ベネッセアートサイト直島のベネッセハウスパークに、2021年3月杉本博司の硝子の茶室「聞鳥庵」が登場しました。秋の直島その4ではパークで見られるアート作品と新たに加わった聞鳥庵についてレポートします。2022年3月より杉本博司ギャラリー時の回廊がオープンしました。(2022年3月追記)
ベネッセハウスパーク
硝子の茶室「聞鳥庵」が観られるのは、ベネッセハウスのパークにあるパークラウンジの水盤です。ベネッセハウスパークというのは、ベネッセの他施設同様に安藤忠雄の設計で、4つある宿泊棟のうちの一つです。
安藤忠雄と言えばなんと言ってもコンクリート打放しですが、パークは安藤建築でも珍しい木造建築です。▼
ホテルの客室は4つある宿泊棟の中で一番多い41室です。2階建ての低層ですが、全室オーシャンビューで、バルコニー付きです。
ミュージアムの客室が10室、オーバルとビーチが各6室ですからその客室の多さがわかりますね。
PRパークのアート
ベネッセハウスパークには、ベネッセハウス宿泊者限定公開のアート作品の展示があります。パークに宿泊すると、すぐ近くなので何度も鑑賞が可能です。オーバルやミュージアムに宿泊している場合は、少し歩くか、車移動になりますが、絶対に観ておかなければなりません。
実はパークに宿泊した事はないのですが、パークにあるテラスレストランの朝食を予約して、その前後に鑑賞するのがパターンです。
テラスレストランの前▼
テラスレストラン
ここはディナーだけでなく、朝食もいただけます。目の前が海なので、朝はさわやかでとても気持ちがいいです。
このレストランには、ミケランジェロ・ピストレットの作品があります。一見馴染みすぎてて気づかない人もいますが、鮮やかなオレンジとブルーの作品です。
▲上の写真の壁のブルーが作品です。オレンジの作品はブルーの対面にあります。
テレジータ・フェルナンデス
テレジータ・フェルナンデスの作品「ブラインド・ブルー・ランドスケープ」はSNSなどで目にしたことのある方も多いでしょう。
ベネッセハウスパークとテラスレストランをつなぐ長細い通路に設置されたインスタレーションです。この作品は宿泊者でなくても鑑賞することができます。
朝のブラインド・ブルー・ランドスケープ▼
およそ1万5000個にも及ぶガラスキューブが壁に散りばめられ、ガラスに映り込む直島の自然と、それを覗き込む自分の分身と対峙することができます。
夜のブラインド・ブルー・ランドスケープ▼
PR須田悦弘
いつも、どこに作品が展示してあるのか、目を凝らして探し回るのが常の須田悦弘作品ですが、パークの「バラ」は、展示ケースに入れられ、照明があてられ、須田作品にしては珍しくとても作品然としています。
ミュージアムにはコンクリートの壁に作品があり、家プロジェクトではその作品を碁会所で見ることができます。直島にある3つの作品の中で、一番”らしい”のは、ミュージアムの「雑草」でしょうね。
須田作品のある通路から先は、ホテルのルームキーがないと入れないエリアなので、宿泊者限定展示作品です。
フロント周り
ベネッセハウスパークのフロントの正面にある巨大なトーマス・ルフの作品「基層 26 II」です。▼
これ、広い場所なのであんまり感じませんが、相当巨大です。トーマス・ルフの作品は、ベネッセハウスミュージアムの客室にもあり、以前ミュージアムに宿泊した時、トーマス・ルフの部屋に泊まりました。
こちらは、アントニー・ゴームリーの「サブリメイトⅣ 」です。都内の方は、オペラシティや東京都近代美術館、神奈川県立近代美術館葉山にも作品があるのでお馴染みですね。▼
PR杉本博司
パークの中で特筆すべきは、杉本博司作品です。実に12点の杉本作品が展示してあり、そのうち2点「光の棺」と「苔の観念」はサイトスペシフィック・ワークです。
光の棺
安藤建築のコンクリートの空間と杉本作品のモノクロームの写真作品の共演は素晴らしく、何回見てもハッとさせられます。
特に安藤建築のスリットから漏れる光をそのまま作品にした「光の棺」は秀逸です。杉本さんらしい安藤建築へのリスペクト作品です。
朝の光の棺。壁には「松林図」。写真だとわかりにくいので、是非、実際に訪れて本物を観てください。▼
夜の光の棺▼
PR鎮魂の間
このスペースは、安藤忠雄の光の教会をはじめ3つの教会の写真、そしてあの9.11で崩壊したワールドトレードセンターなど、モノクロームの建築写真が並びます。とても厳粛で静溢な空気が流れる空間で、9.11の犠牲者への鎮魂の意味合いがあるそうです。
苔の観念
「苔の観念」は、屋内からの鑑賞になりますが、作品そのものは屋外にあります。苔があるだけでとても日本的な作品に見えます。この苔の維持管理はなかなか大変そうです。
朝の苔の観念▼
中央にそびえるのは、立体作品「観念の形 003 オンデュロイド:平均曲率が0でない定数となる回転面」です。
夜の苔の観念▼
PR聞鳥庵
京セラ美術館の中庭にあった硝子の茶室聞鳥庵に直島で再会できるとは!
この茶室はそもそも2014年ヴェネツィア建築ビエンナーレ関連展に出品するためにつくられました。
茶室が組み上げられ、立体として眺めた時、それはピエト・モンドリアンの抽象絵画「コンポジション」の構成を彷彿とさせたことから聞鳥庵/もんどりあんと名付けられました。
ヴェネツィアで公開の後、ヴェルサイユ宮殿の現代美術プロジェクトに杉本さんが招聘され折に、パリ郊外ヴェルサイユ宮殿のトリアノン離宮の敷地内のプラ・フォン池に設置されました。
更に、2020年10月、京都市京セラ美術館のリニューアルオープンに際し、光学ガラスによる茶室までの橋が新たに設けられ、美術館の庭の池に設置されました。
京都市京セラ美術館の聞鳥庵▼
そして、2021年3月に直島のパークが聞鳥庵の安住の地となり、宿泊者限定で公開されています。
京セラ美術館も良かったですが、直島も更にいいですね。直島はパークラウンジの目の前なので、お茶を飲みながら茶室を眺めることができます。なんて優雅な時間!
それにしても、ここに元々あったジョージ・リッキーの「ペリスタイルV」はどこへ行ったのでしょうか?
今はもうない、朝日を浴びるジョージ・リッキー作品。これはこれで良かったんですけれど。▼
ミュージアムにあった「フォーラインズ」も見当たらなかったし。どこか、移設先を検討中なのでしょうか?▼
PRパークラウンジ
茶室前のパークラウンジも宿泊者専用ラウンジで、7:00-23:00の間自由に出入りすることが可能です。
セルフサービスですが、ドリンク類もあるので、茶室を眺めながらお茶を飲むことができます。
また、アート本もたくさん用意されているので、ゆっくり本を読みながらティータイムを過ごすことができます。
パークのアートは宿泊者限定なので、やっぱり直島にきたらベネッセハウスに宿泊したいですね。
パークとビーチに泊まったことがないので、次回は、、、と思うけれど、やっぱりミュージアムか、できることならオーバルがいいなぁ。
杉本博司ギャラリー時の回廊オープン
パークのギャラリーとラウンジは、2022年3月22日より杉本博司ギャラリー時の回廊としてリニューアルオープンしました。
宿泊者は23時まで、宿泊者でなくても11時から15時までオンライン予約をすれば見学可能になりました。
宿泊者は予約なしで自由に見学可能です。
11:00-15:00(最終入館14:00)年中無休 1,500円 呈茶(お茶とお菓子)付 要予約(宿泊者は予約不要)
秋の直島その2 憧れのベネッセハウスオーバルスイートはこちらから▼
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