安藤忠雄の建築が数多く建っている淡路島へ行って安藤忠雄建築巡りをしてきました。10月初頭の秋とは思えない夏のような日差しの中、予想外の暑さと戦いながらの安藤建築巡りとなりました。
車を停めて
駐車場に車を停めて最初に見えてくるのは、こんな光景です。「え?普通のお寺ぽい‥」です。
初訪問ではありますが、当然どんな感じなのかは事前に頭に入っているので、期待感は最高潮です。到着して、目の前に見えてきたのは、ちょっと想像していたのは違う風景でした。
駐車場から本福寺方向を見上げるの図です。▼
本福寺水御堂の竣工は1991年、ちょうど今から30年前に完成した本堂です。この本堂の建設について、当初は反対の声が多かったというのは有名な話です。
今から30年前ともなると安藤忠雄の知名度は今ほどではありませんし、ましてやお寺ですから、それはそれは保守的だったでしょう。
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どうやら駐車場から見えていたのは、本堂ではありませんでした。良かったー。
それもそのはず、水御堂を建設するにあたって、安藤忠雄が掲げたのは「お寺といえば立派な大屋根をつくるのが普通だけれど、このお寺には大屋根をつくらない」と明言したのです。
駐車場から階段を登っていくと見えてきました。緑に囲まれた小高い丘の上に建つコンクリート打放しの壁です。
安藤忠雄と言えばコンクリート打放し、コンクリート打放しと言えば安藤忠雄です。▼
改修後のコンクリート壁
30年前に竣工したとは思えない美しさです。それもそのはず、2020年11月に改修工事が入り、コンクリートの壁面が美しく生まれ変わったばかりなのです。
目の前に立ちはだかるコンクリートの壁によって、視界が遮られ期待のボルテージが一気に急上昇するのは、安藤建築あるあるですね。
本福寺水御堂もご多分に漏れずです。駐車場で見えた普通のお寺ぽさで一旦ちょっとガッカリさせてからのぉ〜、この青空に映える美しいコンクリートの壁ですよ。
一度落ちた気分が一気に急上昇するので、落差が激しい激しい。わかっていても、してやられた感ありありですね。▼
それでは、更に進みましょう。壁の向こうは、また壁だった!
両脇をコンクリートの壁に遮られつつ歩みを進めていくと、前方にはチラッと大阪湾の海が見えたりして、急上昇した期待感は、マックスです。
それにしても、それを狙って行ったわけではないけれど、改修工事したばかりなので、コンクリートの美しいこと。これって30年の時を経ていながらも、竣工時に近い状態を見られたってことですよね。
あー感慨深い。ここまでですでに、来て良かったー!ってなりました。まだ本堂を見てもいないのに。▼
水盤と水蓮
そして、いよいよ見えてくるのはこんな光景です。玉砂利の敷き詰められたソリッドな空間から、急に視界が広がるのですが、そこにはなんと、水盤です。▼
コンクリートの状態は改修工事後だったので、最高に綺麗でしたが、さすがに夏の気候のような日とは言え10月です。ですから、蓮の花は残念ながら咲いていませんでした。
まぁ抜けるような青空だったのでよしとしましょう。しかし、水蓮が咲いていたらどんなに綺麗でしょうか。次は水蓮の時期に来てみたい。▼
真上からは流石にドローンでも飛ばさない限り見えませんが、この水盤、実は楕円形です。▼
計画段階の話に戻しますが、なぜ当初は猛反対されたかと言うと理由はこの水盤です。
住職、檀家にこのプランを説明すると「御堂を水の下につくるなど罰当たりな」と言われたそうです。ま、確かに普通の人では考え付かないプランですね。そこが世界の安藤忠雄の所以でもあるわけですが。
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この水盤を見ただけで終わりではありません。
本堂はこの水盤の下にあります。水蓮の咲く水盤の下へと続く階段。その両脇は美しく生まれ変わったコンクリート壁。
もう身震いするくらい全てが揃っています。▼
で、当初反対されたこの水御堂の計画が、なぜ実現したかと言うとこの階段です。
大反対にあって困ってしまった檀家代表が、大徳寺の立花大亀大僧正という、当時90才を超えられていた高僧にお伺いをたてると、大僧正は「仏教の原点である蓮の中に入っていくと言うのは素晴らしい。私も生きているうちに是非一度その様子を見てみたい」と。
その一言で状況は一変し、安藤忠雄のプラン通りの形で「本福寺水御堂」は完成したのです。
計画段階で90歳を超えられていた高僧が、竣工後に完成した水御堂を目にすることができたのかどうかはわかりませんが、高僧がいなかったら、この水御堂は幻だったわけですから、本当にありがたいです。
本堂
階段を降りていくと右側はトイレです。左側に本堂への入り口があって、拝観料を支払い、靴を脱いで本堂へ入ります。
外は水盤とコンクリート打放しですが、中は一変して朱色の世界です。ちょうど西陽が入る時間帯だったので、朱色の格子越しの太陽の光の綺麗なこと!
神々しいってこう言うことを言うんだなと。実感しました。▼
実は、肝心な本堂そのものは撮影禁止です。まぁ冷静に考えればそうですよね。ただ、本堂の周りをぐるっと一周している通路は撮影可能です。
ここは午後に訪れるのが一番綺麗だと受付のおばさまも言ってました。
西陽が入って格子の影が落ちる時間はそんなに長くないからいい時間に来たわよーとも。写真はよく晴れた10月初旬の14時頃です。▼
更に、おばさまの話によると水盤が上にあるから真夏でも涼しくて快適なんだそうです。
続けて「近くに四角いホテルみたいなのがあるけれど、安藤忠雄建築は、うちの方が先なの。」と言ってました。
この「四角いホテルみたいなの」って言うのは淡路夢舞台のことです。”ホテルみたい”じゃなくてホテルなんですけれどね。確かに淡路夢舞台は水御堂竣工の9年後に開業していますから、水御堂の方が全然先なわけです。
やんわりと淡路夢舞台をディスっていたのが面白かったです。
私もそうですが、水御堂の建築目当てで訪れるほとんどの人は夢舞台を見てからここに来るか、ここに来てから夢舞台に行きますからね。規模は向こうが大きいかもしれないけれど、こっちが先なのよーってことを言っておきたいのでしょう。
PR大満足!
小規模ながらもアプローチから本堂まで、全部安藤忠雄建築の魅力が詰まっていて大満足でした。
帰りに降りてきた階段を見上げたら、これがまたとんでもなく美しい!▼
本福時水御堂をもっと知りたいと言う方は動画を参照してください。動画の方がここの美しさは伝わると思います。▼
次の安藤忠雄建築巡りの旅その2は淡路夢舞台です。
PR基本情報
本福寺 水御堂/ほんぷくじ みずみどう
堂内拝観時間 9:00~17:00 拝観料 大人400円、小人200円 中学生以下無料
兵庫県淡路市浦1310 MAP
安藤忠雄の楕円形と言えばベネッセハウスオーバルです。淡路島と共に直島にも行ってきたのでこちらも合わせて参照してください。
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