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駐日大使館特集<その2>中に入れるチャンスがある大使館 スペイン、オランダ、デンマーク、スウェーデン


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日本には153の国の駐日大使館があります。特に港区にその大半が集中していて、さらにその港区内でも麻布エリアはちょっと歩いているだけでさまざまな国の大小の大使館を目にすることになります。

大使館の規模はその国の経済状況や日本との関係を如実に現していて大変興味深く、その建物や様子を見るだけでも興味深い存在です。と同時に大使館というとガードが堅く近寄り難いイメージがあります。

大使館や領事館は、英語しか通じないのではないかとか、亡命者が逃げ込むとか、ビザの発行関連など庶民にとっては親しみがあるというよりは縁遠い存在で、簡単に入ることのできない場所だと感じている方が多いでしょう。実際簡単に入ることはできません。

そんな、ガードの堅い数多くの大使館の中でも、実は内部に入ることができる大使館がいくつかあるのです。

今回は、イベントや展覧会などで私が実際に内部を訪問したことのある大使館の特集です。

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スペイン大使館

大航海時代の16世紀半ばに日本と初めて関わりを持ったヨーロッパの国がスペインです。

ただ日本が鎖国体制を敷きスペイン船の来航を禁止したり、スペイン帝国も斜陽の坂を転げ落ちていったことで長く関係が途絶え、国交を回復したのは明治元年(1968年)。その時からスペイン大使館(当初はスペイン公使館)が設置されています。

どこにある?

現在のスペイン大使館の場所はアークヒルズに隣接した六本木一丁目。最寄り駅も地下鉄六本木一丁目駅です。

近くには「スペイン坂」がありますが、渋谷のなんちゃってスペイン坂と異なり、こちらはスペイン大使館にちなんで命名された本物のスペイン坂です。

またスペイン大使館の周囲は桜の名所で、桜の季節になれば多くの花見客で賑わいます。

どんな建物?

大使館自体の外観は巨大な立方形のオフィスビルです。

▲だた蔦が絡まった外壁、年代を感じる門扉や門柱などは見どころかもしれません。

そして築100年近いスペイン大使公邸。これはオランダ大使公邸と同じくJ・M・ガーディナーによる設計で、新古典主義による左右対称なところなどそっくりです。

どんな展覧会が見られる?

スペイン大使館の地階には広くてスタイリッシュな展示スペースがあり、そこではスペイン文化を紹介したり日本との交流の歴史を振り返るような展覧会が頻繁に開催されています。

ほとんどは入場無料、予約も不要です。

▲ガウディの展覧会に展示されていた大トカゲ(のレプリカ)。

バルセロナのグエル公園のシンボル、いやバルセロナのシンボルと言ってもよいトカゲです。

▲その大トカゲが展示されていた地階のスペース。

本格的なギャラリーと比べての遜色のないホワイトキューブなスペースです。

▲これもガウディ展のときの展示風景。

天窓から陽の光が入る開放的な展示空間です。

▲現代スペインを代表するアーティストの1人マヌエル・フランケロの展覧会のとき。

ほぼ自然光だけによる空間。

スペイン大使館での展覧会は、できれば天気の良い日に訪問したいですね。

▲スペイン大使館は外観こそ無機質な感じですが、内部の特に地下展示室はこのような劇的な空間なのです。

▲これはスペインの家具業界の展示会。

展覧会ばかりでなく、こうした商談会も開催されるのは大使館ならではです。

セキリュティの高さは?

地下展示室での展覧会や展示会は原則誰でも無料で見学することができて、特に予約も必要ありません
(事前予約が必要なイベントもあります)

展覧会の鑑賞に際しては身分証明書の提示は不要ですし、氏名を告げる必要はありません。

ただし簡単な荷物チェックとボディチェックが行われます。

また大使館内は地下展示室以外は撮影禁止となっています。

訪問できる時間は原則として平日の10:00から17:00までですが、スペインらしく金曜日だけは16:00までとなっています。

 

基本情報

駐日スペイン大使館


港区六本木1丁目3−29 MAP

見学可能時間:10:00〜17:00 (金曜日は16:00まで)

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オランダ大使公邸

立教大学の校長も務めたアメリカ人教育者で建築家のジョームズ・ガーディナーは日本で2つの大使公邸を手がけています。

一つは前に紹介したスペイン大使公邸。そしてオランダ大使公邸をほぼ同じ時期に手がけています。

スペイン大使公邸はお呼ばれでもしない限り中に入ることはできませんが、オランダ大使公邸は年に1日だけ「チューリップガーデン一般公開」の日に特別公開され、誰でも無料で見学することできるのです。

どこにある?

オランダ王国の駐日大使館(オランダ大使館)は芝公園、東京タワーのお膝元という都心の一等地に位置しています。最寄り駅は神谷町、大使館の前は芝学園、大使館の裏手はオランダヒルズです。

大使館の広い敷地のオランダヒルズ側に大使館業務を行う本館が、切通坂(手まり坂とも)寄りに大使公邸が建っていて、切通坂からは大使公邸しか見えません。大使公邸を大使館だと勘違いしている人も多いかもしれません。

どんな建物?

大使公邸はJ・M・ガーディナーが設計したコロニアル様式の洋館です。

▲現存する数少ないガーディナーが関わった建築です。それ以前の公邸が関東大震災で倒壊した教訓をもとに、当時の先端技術であったコンクリートが用いられています。

▲庭園美術館のベランダそっくりな市松模様のベランダ。

20世紀初頭の流行だったのでしょう。

どんな展覧会が見られる?

オランダ大使公邸に入れるのは年に1日だけ。「チューリップガーデン一般公開」です。

▲もちろん最大の見どころ敷地内に咲く16,000輪以上のチューリップ。本場オランダの人が見立てチューリップです。

▲建築とアート的にはガーディナーの遺作でもある大使公邸そのものはもちろん、オランダの家具や調度品も見逃せません。

なお、チューリップガーデン公開日は予約サイト(Peatix)からの事前予約制です。以前は並べば入場できましたが、今は予約がないと入場できませんから春になったらオランダ大使館のサイトで予約開始日をチェックしてください。定員枠が少ないのか競争率はかなり高めです。予約が始まったその日にうちに定員に達すると思ってください。

セキリュティの高さは?

予約時にメールアドレスなどが確認されているので身分証明等の提示は不要です。

▲あとはPeatixの予約チケット(電子チケット)を見せ簡単な荷物チェックで入場できます。

 

基本情報

駐日オランダ大使館


港区芝公園3丁目6−3 MAP

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デンマーク王国大使館

デンマークといえば北欧の高福祉国家というイメージはありますが、具体的に何を知っているかというと玩具のレゴに童話のアンデルセン、あと最近はデンマーク家具が注目されているよねぇくらいで、あまり馴染みがなかったりします。

でも日本が明治維新で開国したときから国交のある古い付き合いのある国です。

どこにある?

その駐日デンマーク王国大使館が位置するのは代官山の旧山手通り沿い。

ヒルサイドテラスにも隣接していますし、代官山の駅からT-SITEへ向かえば必ず目に入ります。

どんな建物?

約30年間にわたりヒルサイドをテラスのコンセプトを作り建物を設計してきた槇文彦による設計の大使館です。

▲隣接するヒルサイズテラスと同じようなタイル貼りの低層の建物。建物の色こそ違え雰囲気はそっくりですね。

ただデンマーク大使館はヒルサイドテラスとは別という扱いです。それでも代官山の風景に馴染むよう朝倉不動産とデンマーク王国で話し合って槇文彦に設計を依頼したのではないでしょうか。

▲曲面と直線をうまく融合させたモダンな建物です。

どんな展覧会が見られる?

Cデンマーク大使館を見学できるのは年に1回、秋の週末に開催される代官山のお祭り「猿楽祭―さるがくまつり」の日です。

▲デンマーク大使館でも「Denmark Open Days」としてデンマークの食材やライフスタイル関連のグッズの展示紹介や販売が行われます。

そして大使公邸のガイド付きツアーも行われます。

残念ながらこのツアーは事前登録制で今まで参加したことがありません。参加することができたらその様子をレポートします。

▲大使館の中庭で迎えてくれるのはコペンハーゲンの名物「人魚姫の像」のレプリカです。世界三大ガッカリと失礼なことを言われたりします。

ちなみにこの像の頭部のモデルはデンマークのバレリーナですが、首から下は制作者である彫刻家エドヴァルド・エリクセンの妻、エリーネ・エリクセンがモデルを務めています。

そのエリーネの甥はE・H・エリックと岡田眞澄なんですって

▲広い中庭には展示ブース。

▲デンマークの名物料理を食べられる屋台も出ます。

なお、Open Daysの他に不定期でコンサートなどを開催することもあって、その日も館内に入場できます。

セキリュティの高さは?

Open Daysやイベントでは特に身分証明書の提示や荷物チェックも必要なく入館することができます。ただイベントの性質によってはチェックが厳しい場合もありそうですから主催者の指示に従ってください。

過去のデンマーク展についてはこちらの記事を参照ください▼

基本情報

デンマーク王国大使館


渋谷区猿楽町29−6 MAP

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スウェーデン大使館

世界でも先進的な民主主義国のスウェーデン。ヨーロッパの国としては英仏独伊の次くらいに知名度も親しみもあるし、IKEAやH&M、ボルボにSpotifyといったスウェーデン企業のブランドはすっかり日本にも浸透しています。そして年末が近づけばノーベル賞の話題で持ち切りになるくらい近しい関係のスウェーデンですが、日本との国交は明治維新のとき(1868年)から。

日本にスウェーデン大使館が設置されたのは意外にも戦後になってからのようです。

スウェーデン大使館にも展示スペースやオーディトリアムそして大使公邸があり、年に何回か大使館内や公邸を一般に公開しています。

2023年も6月15日までの平日に「ナショナルデーのパネル展」が開催されています。(大使公邸も見学できるオープンハウスは申し込みが締め切られています)

どこにある?

駐日スウェーデン大使館が位置するのは住所でいえば六本木一丁目。

再開発街区である城山ガーデン(しろやま・がーでん)の敷地内で、大使館の目の前は泉ガーデンというか泉屋博古館東京、斜向かいにはスペイン大使館というロケーションです。

最寄り駅は地下鉄六本木一丁目駅か神谷町駅。六本木一丁目駅からエスカレーターを乗り継いて行くか、神谷町から城山ガーデンの中を抜けるか。どちらも徒歩5分くらいです。

どんな建物?

城山地区の再開発の一環として1991年に竣工したスウェーデン大使館の設計は、スウェーデンの建築家ミカエル・グラニットと加藤吉人による設計。

大使公邸の建物も同時に竣工したもので、特に歴史的建造物というほど古い建物はありません。

ただ2023年7月で改修工事のため一旦閉館し、数年後に生まれ変わる予定です。

▲でもこの壁面が湾曲している変わった造形を見ると印象が一変するかもしれません。

太陽の動きに合わせた形状になっていて決して影ができないような設計になっているそうです。

さすが太陽が貴重な北欧らしい発想です。

▲泉ガーデン側から見たスウェーデン大使館。

たしかに壁が湾曲し、建物がらせん状になっているらしいことが分かります。

天気の良い日に訪れて、本当に影がないのか確かめてみたくなりますね。

▲城山ガーデンから見たところ。

大使館の建物は地上8階、地下2階。でも城山ガーデン側(裏側)は斜面で低くなっているので、地下2階といっても実際には地上レベルになるのだと思います。

大使館の建物に大使公邸のエリア、大使館職員の住居エリアなどがあるのですが、フロア構成などはよく分かりません。

▲これは中庭の様子。やはり北欧なので太陽は利用できるだけ利用しようという発想なのでしょう。

この写真で右側はビジネス系のオフィスエリア、奥に窓が並ぶ辺りが大使館エリアになっているようです。

どんな展覧会が見られる?

スウェーデン大使館に入館できるのは時々開催している展覧会、年に1回のナショナルデー・オープンハウス、稀に開催しているボルボなどスウェーデン企業の展示会のときです。

▲展覧会や展示会の会場となるのはたいてはこの「ベルイマンホール」。

スウェーデンでベルイマンという名が付けば誰もが映画監督のイングマール・ベルイマンだと思いますが実際ベルイマン監督に因んで命名されているようです。

写真奥に見える木製のドアの中がアルフレッド・ノーベル講堂です。

▲ベルイマンホールの片隅に置かれたベンチ、ソファ。半円形状形の窓から見える城山ガーデンを借景にしています。

洗練されたシンプルさというのは日本人の感性にも近しいものがありますね。

▲ベルイマンホールの全景です。

ここで展示会などを行うのですが、ホールの片隅にはバースペースがありました。

パーティーなどにも使えるホールのようです。

▲これは大使館の待合室。

椅子、テーブル、テーブルの上の小物など北欧感が満載です。

いきなりこんなオシャレな空間が迎えてくれるんですね。もっとも国の顔でもある場所なので、ここがダサかったらまずいです。

▲手前がベルイマンホール、左手がノーベル講堂、そして写真奥が中庭テラスという位置関係です。

イベントの種類のよってこの3エリア、それと場合によっては大使館前庭が一般に公開される場所になります。

セキリュティの高さは?

展覧会などイベントで入館する場合は特にセキュリティらしいものはありませんでした。

▲大使館の業務エリアに入るにはセキュリティチェックがあると思いますが、パブリックスペースに入るのに身分証の提示や荷物のチェックなどは行われません。

こんなスウェーデン大使館ですが前述のとおり2023年7月でいったん閉館します。数年後に生まれ変わったときに、さらに素敵でオープンなスペースになっていることを期待しています。

過去のスウェーデン大使館のイベント記事は▼

 

基本情報

駐日スウェーデン大使館


港区六本木1丁目10−3 MAP

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