MAKI Gallery
表参道と天王洲の2つの拠点を持つMAKI GALLERYで1974年カナダ生まれの女性アーティスト、タミー・キャンベルの個展「Exactly Wrong」が両拠点で同時開催されています。
表参道
表参道ヒルズの裏側にあるビルの2Fと3Fにギャラリースペースがありますが、今回の展覧会会場は2Fのスペースだけです。
表参道の展覧会の様子です。▼
アンディ・ウォーホルの「キャンベルスープの缶」ですね。ん?
こちらにもアンディ・ウォーホルの「フラワー」▼
PRエルメスの限定カレにもなった有名すぎるジョセフ・アルバースの作品ですね。(ヨゼフ・アルバースと書く場合もありますが、私はジョセフ・アルバースに慣れているのでこのブログではジョセフ・アルバース表記にします。)▼
天王洲
タミー・キャンベルの個展は、MAKI GALLERYのエントランスの両脇にあるスペースで開催されています。
天王洲でも表参道同様に最初に目に入るのが、こちらの作品です。
ん?そうです。やっぱりあのアンディ・ウォーホルの作品の中でも最も有名な作品「キャンベル・スープの缶」です。▼
しかし、近寄ってみて2度目の「ん?」です。梱包のビニールがそのまま?▼
この「キャンベル・スープの缶」も梱包こそされてませんが、ちょっと様子がおかしいです。
よく見るとマスキングテープがついたままだったりします▼
こちらもアンディ・ウォーホルの「ダブル エルヴィス プレスリー」ですが▼
やっぱり、遠目で見ても梱包材、俗称プチプチで包まれたままなのがわかります。▼
こちらもアンディ・ウォーホルがモチーフとした洗剤「ブリロ・ボックス」です。
作品タイトルは「Brillo Soap Pads Box Flattened」です。
その隣に並ぶ小品はどう見てもジョセフ・アルバースの作品です。▼
こちらはプチプチで包まれたどう見てもフランクステラの作品▼
どう見てもマスキングテープがついたままのフランクステラの作品▼
どう見てもエド・ルシェの作品が奥に見えます。▼
PRどう見ても有名作家の作品に見える作品というと、どうしても「Not 〇〇/これは〇〇ではない」の作品タイトルで有名なマイク・ビドロを想起せずにはいられません。
マイク・ビドロは1953年シカゴ生まれのアーティストで有名作家の作品をそのままコピーした作品を制作していますが、そのコンセプトは「オリジナリティとは何か?」という根源的な問いかけです。
タミー・キャンベルはオリジナルと全く同じ技法で有名作品を制作した上で、プチプチに見えるけれど、実際はアクリルポリマーを鋳込んで作ったハイパーリアルなプチプチや段ボールなどのオリジナルな偽の梱包材で、その作品を包んだり覆ったりしているところが前述のマイク・ビドロとは全く違います。そもそも引き合いに出す事自体が間違っているのかもしれません。
タミー・キャンベルにとってアンディ・ウォーホルは今回の展覧会が初登場だそうです。展覧会タイトルの「Exactly Wrong」はアンディ・ウォーホル の言葉からの引用です。実際に自分の目でこれらの作品を目の当たりにして、何がどうExactly Wrongなのか確かめたいと思いませんか?
展覧会会期
天王洲・表参道 2021.9/1-9/29 日月休
PRMAKI Collection
天王洲のTERRADA ART COMPLEXの中で最も広いスペースを持つMAKI GALLERYは、欧米のギャラリーに引けを取らない広さのギャラリーです。
はっきり言ってMAKI GALLERYより狭い美術館だってざらにあるのが日本の現実です。初訪問の時は、ここ本当に日本のギャラリーなの?ってどこか海外のギャラリーに迷い込んだような錯覚に陥りました。
そんな広大なスペースに企画展タミー・キャンベルだけでなくコレクションが展示されています。
展示している作品はプライマリ、セカンダリ、国籍など何ものにも捕われる事なく全く新しいボーダレスなコレクション展示になっています。
MAKI collection第2回目の企画展は、日本人アーティストに焦点を当てたコレクション展「JAPAN」です。
奥の部屋はタムラサトルの作品です。▼
一番奥の長細いスペースは圧巻のジョナス・ウッドの部屋です。
ここだけでも行く価値十分ありの常設展示です。ジョナス・ウッドの「Tennis Court Drawings」がずらりと並ぶこのスペース、はっきり言って世田谷線のホームより広いです。ホントに。
更に奥へ進むとトイレが並んでいますが、ここも作品です。▼
トイレの中はこんな感じです。▼
オーナー夫妻の審美眼による充実のコレクションが見られるだけでもかなり満足度高いギャラリーです。
従来のギャラリーの枠にとらわれる事ない活動を精力的に発信しているMAKI GALLERYの今後を期待せずにはいられません。
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