東京国立近代美術館で現在開催中の柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」を鑑賞して来ました。
谷口吉郎設計 東京国立近代美術館▼
PR日本民藝館
この展覧会に出品されている全作品474点のうち、その半数以上が日本民芸館所蔵品です。特に前半の展示は8割近くを占めているのではないでしょうか。一部、日本民藝館の什器ごと来ているものもありました。
それもそもはず、民藝といえば柳宗悦、柳宗悦と言えば日本民藝館です。
ですから、日本民藝館に何度か行ったことのある人なら、見覚えのある作品が複数出品されています。そして、こんなに日本民藝館は所蔵品を貸し出していて、大丈夫なのかなと要らぬ心配をしてしまいましたが、17000点のコレクションを持っていますから、全く問題ないですね。
現在、日本民藝館では、「棟方志功と東北の民藝」を2021年10月1日(金)–11月23日(火・祝)の会期で開催しています。
日本民藝館は、初代館長の柳宗悦が元々住んでいた住宅をそのまま保存・限定公開している西館と向かい合って建っています。もっと柳宗悦について知りたい、民藝に浸りたい方は是非日本民藝館へも行ってみてください。
日本民藝館については、こちらを参照ください。▼
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展覧会構成
展覧会は1910年代から1970年代まで時系列順に6章で構成されています。出品点数は474点に及びます。柳宗理が民藝に目覚めるきっかけとなった、染付秋草文面取壺も第1章に展示されています。
日本民藝館で購入した染付秋草文面取壺のポストカード。▼
これはあくまでも個人的な感想ですが、染付秋草文面取壺のように日本民藝館で鑑賞するのに慣れてる作品は、国立近代美術館のような巨大なホワイトキューブに展示してあると、なんか寒々しく感じてしまい魅力が半減するような印象を受けました。
やっぱり、柳が愛でた民藝品の数々の鑑賞をするなら、柳が自身の審美眼でつくりあげた日本民藝館という場所が一番しっくりきます。
とはいえ、この展覧会は、山本鼎と農民美術運動について柳が書いた文章とともに農民美術運動についての展示があったり、民藝を広い視点で捉えています。
また、柳に批判された今回の展覧会会場である東京国立近代美術館での「現代の眼」展について、当時の資料展示もあります。
「現代の眼」展は近代美術館の設計を手掛けた谷口吉郎が展示デザインをした企画展で、その資料展示の解説文には、美術館から柳への回答?もあって興味深く読みました。
展覧会のフライヤーにも記してありましたが、今回の展覧会そのものが、当時柳に批判された東京国立近代美術館なりの批判への回答と言うことでしょう。
PR鑑賞の注意点
撮影について
民藝100年の会場内は撮影禁止です。ただし、1カ所だけ撮影スポットがあり、そこだけ撮影可能です。
旧柳宗悦邸で、現在の日本民藝館西館にある2階書斎に置いてある柳宗悦愛用の黒田辰秋制作の拭漆机と獅子飾付椅子が撮影スポットです。
日本民藝館は原則撮影禁止なので、この獅子飾付椅子の写真が撮れて嬉しい▼
このガオ〜!な肘掛けがいいですよねぇ。柳のユーモアのあるセンスが出ています。▼
この机と椅子も、やっぱり柳の蔵書の数々に囲まれたコンパクトなあの書斎にある方が、しっくり来ます。旧柳邸で見慣れているせいもあるのかな。
天井が高く、広々したホワイトキューブに机と椅子だけポツーンと置かれている様子はなんだかちょっと寂しい。
鑑賞時間
1時間半くらいあれば大丈夫かなぁと思っていましたが、全然足りませんでした。細かいものが多く出品点数が474点もあることに加えて、読むべき解説も壁面の各章の解説だけでなく、一つ一つの作品にも全部ではないのですが、解説文がついています。
それらを真面目に読みつつ、一つ一つじっくり鑑賞していたら、あっという間に時間が経ってしまいました。
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特設ミュージアムショップ
閉館時間のアナウンスがあって、会場を出ると、なんと!2階にも会場が続いていたのです。急いで2階へ駆け上がり、最後の6章の後半を流し見してようやく終わりかと思いきや、更に更に!2階の会場の奥に民藝100年展特設ミュージアムショップが!
国立近代美術館でこのような展開は初めてです。ミュージアムショップも駆け足で眺めて、出ようとしたら、ショップのレジに行列が出来ていました。
ショップにはいろんなグッズがあったようですが、なんせゆっくりみている時間もなく後ろ髪を引かれながら美術館を後にしました。
帰宅後調べてみると特設ミュージアムショップは、あのナガオカケンメイのD&DEPARTMENTと民藝を扱う4つのショップが2週間づつポップアップストアを展開するようです。あーゆっくり見たかった。
映像
とにかく、真面目に見ればみるほど時間がかかります。さすがに途中て鑑賞を断念しましたが、30分ほどの映像の上映も2つありました。もっと短い資料映像も含めれば、映像だけで全部鑑賞するのに1時間以上かかります。
また、上階のコレクション展も鑑賞するのであれば、尚更時間がかかります。私は残念ながら今回はコレクション展を全くみることができませんでした。
入場料も1800円と決して安くありません。心残りなく鑑賞するためには、時間に余裕を持って出かけることを強くお勧めします。
美術館を出たときには日が暮れ始めていました。▼
「民藝」について当時の時代背景も含めた広義で知ることができる展覧会です。もっと民藝を知りたい、柳宗悦の世界に浸りたいという時は、やっぱり日本民藝館ですね。
PR基本情報
2021年10月26日(火)~2022年2月13日(日) 月、12/28~1/1、1/11休
10:00~17:00(金・土〜20:00)