天王洲のTERRADA ART COMPLEXにあるANOMALYの玉山拓郎個展「Anything will slip off / If cut diagonally」を観てきました。
再開された展覧会
玉山拓郎個展「Anything will slip off / If cut diagonally」の展覧会期は、2021年7月17日 – 8月14日でした。猛暑続きで天王洲まで足を伸ばすのを躊躇っていたらあっという間に会期が終わってしまい、見逃してしまったなぁと思っていたらなんと8月26日 – 9月4日 で展示再開するっていうじゃありませんか。それでようやく重い腰を上げて行ってきました。結果行ってよかったです。もしも迷ってる方がいたら強く背中を押したいです。
2018年の個展
実は玉山拓郎というアーティストの存在を知ったのはつい最近で、2018年のCalm & Punk galleryでの個展「Dirty Palace」を観に行った時です。それも、実は玉山拓郎展を観に行ったのではなくて、近所のギャラリーを廻っていてたまたまというのが出会いでした。ただ、その時全くの予備知識なしで訪問・鑑賞したものの、強く印象に残ったのは事実です。
2018年のDirty Palaceの展示風景です。人型の鏡、蛍光灯、回るモップなど今回の展覧会でも出てくるモチーフです。▼
パスタが落ちた壁のパスタ皿▼
その下に落下したパスタ▼
Anything will slip off / If cut diagonally
今回ギャラリースペースに入って最初に現れるのが、フローリングの床のような壁から垂れ下がる照明器具と2018年の個展でも同様に天井から吊り下げられて回転していたモップです。そのモップの先の部分は通常のモップとは異なり人形の髪の毛のような化学繊維の糸です。▼
この展覧会は空間構成を試験的にネット上で行ったプラン展示=「When I was born when I was born」と、現実空間=ギャラリーでの展示の二つの展覧会をパラレルに鑑賞することができます。
バーカウンターのような台の上に置かれたコップの水は斜めになっています。▼
2018年の個展は目の覚めるような鮮やかな赤い空間でしたが、今回はブルー系の落ち着いた色でまとめられています。なんと言っても目を引くのは上部から斜めに設置されている下向きがブルー、上向きがイエローのあやしい光を放つ蛍光灯です。▼
カウンターの先の壁には見覚えのあるパスタ皿です。もちろん床にはパスタが落ちています。▼
パスタは別の場所にも▼
壁が床だったり、蛍光灯とコップの水が斜めだったり、この空間に身を置くと重力とか時間とか現実と虚構とかの境界が不明瞭になってしまう感覚に陥ります。▼
身の回りにありそうでなさそうなものが、当たり前のように置かれたギャラリーの現実空間は、体内に眠っていた非現実的な感覚を覚醒されるような不思議な体験です。
スペースの広さなど全く条件が異なるものの、2018年の個展の時から比べると、作品はものすごく洗練され、とんでもなくパワーアップしていました。ただ、この不思議な空間そのものがインスタレーションで作品であることと、そこに身を置くことで受ける印象の核の部分は変わっていないなと感じました。
見逃したと思っていたけれど展示再開をしてくれたおかげで鑑賞できたのは本当にラッキーでした。今回の個展を鑑賞して、ますます今後の活躍が楽しみな作家となりました。次の展覧会も期待しています。
展覧会期
会期2021年7月17日 – 8月14日 展示再開8月26日 (木) – 9月4日 (土) 火ー土 12:00-18:00
品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex 4F MAP