代官山のヒルサイドテラスA棟にあるアートフロントギャラリーで冨安由真個展「The Doom」を見てきました。
PR冨安由真
現在、冨安由真は、代官山のアートフロントギャラリーの個展の他にアートフロントギャラリーが運営する「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス 2020+」(~12月26日)とANB Tokyoの「Encounters in Parallel」(〜12月26日)に参加中です。更に金沢21世紀美術館の「アペルト」シリーズでも個展(~2022年3月21日)を開催しています。
また、コロナによる延期で2021年に開催された神奈川芸術劇場KAAT EXHIBITION2020 冨安由真個展「漂白する幻影」は記憶に新しいところです。
この展覧会は非常に印象深く、またKAAT EXHIBITIONの展覧会自体がいつもレベルが高いので、闇を操れるアーティストって優れているんだなと勝手に結論づけています。闇を制する者は全てを制す?
PR展示設営中
ちょうど通りがかったので、足を止めると絶賛設営中でした。この様子を見ていたので、割と大掛かりな展示になりそうだなと期待していましたが、裏切られることないインスタレーションでした。
「蒼ざめた馬」
残念ながら地方の展覧会には行けないと思うので、近くの展覧会を早速見に行ってきました。アートフロントギャラリーでの展覧会は、作家が幼少期に見た夢をもとに制作した、金沢21世紀美術館の「アペルト15」で展示中の《The Pale Horse 蒼ざめた馬》に連なる内容です。
ギャラリー内の中心にいるのは蒼ざめた馬です。▼
The Pale Horse 蒼ざめた馬とは、『ヨハネの黙示録』第6章第8節に記される、第四の封印が解かれた時に現れる騎士が乗っている馬で、それは「死」を表し、疫病や野獣をもちいて、地上の人間を死に至らしめる役目を担っているとされています。
まさにコロナウィルスによるパンデミックを象徴するような存在です。ちなみに第1から第3までの封印が解かれた時に現れるのは、支配、戦争、飢饉です。
タイトルの「The Doom/運命」は、幼い頃に見た夢が、パンデミックの暗示だったと言う解釈でしょうか。
「The Doom」
ギャラリーに入るといきなり壁が立ちはだかり、そこには一つの扉があります。この扉の先に行くにあたっては注意点があります。▼
4つの注意点は以下です。▼
ギャラリーの外からなら撮影OKと言うことなので、この写真は反射が入らないように内部を撮影したものです。(トップ画像含む)▼
写真ではわかりにくいのですが、ギャラリーの中に小部屋を作り、その床にはカーペットが貼られ、その床はガラス面に向かって下り坂に傾いています。
広角レンズで撮っているのでパースがきつめですが、パースだけでなく本当に斜めになっています。これは実際に足を踏み入れるとすぐにその違和感を足裏で感じられます。
見慣れたギャラリーもこの通りです。コンパクトなスペースなのでどうなるのかなぁと思いながら設営を観察していましたが、やっぱり空間の変容が巧みで秀逸です。
蒼ざめた馬のいる部屋だけでなく、その周りの空間にも作品展示が続きます。こちらは撮影可能です。
壁を建てて仕切っているのに、なんだかいつもより広く感じてしまう不思議。▼
怪しげな赤い光で満たされた空間▼
PR絵画作品
階段を下がった2つのスペースにも展示は続いていますのでお見逃しなく。
こちらのスペースの中央には、陶の「蒼ざめる馬」が砂や電球と一緒にガラスの箱の中に入っています。▼
壁面展示の風景画には全て蒼ざめる馬が描かれています。▼
隣のスペースにも冨安由真の油彩画作品が展示中です。2019年の「Boy in boy」▼
観に行ってから気付いたのですが、この個展は暗くなってから観に行った方が、より良いかもしれません。もちろん、昼間には昼間の良さがありますが、近くなので散歩がてら今度は日没後に観に行ってみたいと思います。
PR基本情報
2021年12月17日(金)―2022年1月23日(日)水-金 12:00-19:00 / 土日 11:00-17:00
月火(12/27-1 /4 )休
アートフロントギャラリー
渋谷区猿楽町29−18 ヒルサイドテラスA棟 MAP