コロナウィルス感染拡大の影響で休室していた常設展示室。予定の会期3月19日から数日遅れ23日からスタートしたMOTコレクション「光みつる庭/途切れないささやき」を鑑賞してきたのでその見どころと前回との違いなどを簡単にまとめました。
休室期間の観覧券
コロナウィルス感染拡大で、MOTコレクション展示室だけが2022年1月12日(水)~3月21日(月)の間休室されていました。
この期間の企画展入場時にもらったコレクション展観覧券で6月19日(日)まで鑑賞可能です。
この期間に企画展を観た人はチケットを必ず忘れずに持参しましょう。チケットがないと入場料が必要にななってしまいます。
リーフレット
まずは、入口のところに置いてあるMOTコレクション「光みつる庭/途切れないささやき」の立派なリーフレットをもらいましょう。
この中には展示されている作品の解説があるので読みながら観るもよし、観てから読むもよし、読んでから観るもよしです。
第一部「光みつる庭」
1階の展示室は東京都現代美術館が所蔵する5500点のコレクションの中から「光みつる庭」と題して主に平面作品を中心とした展示になっています。
中西夏之
最初に出迎えてくれるのは高松次郎・赤瀬川原平らと結成したハイレッドセンターで活躍した中西夏之の作品です。ハイレッドセンターというのは各々の名字の頭文字高、赤、中を英語にしたものです。
また、中西夏之と言えば60年代の洗濯バサミの作品のイメージが強烈ですが、今回の展示は80年代のドローイング、90年代の油彩作品なので、洗濯バサミではなく、中西夏之と言えばこの色彩!という紫、黄緑、白といった涼やかな色彩が美しい平面です。▼
石川順恵、堂本右美
次の部屋は同世代の女性アーティスト二人の作品が並びます。石川順恵と堂本右美です。どちらの作家も一貫して油彩で抽象画を描き続けている作家です。
二人とも抽象絵画ではありますが、何か具象的なものを感じさせる画面は、透明感があり、奥行きを感じます。▼
堂本右美は偉大なアーティスト堂本尚郎を父に持ち、その父堂本尚郎は日本画家堂本印象の甥に当たります。いわゆる芸術一家の血筋です。▼
李禹煥
第1部の目玉は李禹煥のコーナーではないでしょうか。今回は1987年の作品「風と共に」と1998年の8点組銅版画文集『東の扉』が出品されています。
いつもの李禹煥の作品とは違い、流れるような筆使いが、まさにタイトルの風のような動きのある作品です。▼
銅版画集は、左側にサイコロのような銅版画、右側に李禹煥が日常の様子を綴った文章が添えられています。▼
康夏奈
今回第一部で前回と変わらないのは、康夏奈(吉田夏奈)の瀬戸内芸術祭で展示された「花寿波島の秘密」の展示室です。
その時の様子は過去のブログ「クリスチャン・マークレーと久保田成子とMOTコレクション JOURNALS VOL.2 東京都現代美術館」を参照ください。
三瀬夏之介の巨大な「山ツツジを探して」も康夏奈(吉田夏奈)と一緒に展示されています。
鈴木ヒラク
初期の頃は音の採集を主な創作としていたのが段々と集めた枯葉や土を描くようになった作家です。
この作品、日常の音を可視化したかのようにも見えてきますから不思議です。▼
第一部では、他に白い作品ばかりを集めたコーナーがあり、エンリコ・カステッラーニやルーチョ・フォンタナ、宮脇愛子、宇佐美圭司、荒川修作などの作品も展示されています。
そして、最後にハミッシュ・フルトンの写真作品が展示されていますが、これら作品は撮影禁止です。
第二部「途切れないささやき」
3階の展示室第二部では、銅版画の作品が集められています。銅版画と一口で言っても、その種類は細分化されていて、ドライポイント、エッチング、アクアチント、メゾチント、エングレーヴィングなどなど、とっても奥が深いのです。
エッチングひとつとってもハードとソフトグランドエッチングなどなど、一度扉を開けたら出てくこれなくなりそうなくらい深いので、まだその扉を開けていません。
長谷川潔、河野通勢 、駒井哲郎、浜口陽三、浜田知明、秀島由己男という銅版画家の緻密な作品が続き最後に展示されているのが、銅版画かと見紛う日和崎尊夫の木版画で締めくくられています。
残念ながら一連の版画作品とその先にあるこの展覧会のアイキャッチにも使われている舟越桂の木彫作品と平面は撮影禁止です。
舟越作品は木彫が3点、平面が2点の計5点出品されています。
ボルタンスキー再び
この展示室の内容は変わっていませんでした。ボルタンスキーや撮影禁止の福田尚代、レベッカ・ホルンもそのままです。▼
アピチャッポン・ ウィーラセタクン
映像作品「エメラルド」も再び鑑賞可能です。
上映時間は10分50秒しかないので、これは座ってじっくり鑑賞です。
今回の東京都現代美術館訪問では、企画展示室で開催中のTOKYO CONTEMPORARY ART AWARD 2020-2022受賞記念展 藤井光のインスタレーションとこの映像作品を観れただけで満足、と言っても過言ではないくらいです。▼
しめは宮島達男
MOTコレクションのしめはやっぱりこの作品「それは変化し続ける それはあらゆ るものと関係を結ぶ それは永遠に 続く」(1998年)
この作品を鑑賞しないとコレクション展は締まらないなと感じるくらい、当たり前の作品となりました。▼
この作品も忘れずに
常設の作品は、コレクション展示室だけではありません。入口横にあるオノヨーコなど、いくつかあるのでそちらも忘れずに。
鈴木昭男
美術館の外に数カ所に渡って展示されている鈴木昭男の作品です。
この写真は、美術館奥、コレクション展示室横のマルタ・パンの作品のさらに奥に行ったところに設置されている鈴木昭男作品です▼
探してみよう
これも絶対誰かの作品ですよね?
特にキャプションも見当たらなかったんですが、誰のなんていう作品なのか知ってる人がいたら教えてください。
作品の場所はコレクション展示室近くの木場公園側の自動販売機のある出入口付近です。▼
基本情報
2022年3月19日(土) 3月23日- 6月19日(日) 10:00-18:00 月休
一般500円/ 大学生・専門学校生400円/高校生・65歳以上250円/ 中学生以下無料
東京都現代美術館 コレクション展示室 1F / 3F
東京都江東区三好4丁目1−1 MAP
アクセス:東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」B2出口徒歩9分、都営地下鉄大江戸線「清澄白河駅」A3出口徒歩13分、東京メトロ東西線「木場駅」3番出口徒歩15分、または都営バス業10「東京都現代美術館前」下車1分、都営地下鉄新宿線「菊川駅」A4出口徒歩15分、または都営バス業10「東京都現代美術館前」下車1分
Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022受賞記念展 藤井光の圧巻のインスタレーションと山城知佳子の映像作品を東京都現代美術館で観る