秀逸です。
大胆な開口が気持ちいいエントランス▼
テーブル席がある来訪者が寛ぐエリアの天井はスケルトン。それ以外の厨房エリアとエントランスには天井があってエリアが緩く仕切られています。
厨房の上部から吊り下げられた棚も、カウンターの腰壁同様に丸棒を紐でつなげたものです。▼
階段式の席も人気が出そう。▼
ハイスツールの中央テーブル席は簡便に移動できるようにキャスター付き。きっとイベント時などはテーブルを移動させるのでしょう。▼
話が弾みそうな階段の席、換気のために開いている窓のその先には麻布警察です。▼
DJブースに近いのでミュージックバーとしては特等席?
アアルトのスツールがあっています。▼
PRメニュー
こちらホットカフェラテ(600円)とビーツのスパイスケーキ(600円)
お皿はLA在住の日本人作家のもの。▼
台湾風ベーコンパイ(750円)と本日のコーヒー(450円)。コーヒーは長崎の「KARIOMONS」です。
生クリームのようなのはクリームチーズです。これ、ベーコンというより焼豚って感じだったけれど美味しかった。▼
夜のCommon
Commonは17時からはカフェではなくてバーレストランとして営業します。
朝は8時から、夜は23時までいろんな時間のCommonを楽しみたくなる場所です。
▲夜のエントランスの様子です。
▲夜の店内もムーディーで素敵ですね。
▲こちらはフードメニューですが、17時からはバーメニューになるので珈琲類の提供はありません。その代わり17:00-19:00まではハッピーアワーで800円以下のドリンクがオール500円でお得です。
Kant.
実はCommon、カフェスペースだけではないのです。
1971年竣工の地下1階、地上8階建てのビルを大規模リノベーションし“すこやかに働くための場所”として5月にオープンしたシェアオフィスとコワーキングスペースが融合したような「Kant.」の1階にあるのがCommonです。
Kant.エントランスにあるサインは、タペストリー形式▼
Kant.の2階3階はwork loungeで、学生でも使用できるスペースになっています。(要入会)
Kant.及びcommonを運営するのは、ローカルラウンジ・ホテル・オフィスと、異なる領域で経験を積んだ株式会社The Youth、株式会社Noum、株式会社ヒトカラメディアの3社です。これは面白くなりそうな予感しかしないコラボレーションです。
Kant.のエントランスの壁面は円形タイル、ブリックの階段にコルクの椅子、天井は木です。▼
なんとレンタルサイクルもあります。
コルクの椅子は階段に合うようにカットされているので、このレイアウトも計算済み。▼
エレベーターホールも円筒形のタイル。▼
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たった3年でなくなってしまうには勿体無い空間ですが、期間限定だからこそのコンセプトがとても面白く、今後の動向に期待大です。
あっという間に拡散されてすごい人気が出そうですね。
六本木通りに面しているのでわかりやすく便利なので、六本木近辺に在住在勤の方々ならヘビーユーズしたい場所です。
基本情報
8:00-23:00
・2F 平日8:00-21:00 週末9:00-18:00 ・3F 24H
東京都港区六本木4丁目8−5 和幸ビル MAP
アクセス:六本木駅6番出口徒歩1分
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