駒場にある日本民藝館がリニューアルされたと聞いて、え?どこを?と思ったのですが、2階奥の大展示室だけの改修でした。開館当時に近い空間に生まれ変わった大展示室と限定公開されている旧柳宗悦邸である西館を見学してきました。
日本民藝館
日本民藝館は昨年秋の「アイヌの美しき手仕事」展以来なので1年ぶりくらい。しょっちゅう来ているつもりだけれど、結局年に1回か2回くらいの訪問になってしまっています。このブログでは2018年の「柚木沙弥郎の染色 もようと色彩」しか書いていません。「柚木沙弥郎の染色 もようと色彩」の詳細情報はコチラから!
日本民藝館の建物は1936年竣工で創設者の柳宗悦が中心となり設計されました。この柳宗悦らが設計した旧館と道路に面した石塀は、2021年東京都指定有形文化財(建造物)に指定されています。もともと大広間だった場所に1982年に建て替えられたのが奥の新館です。
大展示室
大展示室は1982年に建て替えられた新館の2階にあります。大展示室というだけあって、館内のどの展示室よりも広い空間です。
日本民藝館は基本的に撮影禁止です。今回の展覧会も全て撮影禁止でした。しかし、昨年行った「アイヌの美しき手仕事」展の時は大展示室の一部壁面のみ撮影可能だったので改修前を撮影した写真がありました。改修前の大展示室の様子です。▼
リニューアル前、床はフローリングで壁はクロスでした。今回のリニューアルで床は大谷石に、壁は静岡産の葛布となりました、なりましたというよりは戻りましたというのが正しいのです。1936年の創設時は大谷石と葛布だったのですが、1982年の建て替えで変更になり、40年ぶりに元に戻りました。
1階のトイレも改修されて綺麗になっていました。靴を履いたまま履く巨大なスリッパはアイヌ展の時にすごい驚きましたが、それも引き続き健在でした。
「日本民藝館改修記念 名品II 近代工芸の巨匠たち」展
主に近代工芸の巨匠として知られるバーナード・リーチ、河井寛次郎、濱田庄司、芹沢銈介、棟方志功らの日本民藝館所蔵作品の展示です。
大展示室を中心とした2階には1945年までの巨匠たちの作品を展示しています。展示室1階では、それぞれの作家の戦後の作品を展示しています。全体を通して巨匠たちの生涯を通じた作品の流れを鑑賞することができます。また、その後を引き継いだ作家の作品もあわせて展示されています。
撮影禁止なのでフライヤーの写真です▼
例えば染色で言えば巨匠として雑誌「民藝」の装幀などを手がけた型絵染の人間国宝芹沢銈介が、そして次代を担う作家として、芹沢銈介に師事した柚木沙弥郎の作品が展示されています。また、織物ですが柳宗悦の甥の柳悦孝の着物なども次代の作家として見ることができます。
展覧会期
2021.7.6-9.23 10:00–17:00 月休 入館料1200円
以前は中に入ってから入館料を支払っていましたが、コロナ禍から受付が外の窓口に変更になりました。また、以前は玄関で靴を脱いで備え付けのスリッパに履き替えていましたが、このシステムもコロナ禍から変更になり、現場などでよく使う靴カバーを自分の靴の上からかぶせるようになりました。
もしかしたらこの受付の窓口も創設時はここを使っていたのではないかな。▼
西館見学
西館は1935年に竣工した柳宗悦の自邸です。表の長屋門は栃木県から自邸の完成に先駆けて1934年に移築されました。1936年道路を隔てた反対側に日本民藝館が完成し、柳宗悦邸はその頃から西館と呼ばれるようになりました。
記憶が定かではないのですが、以前よりも西館の見学日が増えた気がします。現在は水曜・土曜などに公開しています。公開日の詳細は日本民藝館の開館カレンダーを参照ください。
西館も日本民藝館同様撮影禁止です。こちらも靴カバーを装着して見学します。2階は空調がないのでちょっと暑いです。
柳宗悦の書斎は書籍や家具が残されていて部屋の中までは入れませんが、入り口から当時の様子を窺い知ることができます。愛用していた椅子の肘掛けのデザインに注目してください。ガオー!なデザインで目をひきます。
日本民藝館からみた西館▼
柳宗悦夫人は音楽家だったので西館には音楽室があり、部屋にはピアノが残されています。柳宗悦の3人の息子もここで暮らしました。柳宗理はこの家から芸大に通学したわけですね。弟の柳宗玄は東京大学出身なので駒場キャンパスだったらめちゃくちゃ近い!と思ったのですが、本郷キャンパスでした。
旧柳宗悦邸の見取り図▼
日本民藝館に行くなら西館も見学できる日に行かなくてはもったいないです。と言いつつ私も西館の見学は2回目でしたが、次回も西館見学可能な日に行くと思います。