南青山・表参道の根津美術館
初夏恒例の展覧会、南青山の根津美術館で尾形光琳作の国宝「燕子花図屏風」を公開する《特別展 国宝・燕子花図屏風 − デザインの日本美術》が今年も始まりました。
国宝の燕子花図屏風と庭園に咲く本物の燕子花を同時に楽しめる贅沢な展覧会です。今年2024年は展覧会の開幕に開花が間に合いませんでしたが、今はもう開花が始まっています。
会期中は今後も何度か訪問し最新の状況をお伝する予定なので、この記事をブックマークして燕子花の開花状況などをチェックしてみてください。
▲会場となる南青山の根津美術館は良質な展覧会を数多く開催し、その建物や庭園なども素晴らしい南青山のランドマーク的存在として多くの人に親しまれています。
その歴史は戦前にさかのぼり、東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎氏が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた美術館です。
東洋古美術という一見地味なコレクション、また邸宅を改装した美術館、さらに南青山の分かりにくい場所ということもあり、少し前まではあまり目立つ美術館ではなかったかもしれません。
2006年(平成18年)から3年半をかけ3つの倉庫と旧本館を取り壊し、世界的な建築家の隈研吾の設計による新しい展示館(本館)を建設し、2009年(平成21年)にリニューアルオープンしました。
リニューアル後はそのコレクションの充実ぶりに隈研吾設計という新しい付加価値が加わり、世界中からお客さんが訪れる人気の美術館になっています。
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国宝・燕子花図屏風展
根津美術館では毎年6本の展覧会が開催されるのですが、その中でも有名なのは毎年初夏に美術館が所蔵する尾形光琳作の国宝、燕子花絵図を披露する展覧会です。
この頃は気候もいいし、ゴールデンウィークだし、花は美しいし、本物の燕子花と尾形光琳の燕子花と見比べることができる貴重な機会だし、ということで毎年大混雑します。
見逃さないためには展覧会を日時指定予約するのが確実です。
オンラインでの日時予約はこちらから。当日券の販売もありますが本当に混んでいる時は入場まで待たされることがあるそうです。
国宝・燕子花図屏風 デザインの日本美術
展覧会は燕子花図屏風が主役なのですが、毎年少しづつテーマを変えています。
2024年は近世の作品を主にとりあげながら、デザインの観点から日本の美術をみつめるというテーマの《特別展 国宝・燕子花図屏風 デザインの日本美術》です。
燕子花図屏風は例えば伊藤若冲の絵画のような写実を極めたものとは違い、大胆に省略やデフォルメがされていて ”燕子花” を抽象化、デザイン化したものとも捉えられることから、同様の視点で日本の美術をもういちど見つめ直してみようということです。
展覧会の会期は2024年4月13日(土)から5月12日(日)まで。
また、通常は10時開館でか17時開館ですが、GW明けの5月8日(水)から12日(日)までは19時までの夜間開館が実施されます。夕闇迫る中での幽玄な燕子花が観られますよ。(ライトアップなどはありません)
▲ほぼ満開。2024年GWの燕子花。
庭園内の弘仁亭(こうにんてい)前などに咲いています。
▲少し遠くから、新緑の中の燕子花の紫色の花を見るのも美しいです。
▲もちろん間近で見る燕子花も。
さらに美術館内では尾形光琳の燕子花、庭園では本物の燕子花。根津美術館を訪問してどちらを先に見るか迷いますね。
展示作品
展示室内は写真撮影禁止なので残念ながら展示作品を紹介できません。
特別展 国宝・燕子花図屏風は展示室の1と2を使って開催されていて、燕子花図屏風は展示室1で展示されています。
また他の展示室では常設展が開催されていています。特に展示室5ではアンデス染織という珍しい企画展示が行われています。
根津美術館では入館料を支払えば企画展(特別展)と常設展の両方を鑑賞できますから、常設展もお見逃しなく。
また展覧会の会期中は茶室「披錦斎」でお抹茶セットがいただけます。
実はこの披錦斎は燕子花を見下ろす位置にあって、茶室からカキツバタを眺めながらお茶をいただける絶好のロケーションです。お一人様1,000円ですが満開の時期には絶対のおすすめです。
隈研吾設計の根津美術館
今はもう根津美術館自体の素晴らしさは世界中によく知られています。実際、お客さんの半数以上がインバウンド客ではないかと思えるほど。
▲表参道からみゆき通りを下ってきて、根津美術館に入った途端にこの光景です。
木と竹林、砂利と大理石の通路。これを見ただけでワァーっとなってしまうますね。
隈研吾らしい劇的な展開で、これから始まる東洋古美術への旅に期待が高まるアプローチです。
▲いま来た方向を振り返っても同じ。余韻を楽しみながらこの通路を歩いて帰路につくわけです。
今の根津美術館は日時指定の予約優先というシステムを取っているため、以前のような大行列ができることはあまりないようです。
行列ができたとしても当日券を求める人たちなので、事前に予約して訪問する限りはスムーズに入館できているようです。もし行列ができていても美術館のスタッフや警備の人に予約である旨を伝えれば適切に案内してもらえます。
根津美術館やNEZU CAFEについてはこちらの記事に詳しいです。
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庭園の燕子花(最新状況)
それでは根津美術館庭園の燕子花(カキツバタ)の最新状況です。
4月29日
ゴールデンウィークの前半戦、最後の休日。
天気も良いこの日の燕子花は・・・満開です。
▲燕子花は二度咲きするでのでゴールデンウィーク中はもちろん、夜間開館の時期も含めて展覧会中はずっと楽しめるはずです。
▲地下水が自噴する「吹上の井筒」の周囲群生している燕子花も満開。
この辺りは武蔵野台地の端、西麻布方面へ谷になっている場所なので地下水が自噴するのです。
▲朽ち果てる寸前という侘び寂びの世界を体現するかのような屋台船。たぶんこういう風情を出すべく、朽ち果てる寸前の状態でメンテナンスをしているんだと思っています。
こちらの周囲にも燕子花があり、むしろここの方が風情があって良いという人もいますから茶室前だけでなくこちらも忘れずに。
なお燕子花は花が2回咲くので開花している燕子花を楽しめる期間は意外と長いです。
4月25日
ゴールデンウィークに突入する寸前の燕子花。開花具合はというと・・・
▲安心してください、咲いています。まだ満開には遠い開花状況ですが、逆にゴールデンウィーク中ずっと楽しめるはずです。
これから咲き始める燕子花がたくさん残っている状態でした。
▲「吹上の井筒」の周囲の燕子花も咲き始めています。
▲そして屋台船の周囲の燕子花も咲き始めていました。
最新の燕子花(カキツバタ)
▲根津美術館ではその日のカキツバタの開花状況をTwitterなどで告知しています。
また美術館の入り口では写真付きでその日の朝の開花状況を案内しています。
入館料を払って中に入ったら開花が終わっていたなんて心配がなくて嬉しいですね。
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夜間開館の根津美術館
例年、尾形光琳の燕子花屏風図展が開催される時期には夜間開館が実施されます。
2024年は5月8日から12日まで、会期最終週が夜19時まで開館しています(通常は17時まで)。
昼間は大混雑の燕子花屏風図展ですが夜間の時間帯はお客さんの数も激減し、尾形光琳も庭園も貸し切りに近い状態で楽しめますし、夜しか見られない根津美術館の姿を見ることができます。
▲みゆき通り側の入り口から続くエントランスも照明が当てられるとこのような幽玄な雰囲気に。
(このような劇的な光景になるの日が沈んだ18時30分以降です)
館内の照明がやはり劇的です。
▲庭から見ても隈研吾の直線的を館内の照明が引き立てています。
昼間には見られない根津美術館の姿で贅沢な光景です。
通常17時閉館のところ19時まで開館しているのですが、18時も過ぎるとお客さんもかなり少なくなります。
燕子花屏風図の前にも多くて数人、タイミングによっては一人で鑑賞することもできます。
混んでいる時は屏風図の前にはかぶりつきで見る人の列、その後ろで距離を取って見る人の列、ベンチに座って見る人の列、その後ろから俯瞰で見る人の列と4列くらいになるのですが、それに比べるとあまりに贅沢な鑑賞です。
屏風図展も行ってみたいけど混雑がイヤという方は夜間開館の時間に訪問してみてはどうでしょう。
根津美術館の庭園の見どころ
この庭園は燕子花が有名ですがそれ以外にも多くの見どころがあります。東京の大都会、南青山・表参道とは思えない、緑豊かなところが魅力です。
▲新緑が水面にリフレクトする美しい池。
向こうには満開の燕子花が見えています。
▲NEZU CAFEの脇を抜けて薬師堂まで連なる回廊も新緑が映えて、ここが青山だなんて忘れてしまいそうです。
根津美術館の音
根津美術館の庭園は目で愉しむだけでなく、耳でサウンドを愉しむこともできるのですが、あまり知られていないかもしれません。
▲これは薬師堂の前の「水琴窟(すいきんくつ)」です。
茶室の前に置かれる蹲居(つくばい)からこぼれた水滴が地中の瓶の中に落ちて音色を奏でます。
骨董通りや六本木通りも近い場所ですが、耳を澄ませば美しいサウンドを聴くことができます。
”静寂の次に美しい音” (Mosy Beautiful Sound Next to Silence) とはこういう音なのかもしれません。
(音を強調しています。実際に聞こえる音はこれほど大きくないので近づいて耳を澄ませてみてください)
水琴窟(すいきんくつ)は外苑前、隈研吾事務所の前の「梅窓院」にもあるので隈研吾お気に入りなのかもしれません。
▲音といえば鹿威し(ししおどし)。
弘仁亭の前に設置されていて、燕子花を眺める静寂を破る音が楽しめます。
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庭園の楽しみ方ヒント
根津美術館の庭園は美術館本館よりも広く、隅々まで回ろうと思うと結構時間がかかります。
写真撮影に夢中になっているとあっという間に1時間くらい経ってしまいますから、時間には余裕を持って出かけたいですね。
また庭園内には茶室(入室はできません)だけでなく、由緒あるつくばいや祠などもあります。
それに加えて何気なく仏像なども置かれているので、庭園内をいろいろ探しながら散策するのも楽しいと思います。美術館の展覧会も早々に庭園に繰り出して、散策を楽しむ。そんな人も多いかもしれません。
根津美術館の場所とアクセス
根津美術館の場所は、表参道駅のA5出口を出てみゆき通りをコムデギャルソンなどがある方向へ直進します。「プラダ青山」も過ぎ安藤忠雄の「コレッツィオーネ」も過ぎた先、「美術館通り」と交わる「根津美術館前」交差点の角に根津美術館の入り口があります。
表参道の駅から徒歩10分弱です。
▲ちなみにこの美術館の交差点の逆側にあるドイツの家電ミーレのショールームも隈研吾設計です。
リニューアル後のここ十数年は日本でもトップクラスの人気を誇る美術館になっていますし、展覧会と庭園を楽しもうと特に燕子花の季節は平日でも大混雑する美術館です。
平日なら開館直後、週末は閉館間際が比較的空いている印象です。日時指定予約制になったことで以前のように入館待ちの大行列になることは少ないようですが、それでもゴールデンウィーク中はそれなりの行列は覚悟しないといけないかもしれません。
根津美術館へ行く際の注意
笑い話のようですが、文京区にある根津神社の美術館と勘違いしたり、千代田線根津駅へ行ってしまう人が本当にいるそうです。
根津美術館があるのは住所でいえば港区南青山、駅でいえば銀座線/半蔵門線/千代田線の表参道駅です。
経路検索したりする際は注意しましょう。
基本情報
国宝・燕子花図屏風 −デザインの日本美術 −
2024年4月13日(土) – 5月12日(日) 月曜休館、4月29日、5月6日は開館、5月7日休館 10:00 – 17:00 5月8日から12日は19時まで開館 入場料:一般 1,500円、学生 1,200円、当日券は1,600円 港区南青山6丁目5−1 MAP アクセス:東京メトロ 表参道駅 徒歩約10分 |