美術館は、通常展覧会を鑑賞するために足を運ぶ場所ですが、実はそれ以外にも見どころはたくさんあるのです。
たいていの美術館は建築や内装だけでなく、実は家具にもこだわっていることが多いのです。
今回「美術館にある名作椅子の数々」その4は、東京都写真美術館です。
東京都写真美術館
恵比寿駅東口から恵比寿スカイウォークを歩いて約7分の恵比寿ガーデンプレイス内にある写真・映像に特化した東京都立の美術館です。
写真・映像の専門美術館ですから、あまり名作椅子の印象はないと思いますが、実はあるんです。
しかも、美術館で使われている椅子の王道のものばかりが揃っています。
(展覧会によって置かれている椅子の内容は変わりますので使われていない場合もあります。)
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66チェアとアアルトテーブルとスツール60
66 CHAIR/66チェアとAALTO TABLE/アアルトテーブルとstool60/スツール60は全てアルヴァ・アアルトのデザインでArtek/アルテックで販売されているロングセラー商品のLレッグシリーズです。
Lレッグシリーズというのは、その名の通り強固な無垢材を直角に曲げる技術で、テーブルの天板や、スツール、椅子の座面など、家具の平らな面を垂直に支える脚に使われています。
この直角に曲げる高度な技術が、アルテックのデザインを支えていると言っても過言ではありません。
写真美術館では、Lレッグの技術が使われている66チェアとアアルトテーブルの円形(90Aテーブル天板:ブラック リノリウム)がセットで設置されています。
コロナ前は円形テーブルに66チェアが4脚置かれていました。▲このセットの方がいいですよね。
このセットは基本的にいつもここにあります。
コロナ禍の現在は、円形テーブルの周りに2脚の66チェアが互い違いに置かれています。▲
なんかすれ違う2人って感じで悲しげなレイアウトです。
ちなみにここのミュージアムショップNADiff BAITEN(ナディッフ バイテン)の内装設計は、大阪のクリエイティブユニットgrafによるものです。
展示室前のPCの椅子も66チェアです。▲
隣にはカッシーナ・イクスシーのエアフレームのベンチが置かれています。
どこの美術館にもあるアルヴァ・アアルトのスツール60ももちろんあります。▲
スツール60は、映像作品のモニター前などに置かれることが多いので、普段から館内に置いてあるわけではありません。
小型でスタッキングできる上にデザイン性にも優れているので、通常はしまっておいて、展覧会によっては出動させることが可能なとても便利なスツールです。
Artekで66 CHAIR/66チェア¥57,200
AALTO TABLE/アアルトテーブル 90Aテーブル天板ブラック リノリウム¥185,900
stool60/スツール60は¥28,600
価格:185,900円 |
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AIR FRAME/エアフレーム
デヴィッド・チッパーフィールドがCassina ixc./カッシーナ・イクスシーのためにデザインしたシリーズです。
このシリーズも実は色々な美術館で目にします。
都内だとこのブログでも取り上げた東京国立近代美術館でも座面がレザータイプがあります。
エントランスにあるのが、エアフレーム3001のソファです。▲
美術館で見かけるエアフレームはベンチタイプが多いのですが、ここにはソファがあります。
ソファだとよりリラックスできますね。贅沢な空間だぁ
エントランスのソファと同色のエアフレーム3001ベンチです。▲
展覧会内容によって設置されてない場合があります。
企画展「見るは触れる」の映像作品の前に置かれているエアフレーム3001のベンチ▲
ニュートラルで作品の邪魔をしないのでいろんな美術館で重宝されています。
どうですかこのすっきりとしたデザイン。
カッシーナ・イクスシーでエアフレーム3001 3人掛けベンチ¥237,600〜
エアフレーム3001ソファ ¥558,800〜
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HAL Tube/ハルチューブ
展示室前のアンケートが置かれたデスク前にあるのはジャスパー・モリソンデザインのハルチューブの白です。
ハルチューブはスイスの家具ブランドヴィトラ/Vitraで販売されています。
ジャスパー・モリソンは椅子だけでなく照明やJINZのメガネなどプロダクトデザインも数多く手がけています。
日本にも拠点を持っているので親しみがあるデザイナーです。
Vitraでハルチューブ¥36,300
Vitra(ヴィトラ) ハルチューブ(HAL Tube)クロームベース/ベーシックダークベース/アイボリーベース 価格:36,300円 |
BRONX 1010/ブロンクス1010とベンチ
展示室内の監視員さん用の椅子として使われているのが、BRONX1010です。
この椅子は日本人デザイナー川上元美のデザインによるフォールディングチェア(折り畳み椅子)で、カッシーナ・イクスシーから販売されています。
フィンランドのArtekのデザイナーアアルト、イタリアブランドカッシーナ・イクスシーから出ているイギリス人デザイナーのエアフレーム、スイスブランドヴィトラから出ているイギリス人デザイナーのハルチューブなどが続きましたが、ここに来て日本人デザイナーの椅子です!
折りたたみ椅子というといわゆるパイプ椅子のイメージですが、その陳腐なイメージを覆した機能とデザインのバランスを実現したロングセラーです。
カッシーナ・イクスシーでブロンクス1010¥59,400
こちらのベンチは、スツールに板を渡してベンチにしたような面白いデザインのベンチです。
2021年春に開催された澤田知子の個展「狐の嫁入り」以来写真美術館では見かけたことがありません。
この展覧会専用だったのかな。
デザイナーを調べましたがわかりませんでした。謎デザイナーの謎ベンチです。
そもそもこのベンチ、2つのスツールと座面の板はバラバラにできるのかな?
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フロムトップ
写真美術館に併設されたミュージアムカフェの「フロムトップ」にはいろんなタイプのアンティークの椅子が使われています。
名作椅子を巡る美術館探訪の休憩にはもってこいのインテリアのカフェですね。
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東京都写真美術館
東京都写真美術館/TOP MUSEUMは写真・映像に特化した都立美術館として1995年、恵比寿ガーデンプレイス内に開館しました。
美術館の設計は組織型設計事務所の久米設計で、施工は鹿島建設です。
2014年から2016年まで大規模改修の為休館し、2016年9月にリニューアルオープンしました。
リニューアルオープンの柿落としは杉本博司の「ロスト・ヒューマン」展で、展示室全体が一つの巨大なインスタレーション作品というこれまでの写真美術館の展覧会の印象をガラリと変える革新的な展覧会でした。
恵比寿ガーデンプレイスに開館した時から現在までの25年間でおそらく100回近く通っている美術館です。
思えば、フィオナ・タンやアピチャッポン・ウィーラセタクンはここ写真美術館が最初の出会いでした。
今後も新進気鋭の写真・映像作家の作品との出会いを期待しています。
訪問の際はもちろん椅子チェックも忘れません。
基本情報
東京都写真美術館(TOP Museum)
10:00~18:00(木・金〜20:00)月休 目黒区三田1丁目13−3 恵比寿ガーデンプレイス内 MAP |
美術館の名作椅子の数々その1 東京国立近代美術館▼
美術館の名作椅子の数々その2 国立新美術館▼
美術館の名作椅子の数々その3 法隆寺宝物館▼
東京都写真美術館で開催されている展覧会
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