水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催されている「ピピロッティ・リスト あなたの眼はわたしの島」を鑑賞してきました。
会期延期
ピピロッティリスト が日本で久しぶりの個展を開催するというのを知って、とても楽しみにしていました。個人的には、2007年の原美術館での個展以来なので実に14年ぶりです。
14年前に原美術館で見て衝撃を受けた「永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に」▼
当時、衝撃的過ぎて思わず購入した映像作品のBGMを収録したCD。今回は販売されてないようです。▼
4月ー6月に京都国立近代美術館、その後8月から水戸芸術館現代美術ギャラリーに巡回の展覧会です。京都は諦めて水戸芸に行くことを決めてからは、8月になったらすぐに観に行こう!とすごく楽しみにしていました。
しかし、しかし!!パンデミックによる緊急事態宣言の延長に次ぐ延長で、3回も会期が変更になり、その度に日程変更をして、今回3度目の正直でようやくの訪問となりました。最初の予定では8/7のスタートだったのですよ。それが、 結局9/20から始まりました。スタートは遅れましたが、終了は変わらないので、会期が1ヶ月に満たない貴重な展覧会になってしまいました。
展覧会の様子
どんな感じなのか知りたいという方は動画を参照ください。▼

京都国立近代美術館との違い
私は京都展を観に行っていないので、あくまで見聞きした結果の違いですので、ご注意ください。出品作品はほぼ同じですが、展覧会の構成は全く違います。
出品点数
出品点数は、京都が38点、水戸芸が37点です(私調べ)。どちらも出品リストには、展覧会の順路とは全く関係のない共通の作品ナンバーがふられていて(図録と同時進行で制作するのでありがち)、京都がno.1からno.39まで、水戸がno.1からno.40まで、そしてどちらもno.21の作品は出品されていません。
更に、水戸は京都に出品されていたno.31「クララ・ボルゲスは絵筆を浸した」とno.35「タカエズ・トシコ捧ぐダブル・ビッグ・リスペクト」の2作品が出品されていません。その代わり、京都には出品されていなかったno.40「冬の風景」を観ることができます。
空間に合わせた展覧会構成となっているので、どちらが良いかというのは愚問です。ただ、両方観たかったなぁとは強く思います。
京都では赤カーペットから覗いていた「溶岩の坩堝でわれを忘れて」▼
キャプション
京都では作品タイトルのみでしたが、足元にピンクの文字のキャプションがありました。水戸芸では入口で配布している作品リストのみでキャプションはありません。
手元の作品リストを暗がりで見るのはなかなかしんどくて、この件に関しては京都の方がよいと思います。
「わたしの草地に分け入って」
展覧会の出品作品はほとんど同じである事は前述しましたが、展示構成は全く違います。これも、残念ながら京都展は鑑賞してないので、webなど行かずして得られる情報をみる限りということになります。その中でわたしが一番気になったのはリスト本人が出演している「わたしの草地に分け入って」の展示方法です。
この作品は、ポスターやフライヤーなどでも使われていて、この展覧会のメインビジュアルの一つです。京都では、1階の入口にあるデジタルフォトモンタージュ作品「バッファローで教えたことはない」で構成された壁の中央がくり抜かれていて、そこからループで上映されていました。(見てないけれど)
それに対して水戸芸術館では、窓のスクリーンに建物内部から映像を投影されているのを、屋外から鑑賞します。▼
本当に窓ガラス越しにみるので、リスト本人がガラスに顔を押し付けられている様子がとてもリアルです。
ただし、難点は暗くならないと映像が見えないので、この作品の上映時間は日没(私が訪問した日は17:30頃)から20時までの限定上映です。
この作品の展示方法に限っては、水戸芸術館の圧勝ですが、時間が限定されているので、公平性に欠けるのが難点です。私は鑑賞することができましたが、知らずに帰ってしまう人、観たくてもスケジュール上夕方までいられない人など、事情によっては不満に思う方もいるでしょう。
ただし、入場料を払わずに見られる場所なので、別日に訪問してこの作品だけを鑑賞することは可能です。
知っておくと便利な事前情報
靴袋不要
京都は3階の展示室は全て土足厳禁で靴袋に自分の靴を入れて持ち歩きながらの鑑賞でした。しかし、水戸芸は全面ではなく、一部のエリアのみ土足厳禁です。
土禁エリアでその都度、靴を脱ぎカーペットに上がるシステムなので、靴を持ち歩く必要や、ましてや靴袋などは必要ありません。靴下は持参か履いていった方が良いですし、何より脱ぎ履きしやすい靴で出かけましょう。
このマークの場所では靴を脱ぎます。▼
屋外展示について
屋外展示は、「ヒップライト またはおしりの悟り」と「わたしの草地に分け入って」の2作品です。どちらも芸術館の外の2階部分です。ヒップライトは点灯が夕方なだけで、日中も作品の鑑賞は可能です。
磯崎新の建築とヒップライト▼
「わたしの草地に分け入って」の場所は芸術館のタワー側にあるヒップライトの下の窓ガラスです。上映時間は日没から20時までなので、その時間以外は観ることができません。この作品の鑑賞を前提にするのであれば17:30過ぎまでは水戸芸にいなければなりません。
「ヒップライト」の点灯時間と「わたしの草地に分け入って」の上映開始時間は、ほぼ同時刻です。
滞在時間(私の場合)
11時頃に入館して、水戸芸を出たのが18時頃です。ざっと7時間ほどいたことになりますが、途中ランチタイムで1時間半ほど抜けているので、5時間半くらいの滞在ということになります。
この中には、ミュージアムショップを見たり、水戸芸の建築写真を撮影していた時間も含みます。これはあくまで私個人の話ですので、もっと短縮することは可能です。しかし、1時間の鑑賞ではもったいないと思います。少なくとも2−3時間は滞在するつもりで出掛けた方が良いと思います。
撮影について
館内の作品は全て写真も動画も撮影可能です。ただし、会場内はかなり暗いので、なかなか写真撮影は難しいのが本音です。
座ったり横たわったり
会場内にはカーペット上に、ソファや椅子、クッション、ベッドまで!があります。これらは全て、腰掛けたり、座ったり、寝転んだりして作品を鑑賞することができます。
初期シングルチャンネル・ビデオ上映
いつもはクリテリオムと言って若手作家の作品を展示しているギャラリースペースで、リストの初期の映像作品の上映をしています。ループ上映なので、いつ入っても問題ないです。
1部屋でスクリーン画面が2つありますが同じ内容です。7つの作品のうち3つの作品が(PG12)で、全部見るのに約45分かかります。
更に、もう1カ所同じ2階のパイプオルガンの正面スペースでも全く同じ作品がモニターで上映されています。
再入場可能
座ったり、寝そべったり、ベッドに横たわったりして鑑賞するとはいえ、なかなかのボリュームです。予約制が導入されている日についてはどうなのか確認していないのでわかりませんが、私が行った日は、チケットを見せればその日に限り再入場が可能でした。ですから、途中ランチタイムを取ったりして、気持ちを新たに鑑賞することができました。
コロナによるパンデミックで会期がかなり短縮されてしまったのであっという間に会期後半に突入です。これからの週末は特に混雑が予想されますので、可能な方は平日の訪問をお勧めします。
展覧会基本情報
2021年9月20日(月)~10月17日(日)10:00-18:00 月休 入場料一般900円
10月9、10、16、17日は場内混雑緩和のための優先入場予約を実施 詳細はこちら