六本木でアートコンプレックス化している森ビル所有のピラミデに位置する現代美術の画廊 TARO NASUにて、現在ジョージェ・オズボルト/djordje ozboltの展覧会が開催中です。前々からまとめて作品を見たいと思っていたので、会期始まってすぐに訪問しました。
作品を鑑賞してジョージェ・オズボルトの独特の世界観にハマりました。やっぱり只者じゃないアーティストでした。
至って普通の平面作品なのに、描かれている世界は全然普通じゃない。このギャップもまたたまりません。
ジョージェ・オズボルト
1967年ユーゴスラビア生まれで、現在はイギリス、ロンドンを拠点に活動するアーティストです。ユーゴスラビア生まれのアーティストと言えば、まず思い浮かぶのは、マリーナ・アブラモヴィッチです。アブラモヴィッチがそうであったように、ジョージェ・オズボルトも、英国留学中に革命によって祖国を失うという悲劇に見舞われます。
長らく続いた紛争は、ユーゴスラビアの人々にとって、忘れることのできない傷跡です。そんな出自も少なからずジョージェ・オズボルトの作品制作に影響を与えていることは間違いありません。
The pleasure principle
今回の展覧会は、大小の平面作品で構成されています。立体作品も制作するアーティストですが、今回はありませんでした。
平面に描かれているのは、名画の断片の引用です。サイズの小さい平面作品は背景が1色に塗られ、そこに名画の断片の引用が、ある作品は、まるで宙に浮くように、ある作品はそっと置かれています。
どの作品がどんな名画からの引用なのかわかりますか?
アクリル平面
使っている画材は油彩ではなく、アクリルです。出品されている作品は全て2022年制作の新作です。
▲「Death in Chamdigarh」建築を学んでいた影響が色濃く反映されている作品です。
コルビジェは、インド首相の依頼を受け、インドの新都市チャンディーガル建設に関わりました。猫の横にあるのはコルビジェがデザインしたチャンディーガルのシンボルオープンハンドです。
▲しまうまの模様の中にピエト・モンドリアンの作品が!タイトルは「piet’s pet」です。モンドリアンのペットということですね。
▲このレイアウトもなんだか笑ってしまいます。タイトルは「Before yoga」。見たまんまなのが可笑しい。
アクリル小品
小作品は、5枚で1セットです。
▲best of…vol.1
▲背景がピンクの作品は、展覧会のDMになっています。これはピカソの有名な絵画「ゲルニカ」からの引用ですね。
▲best of…vol.2
▲不思議な切り取りで、強い個性が出ています。
▲best of…vol.3
▲どの作品がどんな名画の断片か分かりましたか?
なかなか難しいですね。
プライベートミュージアムのジョージェ作品
ジョージェ・オズボルトは、麻布にある某企業の会長のプライベートミュージアムに象徴的に飾られている立体作品の作家です。飾られているというより設置されていると言った方が適切かもしれません。
その作品も名画ではないのですが、イブ・クラインの有名な写真のオマージュです。その立体作品は、前を通りがかるたびに目にしていたのですが作家名がわからず長い間モヤモヤしていました。
昨年、プライベートミュージアムに訪問した際に、会長さんに直接作家名をお聞きして、ようやくジョージェ・オズボルトであることがわかりました。
作家がわかってから半年も経たずにジョージェ・オズボルトの個展が開催されると知って早速見にいきました。まとめて新作を見ることができてとても嬉しい!
当然コレクターである会長さんも作品を鑑賞されているでしょう。もうすでに作品を購入されたかもしれませんね。
基本情報
ジョージェ・オズボルト「The pleasure principle」
2023年2月25日(土) – 3月25日(土) 11:00 – 19:00 日月祝休 TARO NASU 港区六本木6丁目6−9 ピラミデビル4F MAP |