六本木にあるオルタナティブスペースANB tokyoで開催中の二つの展覧会 野田幸江 個展「腐っていくことやここからの眺め」と「Kyoto Perspective」を観てきました。
ANB tokyo
ANB Tokyoは過去に中園孔二 個展「すべての面がこっちを向いている」や黒田アキ「沈黙の先を行く」など興味深い展覧会を開催しています。
六本木の交差点から外苑東通りを東京タワー方向に進んだ右側のビルで1Fの0%というノンアルコールドリンクバーが目印です。
展覧会は事前予約制。階段を上がって2階にいくと正面に受付があるのでそこで検温消毒を。
展覧会場はビルの3.4階が「Kyoto Perspective」で6階が野田幸江 個展「腐っていくことやここからの眺め」です。
3.4.6階の順番で鑑賞することを勧められましたが、我慢できずに目的だった野田幸江 個展「腐っていくことやここからの眺め」から観てしまいました。
野田幸江 個展「腐っていくことやここからの眺め」
エレベーターを降りて会場に到着するやいなや迎えてくれるのは、懐かしさを感じる緑の香りです。
そして目の前には、そこら中に植樹されていて見慣れたカイヅカイブキが、なんとも見慣れない山のような形でデーンと置いてあります。それは生きているような、ただの物体のような、ちょっと滑稽にさえ見えてしまうカイヅカイブキです。
いきなりすごいインパクトの展示。▼
奥へ進むと展示台が2つ。その上にはポツリポツリと植物らしきものが。そして壁にも、紐状によられた植物が貼られています。▼
木の枝越しの丸められた何か。▼
意図しているのか、意図されていないのか、どこまでが計算で、どこからが偶然なのか、その境界線が限りなく曖昧な展示です。▼
なぜなら会場内の至る所に漂っているこの綿毛、それは人の動きとともに宙を舞い漂い、そしてまた床にと、絶えず移動しています。▼
彩豊かな花に茎はなく、美しいというよりどこか切ない▼
某ギャラリストの方がこの展覧会の内覧会を観て絶賛していたのですぐに観にいこう!と思ったのですが、近所にもかかわらず、すぐに行かなかったのは、この桃がもう少し変化してからの方がいいかなと思ったからです。▼
まさに、「腐っていくことやここからの眺め」▼
もはや私の知っている桃の姿はどこにもなかったけれど、そこには無数のカビがびっしりと表皮を覆っていて、じっと観ていたらカビが桃を侵食していく音でも聞こえてくるのではないかと思うくらいものすごい生命力を感じました。腐っていくことって死ではなく全く別の何者かに変わっていく事なのかもしれない、そんな事を想像させる作品です。▼
とても面白い展示でした。可能ならもう一回くらい足を運んで、変化を楽しみたいです。
「Kyoto Perspective」
2018年より始まったARTISTS’ FAIR KYOTO(AFK)2021に参加した若手アーティスト岡田佑里奈、土取郁香、藤田紗衣、藤本純輝、油野愛子ら5名のアーティストと、AFK2021アドバイザリーボードのアーティスト池田光弘、薄久保香、大庭大介、鬼頭健吾の4名で開催するグループ展です。
3F
池田光弘、薄久保香、大庭大介、鬼頭健吾の作品▼
4F
岡田佑里奈、土取郁香、藤田紗衣、藤本純輝、油野愛子の作品▼
この2つの展覧会は、別の展覧会のようですが、野田幸江はAFK2021で最優秀賞を受賞したので個展という形で6階で展示しています。
展覧会期
2021年8月7日(土)~8月29日(日) 12:00〜18:00 月火休
入場料1,000円/大学生500円/高校生以下無料 事前予約制