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ゆらめく布、そよぐ糸。ユ ソラの「もずく、たまご」が魅せる日常と非日常、困惑と感嘆の境界


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銀座の資生堂ギャラリーで毎年開催されている若手作家の支援を目的とした公募プログラムshiseido art egg(シセイドウアートエッグ)の第二弾韓国人女性アーティストのユ ソラ(YU SORA)の展覧会「もずく、たまご」が始まりました。見慣れた資生堂ギャラリーの空間が真っ白で不思議な空間に変貌しています

ユソラの魅せるオリジナリティあふれる世界観を堪能してきました。

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資生堂アートエッグ

資生堂アートエッグとは、資生堂ギャラリーで2006年からスタートした公募プログラムで、資生堂が新進アーティストを応援するものです。入選者は資生堂ギャラリーで開催される通常の企画展と同様の展覧会を開催することができます。
第16回目となる今回は、全国から260件の応募の中から、選考の結果 3名、岡 ともみ(おか ともみ)、YU SORA(ゆ そら)、佐藤 壮馬(さとう そうま)が入選しました。

最初に岡ともみの展覧会「サカサゴト」、そして現在ユ ソラの展覧会が開催中です。

▲最初の会期で開催された岡ともみの展覧会の様子です。

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白い布、黒い糸

資生堂ギャラリーは資生堂パーラーやFAROなどが入るビルの地下に位置します。この地下へ向かう階段の途中にある踊り場から展覧会が始まっています。

今回はどんな導入でしょうか。

▲階下のギャラリースペースへ向かう途中の踊り場には、鍵が描かれた作品が。

これからアーティストのプライベートな空間に入っていくという暗示させるスタートです。

▲踊り場から見渡せるギャラリースペースは色のないモノクロームの世界です。

ダイニングルーム

手前の広いスペースには、平面的な作品、と言っても純粋な平面作品とはちょっと違う白い布の作品と、ダイニングテーブルが置かれた空間があります。

▲立体全てが白い布でできていて、エッジが黒い糸で縫われています。その黒い糸は垂れ下がり、まとわりつき、時に空調のわずかな風でそよいでいます。

▲どこの家にもある、誰もが手にしたことのあるコンビニエンスストアのレシートです。

これもまた、白い布と黒い糸でできています。とても見慣れた日常の断片です。

▲すごく個人的な日常の断片が、綿を含んだ白い布に白い糸で縫われています。糸によるドロイーングとでもいうのでしょうか。

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寝室

奥のスペースは、もっとプライベートな空間です。ここは靴を脱いで鑑賞します。

 

▲ちょっと乱れたベッド。生活感のある光景ですが、モノクロームで表現されているので無機質です。

▲ちゃんと時を刻んでいる時計や、雑多に積まれた書籍など、さっきまで誰かがここでくつろいでいたかのような雰囲気でもあり、今後未来永劫誰も訪れることのない廃墟のようでもあります。

▲こちらのスペースは特に空調の風で黒い糸がそよぎ、仕切りに使われている白い布がゆらめいて、より幻想的な空間でした。

▲廃墟のようにも感じる厭世的な空気と、白い布が魅せる無機質な清潔感。二つの相反するものが入り混じり、訪れるものを混乱させます。

それは、パンデミックにより、当たり前だったことがいとも簡単に失われ、日常が非日常に変貌した時に世界中の人々が感じた戸惑いと困惑に似ているのかもしれません。

しかし、我々はパンデミックでそうであったように、目の前にあるその不思議な世界の魅力にただただ感嘆するしか術がないのです。

作家のユ ソラは今が臨月だそうです。この先産休に入るのでまとまって作品が観られるのはこの先ちょっとないかもしれないので、今回の「もずく、たまご」展は必見です。そして、母になると作品が見せる世界観にも変化があるかもしれません。その変化を見るためにも今回は必見です。

またタイトルになっている「もずく、たまご」が作品の中に隠れています。どこに隠れているか探してみてください!

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ゆらめく布とそよぐ糸など、展覧会の様子は動画を参照ください。▼

岡ともみの展覧会「サカサゴト」の記事はこちら▼

基本情報

「もずく、たまご」 ユ ソラ 第16回 shiseido art egg

2023年3月 7日(火)~ 4月 9日(日)

火~土 11:00~19:00 日祝 ~18:00

月休 入場無料

 資生堂ギャラリー

中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階 MAP

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