鹿島出版会主催の“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件の建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られるSDレビュー2021を観てきました。
鹿島出版会
主催の鹿島出版会は、スーパーゼネコンの一つ鹿島建設の四代目社長鹿島守之助が1963年に創立した鹿島建設研究所出版会です。鹿島守之助は鹿島出版会だけでなく日本技術映画社(現Kプロビジョン)や、財団法人鹿島平和研究所などを設立しました。
また守之助の死後その意思を引き継ぎ1978年に八重洲ブックセンターが開業されています。
鹿島出版会では、設立直後から建築デザイン雑誌SDを発行していました。また、建築・建築史の選書シリーズSD選書を出版しておりその数は既に260冊を超えています。
雑誌SDは残念ながら2000年に休刊になってしまいましたが、建築コンペSDレビューは現在も継続しており、今回は第39回目の開催です。ちなみにSDとはSpace Designの略です。
SDをはじめ室内、建築文化など建築専門雑誌が次々に休刊になってしまい寂しい限りです。
SDレビュー
実現見込みのないイメージやアイデアではなく“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件の建築コンペです。
1982年建築家槇文彦による発案で第1回目が開催されました。第1回目から槇文彦設計のヒルサイドテラスにて入選作品展が開催されています。
本来なら今年は第40回目の節目の開催のはずでしたが、昨年のSDレビューがパンデミックにより中止になってしまった為、今年は39回目です。さらに、今年のSDレビュー2021京都展も巡回中止が決定しました。
12の入選作品
ヒルサイドテラスF棟ヒルサイドフォーラムにて開催されている入選作品12を展示順に写真で紹介します。
斜面住宅地をつなぐ柔らかいインフラ
雨宮知彦+岡部明子+サカイ・クラウディア+佐藤淳
ROOF HOUSE
玉田誠+脇本夏子
2 Sides House
大場晃平
被爆建物を有する社屋の持続的更新計画
寳神尚史+太田温子+小川円香
縫合する建築
香川翔勲+林和秀+藤井章弘+伊藤一生+佐倉弘祐+髙木秀太
岐阜のいちご作業所・直売所・遊び場
伊藤維
チャマンガの工房
筒井伸+両川厚輝+本田圭+川崎光克+いとうともひさ+小串マルセロ賢司+倉橋風人
森の町とPavilion
滑田崇志+斉藤光+伊藤実香+三浦翔太
中川運河再生計画案「みんなの運河」
米澤隆建築設計事務所+中川運河キャナルアート
踏切の家
斧田裕太+杉中浩之+杉中俊介+杉中瑞季+杉中真由美
野生の所作
天野亮平+西本光
農家住宅の不時着 場と人をつなぎ直す 建築と庭の遷移
伊藤孝仁+渡邉貴明+吉田葵+高橋卓+堀江欣司
一つ一つの展示の情報量が多いので時間に余裕を持っての訪問を推奨します。入場無料、写真撮影可能、土日祝は事前予約制です。会期が短いので週末は既に満席の時間帯もあるようです。
会場に行けない方は、図面など詳細情報はこちらを参照ください。
展覧会情報
SD Review 2021
2021年9月18日(土)~9月26日(日)会期中無休
11:00-19:00(9/26は〜16:00) 入場無料 土日祝事前予約制 ←注意
渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟 ヒルサイドフォーラム MAP