表参道の路地にある元コスチュームナショナルのビル現emergence aoyama compleにあるカフェ・バー WALLは、コスチュームナショナルの店舗が撤退した現在も変わらず営業を続けています。
AdvertisementCoSTUME NATIONAL Aoyama Complex
コスチュームナショナルの創業者のエンニョ・カパサはミラノの美術大学修了し、その後1年間アジアを放浪中に日本で山本耀司にファッションのスケッチを見せたところ認められ、83年からアシスタントとして働いていました。
1986年、イタリアに戻り、兄カルロとともに「コスチューム ナショナル」を設立。2011年青山表参道のCoSTUME NATIONAL Aoyama Complexに旗艦店をオープンさせました。旗艦店と同時にオープンしたのがカフェバー WALLです。
その後、2016年に営業不振のため創業者のカパサ兄弟はブランドを離れ、ローマ、ミラノ、ニューヨークの店舗も閉店。日本の投資会社が株式を買収し、日本人デザイナー2人が2018年から後を引き継いでいましたが、2020年にその二人も退任し、現在は日本のデザインチームが継承しているものの店舗はありません。
で、現在の WALLはと言うと WALL の入っているビル自体、CoSTUME NATIONAL Aoyama Complexから、emergence aoyama complexと名前を変えて「コスチュームナショナル」を買収した日本の投資会社の関連会社が管理運営しています。
ファッションブランドの旗艦店として建てたビルですが、そのファッションブランドは撤退し、飲食店だけが現在も残っていると言う状況です。
コスチュームナショナルの店舗が入っていた手前のスペースが空いている時の様子(2021.5月)▼
パトリック・ブラン
WALLは、いつの間にか福岡にも出店していたようで、現在は青山と福岡に店舗があります。福岡のWALLには行ったことがないので、このブログでは青山のお店について書きます。
WALLと言えばカウンターバックの壁一面に本物の植栽の壁=垂直庭園/バーティカルガーデンがあることが、その店名の由来にもなっているのですが、これは立派なアート作品で、フランスの植物学者でもあるパトリック・ブランによるものです。▼
2011年オープン時には、このパトリック・ブランの垂直庭園/バーティカルガーデンがとても話題になったので、記憶にある方も多いでしょう。
MVRDV 設計による表参道のGYREが2007年にオープンし、そのエントランスにパトリックブランの垂直庭園/バーティカルガーデンが登場しました。現在は、エントランスの作品は撤去され、HAY へ降りる階段周りに移植されていて、ちょっと垂直とは言い難い状況にあります。▼
私の記憶では、東京でのパトリックブランの仕事はGYREが最初だったと思います。それ以前に金沢21世紀美術館開館時の2004年から恒久展示作品として「緑の橋」はありましたが。
金沢21世紀美術館のパトリックブランの「緑の橋」▼
現在、東京で見られるパトリックブランは、私の知る限りWALLとGINZA SIX(GYREもあるけど)だけだと思います。
本人も言及していますが、イミテーションがたくさん出回っているので、それっぽいのはそこら中にあります。その状況に本人は、イミテーションが出回るということは垂直庭園が本物として認知されているという良いサインでもあると語っています。パトリック心が広い!
GINZA SIX のパトリック・ブラン▼
アートに囲まれて
店内に入ってまず目に入るのは、パトリック・ブランの巨大な垂直庭園ですが、WALLのアートは、パトリックブランだけではありません。作品を一つづつ紹介します。
杉本博司
まずは、杉本博司です。マダムタッソーの蝋人形を撮影したポートレートのシリーズより「フィデル・カストロ」です。
写真では、パトリックブランの垂直庭園が反射してしまっていますので、実際に訪問してじっくり鑑賞してください。▼
トレイシー・エミン
杉本博司の作品と並んで展示されているのは、イギリス人アーティストのトレイシー・エミンのネオンの作品です。
トレイシー・エミンの表現は、ネオンの他にドローイング、ペインティング、キルト作品、ベッドやテントなどの私的な空間を再現したインスタレーション、版画など多岐にわたります。表現方法はさまざまですが、作家の身体や自叙伝、告白といった極めて個人的なテーマをコンセプトにしています。▼
ローレンス・ウェイナー
先日亡くなったアーティスト、ローレンス・ウェイナーの作品が、パトリック・ブランの垂直庭園と向かい合うテラス席のガラス面にあります。
ローレンス・ウェイナーと言えば藤本壮介がリノベーションを手がけた前橋の白井屋ホテルが記憶に新しいところです。▼
オスカー・トゥアゾン
ロサンゼルスを拠点するアメリカ人アーティストのオスカー・トゥアゾンの立体作品がテラスの先に設置されています。
作品はガラスの向こう側のため、植栽とガラスの反射で写真ではちょっとわかりにくいです。▼
パトリック・ブランの垂直庭園はテラス・カウンター席の両方のスペースにあります。
そうなると、オスカー・トゥアゾン、ローレンス・ウェイナーの作品のあるテラス席にするか、杉本博司とトレイシー・エミンのあるカウンター席にするか悩ましい。
Advertisementジム・ランビー
作品はこれだけではありません。WALLに来たら絶対にトイレに行きましょう。トイレの前のスペースにジム・ランビーの作品があります。これは見逃してはいけません。
床のジム・ランビー作品の上に置かれている椅子は、この建物を設計したインテリアデザイナーの岡山伸也がデザインした椅子で座ってもOKです。▼
ジム・ランビーの作品は、元コスチューム・ナショナルのショップがあったスペースで、現在はFACETASM(ファセッタズム) 青山本店 が入っているスペースの床にも展開されています。
WALLのトイレ前のスペースと同じカラーですね。▼
ジム・ランビーって誰だっけ?という方に。十和田市現代美術館のエントランスの床の作品のアーティストです。▼
荒木経惟
アラーキーこと、荒木経惟の写真作品はトイレの個室内あります。ジム・ランビー作品と共にこちらも見逃し注意ですよ。トイレの個室に入れば、必ず目が行く場所にあります。▼
WALL COLLECTION
WALLでは、メニューと一緒に平面図の入ったコレクションの解説資料も持ってきてくれます。大混雑してなければこちらをみながら、アートを鑑賞することができますよ。
ガラス作家の三嶋りつ恵の作品は、カクテルに使う器が作品だそうで、そのカクテルをオーダーしないとみられないそうです。残念!▼
WALL COCKTAILS
そのカクテルというのが、こちらです。WALL COLLECTIONの8人のアーティストをイメージした8種のカクテルです。
私は残念なことにお酒が全く飲めないので、これらカクテルを嗜むことができません。お酒が呑める人は是非、好きなアーティストのカクテルをオーダーしてみてください。
杉本博司のカクテルは江之浦測候所を意識した小田原の柑橘類が入っているんですね。美味しそう。呑めないけど。▼
WALLの食事
お酒が飲めない人でもカフェ・バーなので、食事メニューもありますよ。こちらはランチメニューのパスタです。パスタにフォカッチャと前菜がつきます。▼
お冷でさえも美しい!▼
WALLのメニューついての詳細をもっと知りたい方はこちらを参照ください。▼
WALLの入口
オープン当初その入り口のわかりにくさが逆に話題になったお店です。今ではすっかり定着した感がありますが、一応写真を。
初訪問の場合、超絶わかりにくいのですが、ここが入り口です。外には一切案内がありませんが怖気付かずに扉を開けてみましょう。▼
基本情報
月-金.11:30 – 24:00 (ランチ14:00まで) 土13:00 – 24:00 日13:00 – 23:00
港区南青山5丁目4−30 1F emergence aoyama complex MAP
*営業時間・定休日等は変更になる可能性があります。
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