日本の美術館で初個展
昨年9月から2021年2月まで金沢21世紀美術館でミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースの二人展「ダブル・サイレンス」が開催されていましたが、コロナ禍で東京から新幹線に乗って出向くことはさすがに出来ず諦めました。
しかし、もっと近くで、しかもマークマンダースの国内美術館初個展があるじゃないの。ということで早速鑑賞してきました。
このマーク・マンダース「マーク・マンダースの不在」展は緊急事態宣言のため会期短縮をして終了したため、急遽「マーク・マンダース:保管と展示」が企画され「MOT コレクション Journals 日々、記す」の一部として特別展示されることになりました。
その「マーク・マンダース:保管と展示」のレポートはこちらです。
東京都現代美術館
マーク・マンダース展を開催している東京都現代美術館は約3年に及ぶ休館後2019年に「リニューアル・オープン記念展コレクション展MOTコレクション ただいま / はじめまして」を開催しました。
このコレクション展で今回出品されている東京都現代美術館所蔵のマーク・マンダース作品を目にした人は多いでしょう。
この展覧会でも、今回の展覧会同様、薄い半透明のビニールで仕切られたスペースに入っていくと、床にもビニールが敷かれ、脆く崩れそうな乾いた水粘土(のように見える彩色された実際はブロンズ)の立体が横たわっていて、そこはまるでさっきまで(架空の作家)マークマンダースが制作をしていたかのような気配があるにもかかわらず、作家の存在はどこにもなく、その不在を強く印象付けるインパクトのあるインスタレーションでした。
「椅子の上の乾いた像」2011−2015 東京都現代美術館所蔵 ▼
写真撮影について
一部エリアのみ撮影可能です。
展示室平面図
3番の作品のある部屋から17番の作品までが撮影可能エリアです。
15作品(+屋外展示1作品)ほどありますので出品作品33点中約半分は撮影可能ということになります。
このエリアから撮影可能です。正面に見えている台座に乗ってる作品が見取り図の5番の作品です。
屋外展示作品は現代美術館のエントランスに展示されています。
この作品は金沢21世紀美術館でも屋外の中庭に展示されていました。▼
撮影可能エリアにいきなりお目見えする「マインド・スタディ」はすごく緊張感のある作品でした
油粘土(のように見える彩色されたエポキシ樹脂)でできた片足だけの彫刻がぴーーーーんっとすごいテンションで突っ張っており、その片足が足をかけているテーブルには足がなく、ピエール・ジャンヌレのイージーチェア「PH29」(のような形状の木)によって支えられており、彫刻の対角にある椅子は油粘土(のように見える彩色されたエポキシ樹脂)によって支えられているのです。
もう何が何だかわからないと思うので美術館に行ってみてください。▼
ちなみに油粘土と水粘土の違いにうるさいのはあしからず。
その他の作品はこちらから▼
油粘土のようでエポキシ樹脂だったり、水粘土のようでブロンズだったりという素材の変換は木彫で精巧な雑草を彫る須田悦弘作品を想起させます。奇しくも須田悦弘もマーク・マンダースもギャラリー小柳がプライマリギャラリーです。(ちょっと無理矢理感強め)
また、金沢21世紀美術館でマーク・マンダースと共に二人展「ダブルサイレンス」を開催したミヒャエル・ボレマンスも同様です。現在品切れ中の二人展の展覧会図録はここで予約注文可能です。
そもそもダブルサイレンスのマーク・マンダースとミヒャエル・ボレマンスによる二人展はギャラリー小柳が2018年に開催した組合せです。小柳さんが美術館に売り込んだのか、美術館の学芸員が小柳の所属アーティストからいい組合せを考え出したのか、その両方なのかは知る由もありませんが、個人的に好みのアーテイストのプライマリギャラリーであるギャラリー小柳に今まで同様大注目です。
ちなみに東京都現代美術館のマークマンダースの展覧会図録は現在制作中で、予約受付中でした。
マーク・マンダースと同時開催のライゾマティクスの展覧会についてはこちらから
マーク・マンダース—マーク・マンダースの不在
2021年3月20日(土・祝)- 6月20日(日)月休 10:00-18:00