体験を共有するアート
加藤翼は複数の参加者による協働作業が生み出す行為を映像や写真で発表するアーティストです。リサーチを重ねた上で展開されるプロジェクトは日本だけに止まらず、これまで世界各地で行われています。
そんな加藤翼の美術館初個展「縄張りと島」が7/17より初台の東京オペラシティアートギャラリーで始まったので早速観てきました。
展覧会の様子
会場内の様子は動画をご覧ください。▼
参加型の作品
あまり積極的に告知をしていないので、(私が訪問したときは全く案内はありませんでした。)気づかずに通り過ぎる人がほとんどですが、加藤翼が多くの人との協働による作品を制作している事と呼応するように、同展も鑑賞者の参加によって成立する作品があります。しかも1つではありません。
参加した方が展覧会を楽しめますので、見落とさないように。
詳細はYou tube動画にて確認してみてください。▲
映像作品
美術館初個展となる同展には、2007年以降の映像作品26点および写真や模型などが一堂に会し、加藤翼の代表作をほぼ網羅した構成です。
映像作品26点は大小様々なモニターにてループで映し出されています。
短いもので19秒、長いもので10分ほどなので、せっかちになって前先へ先へと進まずにきちんと鑑賞したいところです。
構造体
2007年から主に木材による巨大な「構造体」の制作を始めた加藤翼。同展ではこの構造体が、展示室の空間を映像作品と共存しながら、且つ展示室を占拠するかのように配置されています。
製作途中のような廃墟のような構造体の中を縫うようにして、展示は進みます。
巨大でいて、不安定な構造体のインスタレーションを含めて会場全体が一つの作品のような構成です。
作品紹介
Can You Hear Me?(2015)
各々シアトル、ボストン、クアラルンプール、メキシコシティにいる画面の中の人はこちらに向かって淡々と小石を投げ続けています。▼
The Lighthouse – 11.3 PROJECT (2011)
3.11を逆にした11.3文化の日に東日本大震災で家を失った家主から提供を受けた瓦礫で作った灯台を模した構造体を力を合わせて引き起こした時の様子です。
この時、今まで引き倒していたものを引き起こすという行為に変換しました。▼
展示会場内の様々な場所に設置されているミニチュアフィギュアによる引き起こし
「第18回オリンピック東京大会」(2021)▼
「城と茶室」(2021)▼
ギャラリーを出たところにあるミュージアムショップgallery5にもミニュチュアフィギュアの作品が展示されているので忘れないように。
同時開催
ギャラリー3&4では収蔵品展071夏の風景 寺田コレクションの日本画が開催されています。▼
若手作家を紹介する4Fコリドールでは、project N 83 衣川明子 KINUGAWA Akikoが開催されています。▼
東京オペラシティアートギャラリーでは過去に「本当に亀がいるの?千葉正也個展」や、トムサックス展、ジュリアンオピー展など数々の印象に残る展覧会を開催しています。
加藤翼「縄張りと島」も今後の活躍が期待される注目のアーティストによる美術館初個展という起点となる展覧会なので、是非観ておきたいです。
加藤翼 「縄張りと島」
東京オペラシティアートギャラリー
2021年7月17日[土]―9月20日[月] 11:00−19:00 月休(8/1休)