練馬区の内藤廣建築巡りに続いて、長野県安曇野市の内藤廣建築巡りをしてきました。安曇野市で最初に訪れたのは、安曇野市庁舎いわゆる安曇野市役所です。
安曇野市庁舎は、内藤廣建築設計事務所だけでなく小川原設計・尾日向辰文建築設計事務所によるJV(内藤・小川原・尾日向設計共同企業体)による設計です。
安曇野市庁舎
安曇野市(あずみのし)は、2005年に5町村が合併してできた新しい地方自治体です。ですから、分散していた庁舎を統合するために計画された新庁舎で2015年に竣工しました。
新庁舎の計画中に東日本大震災が起きたこともあって、市民に愛される親しみやすさと共に質実剛健で災害に強い庁舎が設計されました。
スポンサーリンク安曇野市役所本庁舎の外観
地方の市役所で圧倒的に車での訪問者が多いため、大きな駐車場と地下駐車場を備えています。
特徴的なのは4階建ですが、そう見えないデザインにあります。4階だけデザインとカラーリングを変えているので3階建の印象です。
これは周囲の環境に対する配慮と景観を考え、なるべく低層に見えるようにするための工夫なのです。
外壁には、市有林を間伐して製材したヒノキ材が使用されています。
また、2階3階は外周ぐるりとバルコニーになっています。これは避難経路であり、メンテナンス用の通路でもあります。
バルコニーに綺麗な花が等間隔で置かれていて、外観に可憐で華やかさをプラスしていました。
もしかしたら市民ボランティアとかが手入れをしているプランターなのではないでしょうか。
この花を見ただけで、市民に大切にされている市役所なんだなと感じました。
2015年の竣工なのでまだ10年に満たない新しい安曇野市役所ですが、外装材の檜の効果もあって重厚なのですが、温かみがあって親しみやすい印象の建築です。
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安曇野市庁舎の内観
内部空間もふんだんに木材が使われています。
内装の木材は長野県産のカラマツ材です。
外観同様に内部空間も親しみやすさと温かみのある空間です。
本物の木材なので、今後経年変化によりどんどん味のある空間に仕上がっていくのではないでしょうか。
2つの階段空間
中に入って驚いたのは、内部に2箇所ある大吹き抜けの階段空間です。
これはどこかでみたことのあるような光景ですね。
▲市役所には、全く同じような吹き抜けの階段空間が両端に二つあります。
正面入り口側の階段空間です。
写真を後で見返してもそっくりすぎてどの写真がどっちの階段空間か判別がつかないくらいそっくりです。
▲そう、この吹き抜け空間に階段があってその周囲を回廊という構成、そして壁の木材、階段の手すりなど機能のない建築で有名な内藤廣設計の紀尾井清堂にそっくりです。
しかし、こちら安曇野市役所の方が先に竣工していますから、紀尾井清堂が安曇野市役所にそっくりというのが正解でしょう。
▲ルーバー越しに自然光が降り注ぎとっても美しい影を見せていました。
▲トップライトのデザインは紀尾井清堂とは違いますが、こちらも紀尾井清堂同様に開閉するのだそうです。
訪問した日は開いていました。
▲階段と自然光の美しさに見惚れていると、ここが市役所であることを忘れてしまいそうでした。
▲バリアフリー化が叫ばれている昨今に、正面エントランスにどーんと階段だけの吹き抜け空間なんてさすがです。
しかも老若男女が出入りする市役所ですよ。内藤廣もすごいけれど、この設計案を受け入れた安曇野市もすごいです。
しかも、全く同じ吹き抜け階段空間が2箇所もあるんですから、建築好き、階段好きにはたまらない場所でした。
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▲こんな市役所だったら頻繁に通いたくなりますね。
▲私は嬉しくて2ヶ所の階段を1階から4階まで何度か上ったり下りたりしましたが、市民のための窓口が1階に集約されていることもあって、階段を利用している人はほとんどいませんでした。
内藤廣設計紀尾井清堂の記事▼
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安曇野市庁舎の眺望デッキ
4階はデザインもカラーリングも違うのですが、周囲はバルコニーではなく眺望デッキになっていて、誰でも利用可能です。
眺望デッキって言ったって4階でしょ。と思いますが侮るなかれ、周囲に高い建物が皆無なので、その見晴らしの良さと言ったら!
東京の4階では絶対に見られない景色が広がっていました。
▲眺望デッキに広がる景色は、山並みが美しい壮大な北アルプスのパノラマを見ることができます。
このデッキに上がってみて、「なるべく低層に」という考え方になった理由がよくわかりました。安曇野市役所に行ったら是非4階眺望デッキにも上ってみてください。
眺望デッキへは階段でアクセスすることを強くお勧めします。
もちろん階下へ行くのも階段で。
また、安曇野市役所から車で25分ほどでアクセスできる安曇野ちひろ美術館もあわせて建築巡りをしてきました。
長野 安曇野建築巡りオススメです!
内藤廣設計安曇野ちひろ美術館
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基本情報
安曇野市役所本庁舎
アクセス 電車の場合:JR大糸線豊科駅から徒歩約5分 車の場合:長野自動車道 安曇野IC・梓川スマートICから約5分 |