神楽坂には、新しいカフェやベーカリー、昔からある喫茶店や飲食店、建築家の手によって生まれ変わった神社など、デートや食べ歩きなど、何かと歩いて楽しい街です。
そんな神楽坂にある元印刷工場をリノベーションしたビルの1階と3階に現代美術を扱うギャラリーがあります。
神楽坂のランチやディナーもいいけれどアート巡りはいかがでしょうか。
MAKI FINE ARTS/マキファインアーツ
エーワビルという元印刷工場だったビルの1階にあるのがMAKI FINE ARTSです。元印刷工場だっただけあって、中に入るとその名残である古い業務用のエレベーターがどーんと存在感を放っています。
そして、めちゃくちゃ天井が高い。入口からは想像できないくらいの天高です。
ギャラリーの創設は2010年、この場所には2015年に移転してきました。
城田圭介「Out of the frame」
現在、MAKI FINE ARTS で開催されているのは、城田圭介個展「Out of frame」です。
これまで、写真を元にした平面作品を発表しており、その核となるコンセプトは終始一貫しています。
MAKI FINE ARTS での個展は2021年の「Over」に続いて2回目です。
作家の言葉が貼ってありました。一読してから作品を観ると理解が深まります。▼
前回の個展「Over」や2019年に茅ヶ崎市美術館で開催された個展の時は、大小の実験的な作品と展示方法が見られましたが、今回の「Out of the frame」は、初期の頃からのスタイル、言わば城田圭介の真骨頂である紙焼きのスナップ写真とペインティングの構成による平面をしっかり堪能できる内容です。
中央に作家が撮影したスナップ写真と、これまでの作品では見られなかった、写真のズレによる余白があります。それは、空間の余白なのか、時間の余白なのか。
写真の周囲は、モノクロで描かれたペインティングです。
虚と実が綯い交ぜになっているように見えますが、果たして絵画が虚で写真が実なのか、あるいはその逆なのか。▼
写真を撮ることがとても特別だった時代から、200年も経たずに写真を撮ることが当たり前になった現在。作家の言う「写真に撮られなかった、選択されなかった無数の瞬間」に焦点を当てた作品と向き合う時、日常と化した写真を撮るという行為と共に、余白の存在とは何かということを考えざるを得ません。
城田展の後、iPhoneで写真を撮る時に、ふと、なぜ今ここを写真で切り取りたいと思ったのかな?と自問自答してしまいした。感化されすぎ。
表現の技法や方法に幅はあっても、創作の源に一貫したコンセプト=ぶれない軸がある作家は観ていてとても安心です。
城田圭介は、そんなブレない作家の一人です。
基本情報
2022年3月26日 – 4月24日 水 – 土 12:00-19:00 / 日- 17:00 月火休
MAKI FINE ARTS
東京都新宿区西五軒町5-1 エーワビル1F MAP
茅ヶ崎市美術館の個展の様子▼
Sprout Curation/スプラウト・キュレーション
MAKI FINE ARTSのと同じエーワビルの3階にあるギャラリーで、美術館のカタログやアートブック、ファッションカタログなども手がけるアートディレクターの志賀良和氏が運営しています。
もちろん、1階にあったエレベーターがこのギャラリーにも通じています。▼
尾関諒「袖に月が昇る」
これまで何度か訪問していますが、インスタレーションや平面作品など幅広い作品の展覧会を開催しています。現在開催されているのは、尾関諒の個展です。
マットな質感と柔らかな色彩で満たされた平面作品で、瞬間的には抽象絵画かなと思わせますが、よく見るとそこには花や鳥が描かれています。▼
基本情報
2022年3月18日(金)—5月1日(日)木–土13:00–19:00 /日–17:00 月火水休 4/29はオープン
Sprout Curation/スプラウト・キュレーション
東京都新宿区西五軒町5-1 エーワビル3F MAP
CADAN有楽町で開催されたSprout Curationの展覧会▼
春の陽気に誘われて、情緒わふれる街神楽坂でギャラリー巡りはいかがでしょうか。
日曜は休廊しているギャラリーが多い中、ここの二つのギャラリーは、共に日曜もオープンしているのが嬉しいですね。