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信楽の山中にある現代の桃源郷 I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム


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久しぶりの滋賀県旅行、滋賀旅では超絶久しぶりに再訪した美術館があります。それはとんでもない山奥に突如現れる私立の美術館です。

初訪問は開館したばかりの頃なので20年以上ぶりの再訪となりました。久しぶりに訪れましたがやっぱり色々すごい美術館です。

20数年前、いろんな意味で抜きんでいた美術館ですが、やっぱり現在も色々抜きんでていました。

滋賀県は甲賀市信楽の山の中にあるMIHO MUSEUMのすごいところをレポートします。

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MIHO MUSEUMの導入

MIHO MUSEUMはその導入からすごいんです。

え?こんな山の中に本当に美術館があるの?という道を車で走ると到着します。しかし、駐車場から見える建物は美術館ではありません。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲ついた!と思った建物は美術館ではなくレセプション棟です。

美術館のチケットはここで購入します。チケットカウンター以外にここにはレストランもあります。

また、ここから美術館まで徒歩で向かいます。車ではレセプション棟手前の駐車場までしか入れません。

徒歩で向かう自信がない方は10−15分間隔で運行している電気自動車に乗って美術館棟まで行くこともできます。

電気自動車は予約不要無料です。乗り場で待てば誰でも乗れます。

普通に歩ける方は歩いて行くことを推奨します。歩いても7−8分です。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲歩いて行くことを推奨するのには理由があります。

レセプション棟から美術館までの500mのアプローチロードがものすごく劇的だからです。どう劇的かというと普通の道ではないからです。

長くカーブしたトンネルを歩くのですが、他にありそうでいて実際にはなかなかない不思議空間です。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲これどこに向かっているの?という雰囲気です。現代の桃源郷へ向かうのですから、普通の道なわけありませんね。

ステンレスで覆われた大トンネルは、最小限の照明だけ。出入り口から漏れてくる自然光を頼りに前に進むのみです。。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲ようやく美術館が見えてきました。トンネルを抜けるとそこは雪国ではなく美術館だった。

トンネルの先の長い橋梁を通っていよいよ美術館です。

この橋梁は2018年にルイ・ヴィトンがランウェイとしてファッションショーを行ったことで世界的にも有名になりました。

この長い長い美術館までの劇的なアプローチで「あれ!?どこかに似てない!?」と感じた方は私だけではないはずです。

そうです!美術館名もなんだか似ている熱海のMOA美術館です。

MIHO MUSEUMとMOA美術館は無関係ではないのです。その件は後ほど。

MIHO MUSEUMの設計

MIHO MUSEUMを設計したのは、2019年に102歳でこの世を去ったI.M.ペイ(イオミンペイ)です。

I.M.ペイは、中国生まれのアメリカ人で最も有名な作品はルーブル美術館のガラスのピラミッドです。これはI.M.ペイが「幾何学の魔術師」と呼ばれる由縁です。

MIHO MUSEUMは1997年の竣工で、その計画にはなんと6年の歳月がかかりました。これまたすごいですね。

というのも滋賀県信楽の35万坪に及ぶ広大な山中の敷地のどこに美術館を建設するかという事からI.M.ペイが考案したのです。計画に6年かかったのもすごいけれど建設候補となる敷地が35万坪っていうのも普通じゃありません。

I.M.ペイはMIHO MUSEUMの設計だけでなく、同じ信楽に1990年神慈秀明会カリヨン塔を手がけています。

さらに美術館建設後2012年にはMIHO美学院中等教育学校MIHOチャペルを設計しました。うーん、なんとなく美術館の原資がわかってきましたね。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲MIHO MUSEUMのエントランス。2006年に竣工したI.M.ペイ設計の蘇州博物館とシルエットが共通しています。

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MIHO MUSEUMの空間

内部に入ると入り口からは想像できなかった大空間が広がります。エントランスでは「幾何学の魔術師」らしい天井が目に飛び込んできます。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲山の中にあるので窓からは大自然が見渡せます。壮大な空間に雄大な風景。ここでしか得られない空間体験です。

この場所は最初に来た時の記憶も鮮明です。むしろトンネルとこの大空間の記憶しか残っていないくらいすごい空間です。

晴天だと天井のフレームがライムストーンの床に美しい幾何学模様の影を落とします。今回は残念ながら曇っていたのでその様子は見られませんでした。大きな正面の窓ガラスからは大自然のみと思うと、右の方に目を向けると山の中に何か見えますね。

こんな山の中になんだろう!?誰もがそう思うはずです。それは後ほど。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲床も壁も贅沢にライムストーンが使われています。中庭の周囲の窓には障子が付けられ落ち着きのある空間に仕上がっています。

洋風なしつらえの中に和風な要素がされげなく入っています。でも違和感どころかとってもしっくりきています。床のライムストーンは三角形で壁と差別化したデザインです。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲中庭は苔と玉砂利の和風な庭園となっています。開館してから30年近く経ちますが、建築も中庭も全く古さを感じさせません。手入れも行き届いています。

MIHO MUSEUMの階段

実は、展示室内の写真撮影は禁止なので、コレクションや企画展については触れません。

このブログではMIHO MUSEUMの美しい階段を取り上げたいと思います。美術館はエントランスを中心に北館と南館に分かれています。

南館は展示室が地下1階に、北館は展示室が2階に位置しています。各々エントランスと展示室を繋ぐ美しい階段があります。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲南館にある階段です。床も壁もライムストーンのゴージャスな階段。天井には幾何学模様のトップライトがあります。すごいなぁ。

この階段だけでもかなりバジェットのはずです。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲北館の階段。正面には窓があり、こちらもトップライトの幾何学が美しい空間です。もちろんここも全部ライムストーンです。すごい!

手すりと腰壁は可能な限りその存在を消しています。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲北館の大階段。手すりも含めて全てライムストーンです。もうさすがとしか言いようのない壮麗な階段です。

エントランスだけでもすごいのにもっとすごい空間が別にあることに驚きます。

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MIHO MUSEUMのミュージアムカフェ

建築と展覧会を堪能したらやはりミュージアムカフェでスイーツです。

レストランはレセプション棟ですが、カフェは美術館棟にあります。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲床の目地はここも三角形で天井の幾何学模様と呼応しています。

I.M.ペイ設計 MIHO MUSEUM / ミホミュージアム 写真:建築とアートを巡る

▲コーヒーとケーキではなく和菓子と緑茶にしてみました。

天井が高く広々とした空間でとっても美味しくいただきました。

MIHO MUSEUMとは

MIHO MUSEUMは新興宗教の世界救世教から分立した神慈秀明会の創設者小山美秀子のコレクションを展示する美術館です。

簡単にいうと小山美秀子は世界救世教の教祖岡田茂吉の弟子です。

岡田茂吉のコレクションは熱海のMOA美術館に所蔵されています。

美術館名のMOAはMokichi Okada Associationの略です。MIHO MUSEUMのMIHOはもちろん小山美秀子(みほこ)のMIHOです。

新興宗教の師弟が各々美術コレクションを所蔵する豪華な美術館を建設したということです。それも山の上と山の中に。

どちらも原資は宗教です。そして、どちらも主に今は亡き教祖のコレクションを所蔵をする私立美術館ということです。

写真:建築とアートを巡る

▲ちなみにエントランスだけでなく階段など美術館にある大きな開口部からは必ずこの建築が見えます。

左に見えるのがI.M.ペイが設計を手がけた神慈秀明会カリヨン塔です。右側にある大きな屋根は神慈秀明会の本部です。

本部は信者たちにとってはメッカのような場所なので、美術館のどこからでも見られるようになっているのではないでしょうか。

この山全部宗教の土地なんでしょうね。やっぱりすごいなぁ。

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久しぶりにMIHO MUSEUMを再訪しましたが、そこはかとなく漂う新興宗教の雰囲気ととんでもなくゴージャスで贅沢な建築は健在でした。やっぱりここはすごい!

基本情報

MIHO MUSEUM

開館時間:10:00 – 17:00

休館日:春季・夏季・秋季、各開館期間中の月曜日(祝の場合翌日)、展示変え期間休館

入館料:一般1300円、大高生1000円、小中無料

住所:滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300MAP

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