八ヶ岳の麓、長野県小海町にある小海町高原美術館は、あの安藤忠雄設計の公立美術館です。当然ながらコンクリート打ち放しの建築がかっこいい美術館なのですが、その立地もまた広々とした自然豊かな高原に建っていて、都会ではみられない景色が広がります。
美術館では、郷土作家の展覧会だけでなく、現代美術や写真、デザイン、アニメの展覧会などを開催しています。
(アニメ「君の名は」などで知られるあの新海誠監督は小海町の出身です)
ですから、建築好き、安藤忠雄好きはもちろんのこと、アート好きも楽しめる美術館です。
公共交通機関でアクセスするのはちょっと不便ですが、車だったら大きな駐車場もあるし、お隣には地元の人たちに大人気の日帰り温泉施設「八峰の湯」があるので、美術館の行きや帰りに一風呂なってことも可能な場所です。
PR小海町高原美術館はいつできた?
小海町高原美術館は、安藤忠雄の設計で1997年7月29日に開館しました。
同じ1997年に竣工した安藤忠雄建築には、私も宿泊したことのあるTOTOシーウィンド淡路があります。
また、小海町高原美術館は安藤忠雄設計の公立美術館としては、1994年に竣工した岡山県高梁市の高梁市成羽美術館に続いて古い公立美術館ということになります。
また、90年代は1992年にベネッセハウスミュージアム、1995年にベネッセハウスオーバルが竣工しています。
他にも本福寺水御堂(1991年)、京都府立陶板名画の庭(1994年)、アサヒビール大山崎山荘美術館(1995年)、淡路夢舞台(1999年)など数々の名建築を世に送り出しています。
90年代は、50代の安藤忠雄が建築家として円熟期を迎えた頃なので、日本各地、そして世界へとその活動領域を広げ始めた頃でもあります。
小海町美術館はどんな建築?
小海町高原美術館は、エントランスのある正面からは、その全体感が全くわかりません。
▲コンクリートの壁の間を抜けていくと館内入り口へのアプローチへとつながります。
▲館内へ入るその導入は直島の李禹煥美術館などと同様に、上層階がないので全体を見ることはおろか、規模も雰囲気も全く想像できない状態で美術館へと誘われるワクワクドキドキのアプローチです。
PR
▲エントランスから美術館内に入ると受付カウンターがあり、展示室はすべて地下にあります。
ですからチケットを購入していきなり地下へ向かうスロープを歩き、展示室へ向かうことになります。
このスロープがとってもドラマチックなんです。
安藤忠雄建築の階段がとても好きなのですが、ここのドラマチックポイントは階段ではなくコンリートとガラスの挟まれた長いスロープ空間です。
▲1階のエントランスには地下からの吹き抜け空間があり、順路でいう最後の展示室を上から見下ろせるようになっています。
▲美術館全体を正面入り口とは真逆の後ろから眺めた様子です。左側が美術館のエントランス空間で受付カウンターがある場所です。その反対側の右側はミュージアムカフェ花更紗です。
そして、まるで巻貝のように地中からせり出している円形の空間が展示室です。
▲これは巻貝のような円形の展示室の内部です。
チケットカウンターから地下への展示室へは、この天井の高いガラスの箱の中のスロープで向かいます。正面から館内の入り口までは閉ざされたコンクリート壁の間を通り、館内ではチケットカウンターから展示室まで、高原の風景の楽しみながら開放的なガラスのスロープを通ります。
どうですか、この緩急というか閉じられた空間と開かれた空間のギャップ。さすが安藤忠雄です。
PR
小海町高原美術館で何がみられる?
展覧会
今回、小海町高原美術館へ再訪した際に開催していたのは、「イン・ポライト・カンヴァセーション:礼儀正しい会話でー社会的実践:アメリカの現代美術ー」が開催されていました。
カリフォルニア州オーシャンサイドに住み、活動している2人の現代アーティスト、アリソン・ボードリーとヨシミ・ハヤシの2人展です。
▲展覧会では作品を鑑賞するだけでなく、作品によっては体験できるものもあり、他に誰も来館者がいなかったこともあって、存分に楽しませてもらいました。
「イン・ポライト・カンヴァセーション:礼儀正しい会話でー社会的実践:アメリカの現代美術ー」
2023年7月1日〜9月3日 一般500円、高校生以下無料
※この展覧会は写真撮影可能でしたが、展覧会によって撮影可否は異なります。都度現地での指示を確認してください。
▲美術館からは、意図的に整列して植えられた白樺や、本当の自然を眺めることができます。
展望台
小海町高原美術館のポイントはドラマティックなスロープだけではありません。
▲この美術館でみられるのは展覧会だけではありません。安藤忠雄設計の美術館そのものを見るためだけに建てられた展望台があるのです。
これは上らないわけには行きません。入り口からはどうなっているか全くわからなかった美術館の全貌をここに上がれば一目で見渡すことができるのです。このブログの美術館の俯瞰の写真はここから撮影したものです。
美術館だけでなくその向こうに見える山並みも美しく、ちょっと大変ですが、ぜひ上ることをお勧めします。
PR
小海町高原美術館はどこにある?
小海町高原美術館がある小海町は、長野県の東部、南佐久地域のほぼセンターに位置します。
東には佐久穂町(旧佐久町)・北相木村、西には八ヶ岳連峰を境に茅野市、南は南牧村・南相木村、北は佐久穂町(旧八千穂村)と各々隣あっています。
小海町の中央を南北に流れる千曲川に沿って平坦地になっており、ここを国道141号とJR小海線が通っています。
都内から車で約3時間半くらいでこのような最高のシチュエーションにある安藤建築をみられるのですから、行かない手はありません。
隣には大人気日帰り温泉があり、この温泉施設と美術館の駐車場は共用なので、大駐車場にはたくさんの車が停まっています。
初訪問の時はさすが安藤忠雄建築!大人気!とびっくりしましたが、その9割が温泉施設目当ての来訪者の車でした。
美術館入り口の目の前に車を止めることが可能です。
安藤忠雄建築一覧
安藤忠雄建築のまるさんかくしかくの丸い建築▼
安藤忠雄建築のまるさんかくしかくの三角の建築▼
安藤忠雄建築のまるさんかくしかくの四角の建築▼
青山・表参道の安藤忠雄建築
PR
基本情報
小海町高原美術館
開館時間:9:00~17:00 休館日:火曜日、冬期休館(12月24日~2025年4月上旬) 住所:長野県南佐久郡小海町豊里5918-2 MAP アクセス 電車の場合:JR北陸新幹線「佐久平駅」または、JR中央本線「小淵沢駅」より、小海線にて「小海駅」下車、町営路線バスまたはタクシーにて「八峰の湯・美術館」下車 車の場合:中央自動車道「須玉IC」、上信越自動車道「佐久IC」、中部横断自動車道「八千穂高原IC」より国道141号線を経て、「松原湖入口」の信号を松原湖方面へ約4㎞ 中央自動車道「須玉I.C」から美術館まで約47km 上信越自動車道「八千穂高原I.C」から美術館まで約14km 駐車場あり |