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クレマチスの丘の花咲く庭園が気持ちいい美術館 ヴァンジ彫刻庭園美術館


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静岡県三島市にあるクレマチスの丘には、美しい庭園だけでなく、いくつかの美術館が併設されています。今回は、イタリアの彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの作品を多数コレクションするヴァンジ庭園彫刻美術館をクローズアップします。

クレマチスの丘 ヴァンジ庭園彫刻美術館

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クレマチスの丘

クレマチスの丘はスルガ銀行の創業家の岡野一族が保有する「花、美術館、食」をコンセプトにした複合文化施設です。

近隣にはテニスコートやゴルフ場、レストランも備えた敷地300坪級の高級邸宅400戸が並ぶ「スルガ平」があり、「静岡のビバリーヒルズ」と呼ばれています。

クレマチスの丘 ヴァンジ庭園彫刻美術館

スルガ銀行の創業家

スルガ銀行の3代目頭取を務めた故岡野喜一郎氏が収集したベルナール・ビュフェのコレクションを収蔵する「ベルナール・ビュフェ美術館」が1973年11月に開館したのがクレマチスの丘の始まりです。ベルナール・ビュフェ美術館は、1988年に新館、1996年に版画館、そして1999年にビュフェこども美術館が併設されました。

また、ビュフェ美術館のすぐ近くにあるのが、3代目の故岡野喜一郎氏と旧制沼津中で同級生だった井上靖の個人文学館「井上靖文学館」です。ビュフェ美術館の開館と同じ1973年に設立されました。

更に2002年4月に、現代イタリアを代表する彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの世界初の個人美術館「ヴァンジ彫刻庭園美術館」が開館。広大な庭園には季節ごとに様々な花が咲き誇り、花とヴァンジの彫刻の競演がみられます。

2009年10月には写真や映像に特化した「IZU PHOTO MUSEUM」が開館しました。(現在休館中)▼

クレマチスの丘 IZU PHOTO MUSEUM

クレマチスの丘は、ベルナール・ビュフェ美術館と井上靖文学館があるエリアのビュフェエリアと、ヴァンジ彫刻庭園美術館とIZU PHOTO MUSEUMがあるエリアのクレマチスガーデンエリアの大きく2つのエリアに分かれています。

クレマチスの丘 ヴァンジ庭園彫刻美術館

静岡新聞社に譲渡

2021年1月にスルガ銀行は、保有するベルナール・ビュフェの美術作品632点を静岡新聞社に譲渡する契約を結びました。美術館の運営は現在も従来通り行われているので、鑑賞者としては作品の所有がどこになろうと関係のない話ですが、この件はスルガ銀行のシェアハウスに端を発した不正融資問題で創業家の岡野一族が銀行を退任した事件と無関係ではなさそうです。

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ヴァンジ彫刻庭園美術館

1965年から2009年までのヴァンジの彫刻を常設コレクションとした現存作家の個人美術館です。ヴァンジの彫刻が、展示室内だけでなく、美術館を飛び出して庭園のあちこちに点在しています。美術館の庭園はクレマチスをはじめとした四季折々の花が咲き誇る美しい庭です。

ジュリアーノ・ヴァンジ

1931年フィレンツェ近郊のバルベリーノ・ディ・ムジェロに生まれで、90歳になるヴァンジは現在イタリアのぺザーロとピエトラサンタの二つの拠点で制作しています。

人間が抱える様々な葛藤を、地中海的な明るさとユーモアで表現した主に人物像を制作しています。近年は、ピサ大聖堂の祭壇など宗教的な制作が多い彫刻家です。フィレンツェ郊外生まれなので、大理石に親しんで育ったものの、一時期は抽象彫刻を手掛けるなど、現在の具象スタイルを確立する過程には紆余曲折がありました。

点在するヴァンジ作品

美術館内から庭園が眺められる窓です。一見普通の窓ですが、、、▼

クレマチスの丘 ヴァンジ庭園彫刻美術館

館内からはわかりませんが、庭園に出てみると窓の上にもヴァンジの彫刻作品が!▼

クレマチスの丘 ヴァンジ庭園彫刻美術館

美術館や庭園の様子は動画を参照ください。▼

様々な企画展

常設のヴァンジの作品展示以外に、常に企画展を開催しています。ここ最近私が鑑賞したのは、2018年の「須田悦弘 ミテクレマチス」と2020年3月に開催されたグループ展「センス・オブ・ワンダー
もうひとつの庭へ」です。いずれも須田悦弘作品を目当てに訪問しました。

また、現代美術の枠に留まらず、陶芸の「黒田泰蔵 白磁」や、「ミッフイーのたのしいお花畑 デイック・ブルーナが描くお花と絵本の世界」など幅広い内容の企画展を開催しています。

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現在の企画展

現在は、「すべての ひとに 石が ひつよう 目と、手でふれる世界」を開催中です。イケムラレイコ、大木逹美、北川太郎、ホセイン・ゴルバ、長谷川さち、廣瀬智央、冨長敦也、ジュリアーノ・ヴァンジが出品するグループ展です。一部出品作品を紹介します。

イタリアミラノ在住のアーティスト廣瀬智央の1993年の作品「無題」。パッカリと2つに割れた石は、意図的に割ったものではなく、偶然見つけたもの。なかなか出会うことのない真っ二つに割れた石を持ち帰り金継ぎを施した作品。▼

クレマチスの丘 ヴァンジ庭園彫刻美術館 すべてのひとに石がひつよう

廣瀬智央の作品で展覧会タイトルと同名のタイトル作品「無題(すべてのひとに石がひつよう)」は、その解説文を読む前と読んだ後では作品の見え方が全然違ってきます。胸がキュッと締め付けられるような切ない気持ちと共に「すべてのひとに石がひつよう」と、作品を見つめながら声に出してみたくなる作品です。この作品は写真ではなく足を運んで本物を見て欲しいので写真は掲載しないでおきます。

この展覧会はみるだけではなく、実際に手で触れることができます。(すべての作品ではありません。)

クレマチスの丘 ヴァンジ庭園彫刻美術館 すべてのひとに石がひつよう

長く美術館に通っていると、いつの間にか耐久性のある石の作品でも、ちょっと距離を置いてただ鑑賞するだけのものだと刷り込まれてしまいます。でも、幼い子供は好奇心の赴くまま触りたいものに触れようとします。その気持ちは誰もが持っている人間の本来の欲求ではないでしょうか。理性で抑え込まれてしまった「触ってみたい」という欲求を解き放して、作品に、石に、そっと触れるのは、禁断の行為を犯す背徳と高揚が入り交じり新鮮でした。

クレマチスの丘 ヴァンジ庭園彫刻美術館 すべてのひとに石がひつよう

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企画展基本情報

2021年10月23日(土)-2022年3月29日(火)

開館時間:2月・3月 10:00-17:00 /11-1月 10:00-16:30 (入館閉館30分前)
休館日:水曜(2/23(祝)は開館)、年末年始(2021年12月26日-2022年1月5日)
入館料:11月-3月 大人1,000円/高・大学生500円/中学生以下無料

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一日過ごせる美術館

すべての美術館を鑑賞し、庭園でゆっくりしようと思ったら丸々1日かかります。それでも飽きることなく時間が過ごせるのがクレマチスの丘です。

施設内には複数のカフェや飲食店もあるので食事をしたり休憩をすることも可能です。初訪問するなら天気の良い日に1日かけてまわりたいですね。

カフェやレストランは美術館の入館料なしで利用できます。

ヴァンジ彫刻庭園美術館の庭園にあるカフェビオトープガーデンだけは、美術館の入館料が必要となります。このゲートの先にカフェがあります。▼

クレマチスの丘 ヴァンジ庭園彫刻美術館

美術館基本情報

ヴァンジ彫刻庭園美術館

開館時間、入館料はこちらを参照ください。水休

静岡県駿東郡長泉町東野347−1 MAP

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