静岡県掛川市にある資生堂アートハウスはあの谷口吉生と高宮真介設計による資生堂の美術館です。谷口吉生が手掛けた最初の美術館建築であり、建築学会賞を受賞したことでその名を世に知らしめた建築でもあります。
2014年と2022年比較
東海道新幹線の線路のすぐ横に位置するので、広々した庭園に佇んでいると定期的に新幹線が通過する轟音が鳴り響きます。
上の写真は、2014年6月に訪問した時のものです。▲
曲面ガラスの窓は外側はミラーで、「通過する新幹線が美しく映る」というコンセプト通り、新幹線が通過する瞬間の写真です。
訪問するのは3回目ですが、前回からかなり時間があいているので記憶も朧げで初訪問のような新鮮さでした。
初訪問の時の写真は残念ながらみつけられませんでした。なんせ余裕で10年以上前で一体いつ行ったのかさえ、思い出せないので探しようがないのです。
こちらの写真▼が今回、約8年後である2022年3月の訪問時のもの。
基本全く変わってませんね。強いて言えば、8年前はプランターがいくつも並んでいたのが、撤去されてスッキリしています。ない方が断然いいですね。▼
ただ、天気と季節は8年前の方が断然いいです。3月は樹木の葉は落ち、芝生も枯れています。もし、また行くことがあるなら、緑が綺麗な季節に行きたいです。
もう1枚づつ新旧比較写真をこちらが2014年▼
銅の色合いをした鋼板壁と、陽の光を浴びて輝く銀色のタイル壁が組み合わさったシンプルかつシャープでかっこいい外観は、全く古さを感じさる事なく、色褪せないデザインです。
竣工からすでに40年以上経っているなんて信じられないです。シンプルで飽きのこないデザインを創造する能力がこの頃から極めて高かったという事ですね。
こちらが2022年の写真です。▼
資生堂アートハウスは、8年前も現在も展示室内撮影禁止なので、内部の比較写真がないのが残念です。
資生堂アートハウス
資生堂アートハウスは、現在も隣の敷地で操業する資生堂掛川工場の敷地を活用する形で1978年に開設されました。化粧品の国内シェア第1位誇る資生堂による私立の美術館です。
2002年に一度リニューアルしています。NYのMOMAなど数々の美術館を手がけている谷口吉生にとって最初の美術館建築です。
当時、まだまだ駆け出しの建築家だった谷口吉生がなぜ、資生堂の美術館建築を手掛けることになったかというと父、谷口吉郎氏が1962年に「資生堂パーラービル」(現存せず)を手掛けていた事と無関係ではなさそうです。
現在、スペイン出身のリカルド・ボッフィル設計の赤煉瓦色の資生堂パーラービルの前の建物は、父谷口吉郎設計のビルだったのです。
資生堂アートハウスの詳細な様子は動画を参照ください。▼
資生堂アートハウスは1980年(昭和55年)に日本建築学会賞を受賞しています。
谷口建築の美術館9館
資生堂アートハウスは、2014年11月に、谷口吉生設計による美術館・博物館9館を結んだ「建築交流ネットワーク協定」に参加しています。
9施設は資生堂アートハウスの他に、土門拳記念館(山形県酒田市)、長野県信濃美術館東山魁夷館(長野市)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川県)、豊田市美術館(愛知県)、東京国立博物館法隆寺宝物館(東京都)、香川県立東山魁夷せとうち美術館(坂出市)、京都国立博物館平成知新館(京都市)です。/竣工順
私はすでに9館訪問コンプリートしていますが、豊田市美術館に行ったのは20世紀の話なので、再訪しないとなぁとずっとここ5年くらい考えています。
実は一度訪問の計画を立てていた5月の連休が、2020年のロックダウンと重なりあえなく中止。現在に至ります。
資生堂企業資料館
同じ敷地内に資生堂企業資料館があります。こちらの設計は谷口吉生ではなく、フジタによるもの。資料館は、その名の通り、美術館ではなく資生堂の広告やCM、パッケージなどの展示です。
昨年、東京都現代美術館で開催された展覧会が長蛇の列で大盛況だったグラフィックデザイナーの石岡瑛子氏も資生堂出身ですから、当然手掛けた広告が展示されています。
展示品の中から石岡さんの仕事を中心に探してみるのも面白いかもしれません。
こちらの資料館は現在金曜のみの開館なので要注意です。美術館同様館内の撮影は禁止です。
お土産
資生堂アートハウス、資生堂企業資料館ともに、ここだけの限定商品のお菓子やお土産品の販売をしています。館内の撮影が禁止のため具体的な商品の写真は残念ながらありません。
また、この素晴らしい環境でゆっくりお茶をいただくようなミュージアムカフェは残念ながらありません。
ここにミュージアムカフェあったら長居しちゃいますね。
屋外アート
駐車場から美術館までの広々した庭園空間に幾つかのアート作品が点在してます。これら作品を鑑賞しながら美術館の入り口まで少しだけお散歩です。
イワタルリ「2W020326N」2002年 後ろに走り去る新幹線がちょうど写ってます。▼
掛川市庁舎
資生堂アートハウスから新幹線の線路を挟んで反対側に見える扇子を広げたようなものが乗っているビルは、1996年竣工の掛川市庁舎です。
設計は日建設計で、扇子のようなパラボラのような、上に乗かっているとっても気になるものは、庁舎最上階にある議場の屋根です。
気になる方は市庁舎の方も巡ってみてください。私は線路越しに眺めただけです。
基本情報
10:00-16:30 土日月休館(祝日でも休館) 入館無料 *2022年4月26日より日月火休館に変更予定
10:00-16:30 2022年1月21日(金)~12月16日(金) 金曜日のみ開館 入館無料
静岡県掛川市下俣751−1 MAP
https://www.artarchi-japan.jp/2019/11/blog-post_15-2.html