銀座の中央通りに面したポーラ銀座ビルの3階にあるポーラミュージアムアネックスは、美を追求する化粧品メーカーのポーラが運営するアートスペースです。
このアートスーペースは、箱根にある自然と共生する美しい美術館箱根ポーラ美術館のアネックスという位置付けです。ポーラミュージアムアネックスでは、銀座という場所柄、主に最先端のアートの展覧会を開催しています。
現在開催中の西島雄志「瑞祥 zui-shou ― 時の連なり ―」も目を見張るようなインスタレーションが展示されています。
PR西島雄志
西嶋雄志のインスタレーションを構成しているのは無数の銅線のパーツです。このパーツよく見ると渦巻き状になっています。
この渦巻き状の無数のパーツは、なんとアーティスト自らが一つ一つ手作業で作っているのです。その小さなパーツの集合体が、モチーフとなる伝説の生き物を形成しています。
2021年に阪急メンズ東京7階のtagboatで展覧会「Deification」を拝見して以来の鑑賞となります。
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八咫烏
エレベーターを降りると、八咫烏がお出迎えです。
八咫烏は導きの神ということなので、この展覧会、すなわち西島雄志の世界へ我々を導いてくれる存在です。
展覧会冒頭の八咫烏は銅そのものの色ではなく綺麗な緑青でした。
この作品の台座の裏には、制作風景の映像が流れているので見落とし注意です。
飛翔する八咫烏
次の部屋は導入部分とは一転して暗い部屋の中央に八咫烏が連なって飛んでいます。
このスペースの照明はゆっくり消灯と点灯を繰り返します。
床に落ちる影も美しいですね。躍動感あふれるリアルな姿に、実は渦巻き状の銅線で構成されていることを忘れそうです。
でもやっぱり、本当に羽ばたいているように見える翼も、何もかも渦巻き状の銅線なんです。
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鳳凰と龍
次の部屋は、メインの新作で展覧会タイトルにもなっている「瑞祥 zui-shou」です。
左に龍の顔、中央に鳳凰が飛んでいます。
照明を受けてキラキラと光るテグスまでも美しいと感じます。
完全に姿形を作ってしまわずに、絶妙な空白の存在が逆に、躍動感を強調します。
これはもしかしたら、誰も目にしたことのない龍や鳳凰を、鑑賞者が各々想像するための余白なのかもしれません。
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ニホンオオカミ
一番奥のスペースには、銀色のニホンオオカミが鏡の反射の中に立っていました。
ニホンオオカミは、新作と違い余白少なめで、その姿の大部分が作り込まれています。
神々しい光を放つニホンオオカミは、ニッケルメッキされた銅線です。
鏡に反射した銀色の輝きが、絶滅して神格化してしまったニホンオオカミの悲哀を強調します。
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八咫烏、龍、鳳凰は神話に出てくる伝説の生き物です。ニホンオオカミは、すでに絶滅してしまった動物です。
この展覧会には、伝説上の、またはすでに存在しない生き物が、まるで今にも動き出しそうな姿をみせてくれます。
暗闇で出会う伝説の生き物達は、アーティストが制作にかけた膨大な時間が可視化された姿なのかもしれません。
基本情報
西島雄志「瑞祥 zui-shou ― 時の連なり ―」
2023年4月28日(金)–2023年6月4日(日) 11:00-19:00 会期中無休 入場無料 ポーラミュージアムアネックス/pola museum anex 東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階 MAP アクセス:東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線 銀座駅 A9番出口徒歩6分、東京メトロ有楽町線 銀座一丁目駅 7番出口すぐ、JR有楽町駅 京橋口改札徒歩5分 |