三菱一号館美術館で開催されている「上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展」早速鑑賞してきました。鑑賞者の9割が女性という展覧会でした。それもそもはず、展示会場中に”かわいい”が溢れかえっていました。会期終了しました。
PR上野リチ
1893年ウィーンで生まれたリチは、ウィーン工芸学校に入学しウィーン工房を主宰するヨーゼフ・ホフマンらに学びます。
1926年パリで行われた現代産業装飾芸術国際博覧会(通称アール・デコ博覧会)に参加したときにヨーゼフ・ホフマンの下で働いていた京都出身の建築家上野伊三郎と出会い結婚します。
結婚後1927年に伊三郎の故郷である京都に渡り、上野建築事務所を夫婦で立ち上げると同時に、ウィーン工房にも所属し続け、1935年まで京都とウィーンを往復しながら活動しました。
子供のいなかった夫婦は、後進の教育にも力を入れており、長らく京都市立芸術大学で教鞭をとったのち、退館後に伊三郎とインターナショナルデザイン研究所を設立します。
展覧会内容
上野リチ展と銘打っていますが、上野リチの作品だけではなく、上野リチが所属した同時代のウィーン工房のデザイナーの作品や、師事したヨーゼフ・ホフマン、夫である上野伊三朗との協働など、上野リチとその周辺の関わりの強いデザイナー達の仕事を幅広く展示しています。
中でも、夫上野伊三朗の早稲田大学の先輩である建築家村野藤吾は上野リチを高く評価しており、その村野藤吾との協働、日比谷の日生劇場にあったレストランの壁画は息を呑むほど美しいのです。そのレストランが現存しないという事実が残念でなりません。
村野藤吾の設計した京都のザ・プリンス京都宝ヶ池のファブリックも竣工時は上野リチデザインのもでした。展覧会には当時の記録写真が展示されていましたが、おそらくそのファブリックは、もうほとんど残っていないようです。
村野藤吾設計のザ・プリンス箱根芦ノ湖はこちらを参照ください。▼
3Fと2Fの展覧会場平面図です。▼
デザインスケッチがとにかくとんでもなく可愛いです。人をモチーフにしているデザイン、家をモチーフにしているデザイン、などなどそのモチーフは多岐に渡ります。中でも一番秀逸なのは、草花や小鳥などです。リチのフィルターを通すとそれらはカラフルな彩りでキラキラと輝きを放つのです。
本当に可愛くていちいち溜息が出ました。(いい意味で)
展覧会の展示内容は、前後期で一部展示替えが予定されています。絶対に全部鑑賞したいという方は前後期の2回に渡って足を運ぶしかないですね。
撮影禁止
三菱一号館のたいていの展覧会がそうであるように、上野リチ展も御多分に洩れず撮影禁止です。しかし、これまたこの美術館でいつもそうであるように、特設の撮影スポットが用意されています。
PRミュージアムグッズ
展覧会特別仕様のミュージアムグッズがたくさん販売されています。ポストカードや図録は当然として、ハンカチやエコバッグ、Tシャツやポーチ、マグカップ、ガラスコップ、ノートに一筆箋、マスキングテープ、クリアファイル、などリチの可愛いテキスタイルデザインがいろいろなグッズに展開されています。
それだけではなく、リチの祖国ウィーンのコーヒーやお菓子などの食品やカップアンドソーサーなどが販売されていました。▼
カゴにいっぱい買い物をしている人がたくさんいました。ですから、人気商品はもしかしたら会期中に売り切れてしまうかもしれません。
上野リチのテキスタイルでくるんだ缶バッジ▲
抽選会
展示室を出て、ミュージアムシップに向かう前に、iPadのボタンを押してアタリが出ると特別エコバックが当たるという抽選会が行われていました。
残念ながら私はハズレでしたが、オーギュスト・ルドンの一筆箋がもらえました。これでハズレだなんてルドンに失礼ですね。
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美術館の窓際の通路にあったベンチの脚が内側にだけモールディングがされてて面白いデザインでした。▼
この展覧会は、会期初日の平日に行ったのに、結構な人でとてもびっくりしました。
展示されているものは、普通の絵画の展覧会よりはサイズ的に小さいものが多く、細かいタッチのスケッチや、緻密な七宝焼、刺繍なども多いので、じっくりみたい場合は、空いてそうな日、空いてそうな時間帯を選んで出かけた方がいいかもしれません。
三菱一号館美術館のCafe1894についてはこちらを▼
基本情報
「上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展」 会期終了
2022年2月18日(金)〜2022年5月15日(日) 10:00〜18:00 月と4/12休
前期:〜2022年4月10日(日) 後期:2022年4月13日(水)〜
祝⽇を除く⾦曜と会期最終週平⽇、第2⽔曜⽇、開館記念⽇の4⽉6⽇は21:00まで
三菱一号館美術館
千代田区丸の内2丁目6−2 MAP
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