青山は表参道駅の青山通り沿いにある槇文彦設計のスパイラル/spiralは、下着メーカーのワコールが「生活とアートの融合」をコンセプトに1985年に建てた複合文化施設です。
PR文化施設
スパイラルは1985年10月に京都に本社がある下着メーカー株式会社ワコールが複合文化施設として開業しました。ワコールのグループ企業の株式会社ワコールアートセンターが施設の運営をしています。
スパイラルがこの地に誕生してからすでに36年。今では青山・表参道のアート・カルチャーの顔と言っても過言ではありません。それは、オープン以来ブレることなく一貫して文化施設として運営し続けている事にあると思います。
スパイラルはスパイラルガーデン、スパイラルホール、エントランスやショーケースなど5つのスペースのレンタルもしています。ただ、お金を払えば誰でも、どんな内容でも借りられる訳ではなく、一応審査を通らないと借りることはできません。これが重要ですね。何でもかんでもイベントに貸し出しをしていたら文化施設としてのクオリティは保てません。
ああ、レンタルだなとわかりやすいのは美術大学の卒業制作展ですね。東京の美術大学は五美術大学卒業制作展というのを国立新美術館などで開催しますが、なぜかデザイン科だけは省かれているので(当時自分も疑問にも思いませんでしたが)各美大のデザイン科ごとにスペースを自腹で借りて卒制展を開催します。その中でもスパイラルは憧れの場所です。
槇文彦
設計は代官山ヒルサイドテラスなど数々の名だたる建築を手がける槇文彦です。槇文彦設計の文化施設といえば長野市芸術館・長野市役所第一庁舎や両国にあるドレープ照明が美しい刀剣博物館、出雲大社の近くにある島根県立古代出雲歴史博物館など、そのどれもが特徴的な”間”を持たせた館になっています。
2021年5月に小山登美夫ギャラリー主催で開催された菅 木志雄集められた〈中間〉展の様子▼
PR外観
実は身近すぎて引きで外観をまじまじと見たことがなかったような気がするのですが。
純粋幾何学体である正方形、円、正三角形、円錐を基本要素として建物全体が構成されています。外観は数多くの四角形を積み上げたコラージュのような構成のファサードになっています。また建築素材はアルミパネルやガラス、金属的なタイルなどを多様し、現代的でシャープな印象の顔に仕上がっています。
道行く人のほとんどの人が気づかずに通り過ぎているのですが、下からも確認できるワイヤーワークがあります。▼
よくよく見ると結構外部に飛び出しています。▼
これ、実は渋川の原美術館アーク(旧原ミュージアムアーク)や夫である磯崎新設計の群馬県立近代美術館などに作品が設置されている宮脇愛子(2014年没)の作品「うつろひ」です。
▼3Fのスパイラルホールでのイベント時に撮影したものです。3Fのスパイラルホールがクローズしている時は入れませんのでご注意を。
ガラス窓に宮脇愛子の略歴が和英で書かれています。▼
PRスパイラルガーデン
名前になっているスパイラルは螺旋という意味ですが、螺旋状に上昇していくイメージを表現した建物の外観と内部の特徴に由来します。
内部のスパイラルガーデンは他に類を見ない圧巻の空間です。スパイラルがあるからスパイラルで、スパイラルをスパイラルたらしめている核となる場所です。命名はワコール現会長の塚本氏です。
で、実は何もない時が一番綺麗だったりします。▼
1階のスパイラルカフェ、その上にスパイラルマーケット。
私の記憶だとこの組み合わせは開業以来変わってないと思います。▼
スパイラル状に設けられたスロープはライフスタイルショップの先駆け的な2階のスパイラルマーケットへのアプローチでもあります。▼
自然光が入る吹き抜けの大空間の上部から吊り展示が可能になっています。▼
1階と2階の両脇にスペースがあって、こちらのスペースは展覧会場としても使用される場所です。▼
PRエスプラナード
1階のエントランスから3階のスパイラルホールへ向かうエスプラナードも展覧会の会場として使用されます。
青山通りに面する窓側を向くの図▼
階段を登ったところから見下ろすの図▼
青山通りに面した自然光がたっぷり入るエスプラナード。
ここには窓に向かって椅子が置いてあり、誰でも自由に座って時間を過ごすことができます。
(コロナ禍に撮影した写真なので椅子が撤去されています)
この三角形模様のカーペットの色彩は、スパイラル竣工の翌年竣工した槇文彦設計の京都国立近代美術館にも使われています。
京都は三角形がランダムな模様になっています。
スパイラルのスキップフロアは秀逸です。
ここで開催される数々の文化的なイベントと相まって他にはないスペースになっています。▼
過去の展覧会
高校時代から通っているのでこれまでに一体幾つの展覧会や催しをここで見てきたかは、もう数えようがありません。行われている展覧会の中にはスパイラル自主企画の展覧会もあって自主企画展は、年に数回行われています。
現在のiPhoneに入っている写真の中からいくつか印象に残った展覧会を紹介します。
2018年4月嵐の松潤こと松本潤も来ていたwowの回顧展「wowが動かす世界」展。スパイラルガーデンの大空間を使った大規模なインスタレーションの展示は見応え十分でした。京都のホテルのレセプションにある作品の50倍くらいの規模です。▼
田根剛が会場構成をしたCITIZEN “We Celebrate Time” は、2014と2018年の2回スパイラルで開催されました。▼
スパイラルガーデンへのアプローチであるギャラリー空間には木による道が▼
YKK APが2007年より研究活動してきた窓学の10周年記念展のレアンドロ・エルリッヒの窓の作品「Window and Ladder – Leaning into History」▼
PR美術展などを鑑賞するようになった高校生の頃から訪れていたので、スパイラルは私にとってはとても身近な場所です。近くを通ったら何かやってようがやってまいがとりあえず寄ってみる。
何か良い出会いがあったらラッキーだし、何もない時はその建築空間を堪能するのです。何もやっていないのにスパイラルガーデンを無意味にグルグル回ってる人がいたらそれは私かもしれません。
アクセス
スパイラル/spiral
港区南青山5丁目6−23 MAP
最寄駅東京メトロ表参道駅B1出口より徒歩10秒
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