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ゼネコンの会長 大林剛郎の大林コレクション展をWHAT MUSEUMで


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天王洲で寺田倉庫が運営する美術館WHAT MUSEUMでスーパーゼネコンの一つ大林組の会長である大林剛郎のアートコレクションの展覧会「大林コレクション展」を鑑賞してきました。

寺田倉庫がアートコレクターから預かり保管している作品を展示するプロジェクトの一環です。最後にコレクターの大林邸の様子も紹介しますね。

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

Obayashi Collection 1

WHAT MUSEUMで開催されている大林コレクション展は、3つのセクションに分かれいています。

まずは1から順番に簡単にご紹介します。

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

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安藤忠雄 描く

現在は850点に及ぶ膨大な大林コレクションのスタートとなった建築家安藤忠雄のドローイング、スケッチ、シルクスクリーン作品などの展示です。

会場の入り口で待ち受けているのは、安藤忠雄そのものでした。この作品は、グザヴィエ・ヴェイヤンの2009年の作品です。

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

この作品は、2009年にヴェルサイユ宮殿と庭園で開催された展覧会「Veilhan Versailles」のために制作された「THE ARCHITECTS」シリーズです。

野心的・革新的な建造物はすべて、その所有者だけでなく 建築家の個性を体現しており、そのような建築を創造する建築家への敬意を表した作品です。日本人建築家では、安藤忠雄の他にSANAAの妹島和世などが制作されました。

この作品は写真でしか見たことがなかったため、スケール感をあまり認識していなかったのですが、実際の作品を目の当たりにすると高さが2mもあって実際の人物よりもかなり大きいということがわかりました。

ヴェルサイユの展覧会では、屋外展示だったので、更にこの人物像よりも高さのある台座の上に乗っていて、相当巨大な作品だったということを改めて理解しました。

グザヴィエ・ヴェイヤンといえば、WITH原宿の3Fから神宮の森を見つめるオレンジ色の立体作品「La Statue de Harajuku」が有名ですね。

六本木ピラミデにあるペロタン東京で2021年3月に開催されたグザヴィエ・ヴェイヤンの個展についてはこちらを参照ください▼

あのグザヴィエ・ヴェイヤン展「Chemin Vert(緑の小道)」へ

このセクションの会場内は残念ながら撮影禁止なので、肝心な安藤忠雄の作品の写真はありません。

見所は、日本初公開となる10mに及ぶ直島のドローイングです。この作品は2000年に開催された上海ビエンナーレに出品されたもので、キャプションによると安藤忠雄は、巨大な紙を目の前に迷うことなくさらさらと描いたそうです。

その言葉にある通り勢いのある線で描かれた直島は、桟橋前の片瀬和夫の「茶のめ」から始まり、ベネッセハウスオーバルまでが大胆なタッチで描かれています。

つい先日訪れたばかりの場所なので、安藤忠雄の描いた直島の風景が実写となって頭に浮かんできました。

他に出品されているのは、「光の教会のための習作」、「住吉の長屋のための習作」などのスケッチや、2つの未完のプロジェクト「宇都宮プロジェクト」と「中之島プロジェクトI(大阪市役所)」などが展示されています。

WHAT MUSEUMの展示室1階のSPACE2なので決して広いスペースではありませんが、導入のグザヴィエ・ヴェイヤンの立体からスタートして日本初公開の直島のドローイングまで充実した内容だと思います。

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Obayashi Collection2

セクション1の「安藤忠雄 描く」の隣のSPACE1が会場です。

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

「都市と私のあいだ」

9名のアーティストによる都市を形成する様々な要素を被写体とした写真作品を展示しています。

一部作品をのぞいて撮影可能です。撮影不可の作品にはキャプションにマークが付いています。

妹島和世の北斎美術館の模型が被写体の作品はトーマス・デマンドの「Museum H64」▼

トーマス・デマンドの「Museum H64

さすが、スーパーゼネコン大林組の会長のコレクションだけあって、やっぱり建築絡みの作品のコレクションの層が厚いですね。

ルイス・バラガン邸が被写体のルイザ・ランブリの作品「Untitled(Barragan house)」▼

ルイザ・ランブリの作品「Untitled(Barragan house)」

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Obayashi Collection 3

2階の展示室のセクション3は、大林コレクションの真骨頂となる展示です。セクション3の中でも更に4つのグループに分けられた展示になっています。

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

Self-History

850点を超える膨大なコレクションの中からセレクトした珠玉の約40点の展示です。ご本人の言葉を借りると、「私的なコレクションの面白さの一つに時間の経過とともに内容が変化していくこと」とあります。コレクションした時期によって本人の趣向だけでなく、時代の変化などで内容が変遷していく様子も含めて楽しめる展覧会です。

 SPACE A

展覧会のイントロダクションの意味合いのある展示内容です。

一部作品をのぞいて撮影可能です。撮影不可の作品にはキャプションにマークが付いています。

正面に見える吉原治良と右のジャン・アルプの彫刻作品は、大林剛郎の父大林組三代目社長の大林芳郎のコレクション▼

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

SPACE B

トーマス・デマンドのサイズ可変の「Hanami」作品の先にあるのはドイツのベッヒャー夫妻の写真作品です。その足元にはミニマリズムを代表する作家カール・アンドレの作品があります。

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

カール・アンドレの作品の横には、同じくミニマリズムを代表するドナルド・ジャッドとダン・フレヴィンの作品が並びます。そして、その正面にはストライプで有名なダニエル・ビュレンの作品があり、3者の作品と向かいあっています。

この作品の並びには意味があって1971年のグッゲンハイム美術館で開催された国際展で、ビュレンの作品の展示を拒否する反対運動がジャッドとダンフレヴィンらによって起こりました。そんな事件も鑑みつつこのセクションのミニマリズム作品、コンセプチャルアートを鑑賞してください。

SPACE C

ここでは、主に人体表現を扱う作品が展示されています。正面に見えるのはエスパスルイ・ヴィトン東京で80年代の作品が日本初公開されているギルバート&ジョージの作品です。▼

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

SPACE D

このセクションの作品は比較的新しいコンセプチャルアートが集められています。近年収集されたと思われる作品は、どんどんコンセプチャルになっていて、現代美術の動向の変化と共に作品の傾向も玄人好みに変遷しているのがわかります。

言語そのものがモチーフとなっているローレンス・ウィナー「A LOT MORE」▼

ローレンス・ウィナー「A LOT MORE」

ネオン管の作品はジョナサン・モンクの「DO NOT PAY MORE THAN $90,000」▼

ジョナサン・モンクの「DO NOT PAY MORE THAN $90,000」

この「self-History」では、44点の作品と大林親子にとって思い出深い参考資料1点による45点を鑑賞することができます。

850点もコレクションがあったら、様々なカテゴリーでいくつもの展覧会を開催できそうです。今後も展覧会があるのなら是非見てみたいです。

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プライベートミュージアム

大林剛郎の個人的なプライベートミュージアムが、割と近所にあるので、通りがかる度にいつも観察してしまいます。設計はもちろん安藤忠雄です。

裏の土地をいつの間にか買い取っていたようで、近年裏の民家が解体され、更地になってるなぁと思っていたら、安藤忠雄設計で新たな建物が増築されました。さすがです。▼

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

プライベートミュージアムなので、残念ながらご招待されない限り中に入ることはできませんが、ガラス越しに見えるオラファー・エリアソンのキラキラやアントニー・ゴームリー作品?らしき人物像のシルエットを前を通るたびに拝見させていただいています。

ここ最近見られるようになった人物像のシルエット。アントニー・ゴームリー?グザヴィエ・ヴェイヤン?それともジャコメッテイ?真相はわかりません。前はここにこのようなシルエットはありませんでした。

<追記2022.12>

実は先日とうとう中に入ることができました。それはそれはすごいミュージアムでした。そしてこの立像はアントニー・ゴームリーで正解です。オラファー・エリアソンのキラキラも目の当たりにすると本当にすごいです。

そして、裏の新しい建物と前の建物は繋がっていて、全てがプライベートミュージアムでした。

ただし、残念ながら写真をアップすることはできないので文章のみとなります。いつかもう少し詳細に書こうと思いつつ時間が経ってしまいました。いつか写真なしにはなりますが、その凄すぎる全貌を文章にしたいと思っています。

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

850点のコレクションは、全てこのプライベートミュージアムにあるはずもなく、大半は寺田倉庫に預けているのでしょうから、その一部を今回、展覧会という形で鑑賞できる機会があって興味深く観せてもらいました。

ファサードのこの飛び出す人は、イヴ・クラインの作品のオマージュだと思うのですが、作家がわかりません。誰か教えて。→作家がわかりました!ジョージエ・オズボルトです。コメントありがとうございました!▼

六本木のTARO NASUでのジョージェ・オズボルト展の記事はこちら

大林コレクション展 WHAT MUSEUM

今回の大林コレクション展に出品されていた、右がイヴ・クラインの作品「Leap into the Void」。左は森村泰昌のオマージュ作品「なにものかへのレクイエム(創造の劇場 イヴ・クラインとしての私)」

プラベートミュージアムのファサード作品は、これら作品が元になってるのは確かですよね。▼


寺田倉庫は、大林コレクション以外にも個人コレクターや企業のコレクションなどなど数多くの作品を預かっているはずなので、今後も美術作品を預かりつつ、入場料をとってそれらを見せちゃうっていう展覧会が開催されるのではないかと思われます。

この点に関して寺田倉庫は、すごいことを始めたなぁと、ちょっと驚きました。

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展覧会基本情報

大林コレクション展  / 1「安藤忠雄 描く」/2「都市と私のあいだ」/3「Self-History」

2021年9月25日~2022年2月13日 <会期終了>

11:00~18:00 月休

一般 1200円 / 大学生・専門学校生 700円 / 中高生 500円 / 小学生以下無料

WHAT MUSEUM

品川区東品川2丁目6−10 G号 寺田倉庫   MAP

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「ゼネコンの会長 大林剛郎の大林コレクション展をWHAT MUSEUMで」への2件のフィードバック

  1. 素敵なページをアップしてくださりありがとうございます。
    先日ランニング中に見かけて気になっていた建物だったので、詳細が判明して嬉しいです。既にお気づきのことかとは思いますが、「ファサードのこの飛び出す人」はジョージェ・オズボルトの作品ではないでしょうか。
    https://bijutsutecho.com/exhibitions/31
    余計なお世話とは思いつつ。。。

  2. 余計なお世話だなんてとんでもない!
    貴重な情報ありがとうございました。
    ジョージエ・オズボルトで間違いないです。

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