旅好き、アート好き、建築好きを虜にする直島のBenesse Art Site Naoshimaは、いつ行っても、何度行っても新しい発見のある場所です。まずは安藤忠雄設計のベネッセハウスミュージアムの夜と朝について。
PRベネッセアートサイト直島
4度目の長い長い緊急事態宣言があけて早速向かったのは、夏の気候の名残のある初秋の直島です。
ベネッセアートサイト直島というのは、直島の施設や場所の名称ではなく、直島、豊島、犬島の株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人福武財団が展開しているアート活動の総称です。
私が初めて直島を訪れたのはベネッセアートサイト直島が現在の壮大な規模になる以前で、地中美術館も李禹煥美術館もパークもビーチもない頃でした。(遠い目)
それでも、遠路遥々瀬戸内海を渡って辿り着いた島は、都会育ちの若輩者の心に響き渡る魅力の塊でした。
その後のベネッセアートサイト直島のめざましい発展は、ご存知の通りで、直島だけでなく豊島、犬島と広がり、瀬戸内海に浮かぶ美しい島々を目指して世界中から旅行者がやってくる類稀な場所へと躍進したのです。
安藤忠雄設計
ベネッセアートサイト直島には建築家安藤忠雄との協働で完成した施設が多数ありますが、1992年にオープンしたベネッセハウスミュージアムは、「自然・建築・アートの共生」をコンセプトに泊まれる美術館として設計された施設です。安藤忠雄が手掛けたベネッセアートサイト直島の初期の施設でもあります。
私が初訪問した遠い昔も当然ながら、ここはありました。
すでに30年が経過しているベネッセハウスミュージアムですが、その姿も機能も全く色褪せず、直島を訪れる多くの旅行者の中で、この建物を訪問しない人はほとんどいない直島の核とも言える施設です。
PR
泊まれる美術館
ベネッセハウスミュージアムの特徴は、”美術館の中に泊まれる施設”なので、その開館時間の長さです。
宿泊者は朝8時から23時まで鑑賞が可能です。寝る前に美術鑑賞、朝起きて美術鑑賞ができる、まさに”泊まれる美術館”です。贅沢ですね。しかも瀬戸内の美しい海と光の中でですよ。
そして、もう一つベネッセハウスミュージアムの特徴は、自然光をふんだんに取り入れた美術館であることです。通常、自然光すなわちUVは、美術作品にとっては嫌われる要素ですが、美術館のあらゆる場所で効果的に光を取り入れている建築です。
雨にも負けず、風にも負けず屋外にある杉本博司の「タイム・エクスポーズ」。本物の瀬戸内の「海景」と並んで展示されている「海景」が観られるのはここだけではないでしょうか。なんて贅沢な展示なんでしょう!▼
写真撮影解禁
今までベネッセアートサイト直島ではほとんど屋内施設での撮影が禁止でした。しかし、なんと!2021年4月から一部の作品で写真撮影が可能になりました。動画の撮影は禁止です。
ベネッセハウスミュージアムでは、柳幸典の「バンザイコーナー96」だけは撮影禁止ですが、あとは可能です。
インスタグラムへの投稿は #benessehousemuseum または #ベネッセハウスミュージアムをつけましょう。
撮影に関する詳細はこちらで確認してください。
PR
夜のベネッセハウスミュージアム
私の場合は、直島に上陸してから、たいてい宮浦港界隈、家プロジェクト、地中美術館、李禹煥美術館などを見て廻ってから、最後にベネッセハウスに到着するので、まずは、夕刻ないし夜のミュージアムを鑑賞することになります。
静寂の中、闇に浮かぶ安藤忠雄建築と美術作品▼
地下1階から3階までの圧巻の吹き抜けに展示されている作品はブルース・ナウマンの「100生きて死ね」のたった1点だけという贅沢さ。
安藤建築とアート作品のこれ以上ないコラボ空間です。▼
ループで点灯していく作品ですが、定期的に来る全点灯の瞬間です。この作品は夜に堪能したい作品です。▼
無機質なコンクリートで包まれた吹き抜け空間が、柔らかなピンク色に染まる全点灯の瞬間をじっくり椅子に座って鑑賞できます。▼
ホテルの部屋数もそんなに多くはないので、何度か訪問していますが、夜のミュージアムに多くの人がいることはほとんどありません。
全てのアート作品が自分のために、展示されているような非現実的な気分になれる贅沢な空間です。旅に大事な”日常を忘れる”ための要素が全て揃っています。
PR
ミュージアムギャラリーツアー
ベネッセハウスミュージアムでは、16:00から作品の解説をしてくれるギャラリーツアーを行っています。宿泊者は無料で参加できますし、開始時間にフロント前に集合するだけで参加できるので予約の必要はありません。
私も以前に一度参加したことがあります。ミュージアム初訪問の際は、このツアーに参加すると、作品への理解が深まり面白いのでおすすめです。
お馴染み木彫の須田悦弘作品。見逃しやすいので要注意です。定期的にメンテナンスに直島に行っているという話を本人から聞いたことがあります。そういう日々の積み重ねが、現在の劣化を感じさせない施設へと繋がるのですね。▼
朝のベネッセハウスミュージアム
ベネッセハウスに来たら、寝坊なんてしては絶対にいけません。かくいう私も日常はギリギリまで寝ているのですが、ここへ来たら日常とは全く違う行動が出来てしまう不思議。
朝、8時から開館しているのですから、開館からアートを堪能して脳を目覚めさせます。
この空間の朝の光の美しさったら。▼
真っ青な空と降り注ぐ朝の日差し、光を浴びる安田侃の丸くて白い石「天秘」は、この場所のために制作された作品で、ベネッセハウスの特徴の一つでもあるサイトスペシフィック・ワークです。▼
この光の入り方は、時間、季節、天候で全く違ってきます。
訪れたその日、その時間、その天気の作品が鑑賞できるのも、私を含めベネッセハウスに多くのリピーターが訪れる理由の一つです。▼
「100生きて死ね」は、ネオン管が点灯する作品なので夜の鑑賞がおすすめだと書きましたが、前言撤回。朝も全く遜色なく否、遜色どころか、実は朝の方が天井の三角錐型に飛び出たあかり取りからの爽やかな光を受けて、神々しく見えました。
コンクリートに降り注ぐ光の形と位置が刻一刻と変化して、朝の大吹き抜け空間は、安藤建築の真骨頂とも言っても過言ではありません。▼
全点灯としている「100生きて死ね」と降り注ぐ太陽の光▼
リチャード・ロングの作品も安田侃作品同様に、この空間のために制作されたサイトスペシフィック・ワークです。▼
屋内と屋外に作品があるのでその対比を鑑賞することができます。▼
PRいつも、直島を旅する時は、1日目が直島、翌日には朝から豊島、または犬島へ渡るというコースになるので、朝のベネッセハウスミュージアムをゆっくり鑑賞することが叶いませんでした。
今回は、いつもと趣向を変えて、せっかくオーバルスイートに宿泊したのですから、チェックアウト時間の11時まで滞在することにしました。
ですから、午前中のミュージアムを心ゆくまで堪能することができました。せっかく来たから、あれもこれもと慌ただしくなりがちですが、今回の決断は晴天に恵まれたことも手伝って、大成功でした。
もうすでに次はどの季節に、どこに重きをおいた直島旅にするか考えを巡らせています。
次回の直島旅の妄想をすることも楽しみの一つでもあったりするのです。
ベネッセハウス ミュージアム基本情報
8:00〜21:00(最終入館20:00) 入場料 1050円
年中無休 開館カレンダー
宿泊者:8:00-23:00 入場無料
秋の直島その2 憧れのベネッセハウス オーバルスイートの魅力はこちらから▼
PR