コロナで旅に出られないので訪ねたけれどブログに書いてなかった美術館について書いていきます。
田根剛
明治・大正期に建設された元シードル工場「吉野町煉瓦倉庫」を改修した美術館が昨年オープンしたので訪ねました。
弘前れんが倉庫美術館の建築設計を手がけたのは、エストニア国立博物館などを手がけた田根剛氏。田根氏が日本で初めて手がける本館は「記憶の継承」をコンセプトに、できるかぎりあるがままの素材を活用して、レンガ倉庫の姿をとどめることを前提に設計されました。
右側が美術館の建物、左側がミュージアムショップとカフェ「CAFE & RESTAURANT BRICK」です。▼
コロナウィルスの影響で4月のオープンは延期され、当初は青森県民限定でオープンしましたが、夏にはその規制も外れたのでGO TOキャンペーンを使って訪問しました。
奈良美智
美術館に入るとまず迎えてくれのが、青森県出身のアーティスト奈良美智の「A to Z Memorial Dog」です。この作品は、吉野町煉瓦倉庫が美術館となるきっかけとなった2006年の展覧会「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」で展示された立体作品です。
青森県立美術館の「あおもり犬」も大人気ですが、こちらもこの美術館のシンボル犬としてこの美術館の顔になりそうですね。▼
ジャン=ミシェル・オトニエル
六本木ヒルズの毛利庭園や渋川の原美術館ARC、虎ノ門ヒルズのホテルアンダーズ東京などでも見ることができるガラスの作品は、ジャン=ミシェル・オトニエルの作品です。
現在、弘前レンガ美術館で開催されている「りんご宇宙-Apple Cycle/Cosmic Seed」に「エデンの結び目」というりんごから着想を得て制作されたオトニエルの作品が展示されています。
この作品はよく見るハート型ではなくネックレスのようです。▼
展覧会
開館第一弾の展覧会は「Thank You Memory — 醸造から創造へ —」で、尹秀珍、ジャン=ミシェル・オトニエル、笹本晃、畠山直哉、藤井光、奈良美智、ナウィン・ラワンチャイクン、潘逸舟が出品したグループ展でした。
場所と建物の「記憶」をテーマに、改修工事の記録にもとづく作品や、弘前市民の協力により制作された作品など前述の8名のアーティストによる作品展示の様子です。
高さ最大15メートルの吹き抜け空間やもともとあったコールタールの質感を活かした壁など、倉庫らしさを生かした美術館になっています。その大空間を生かしたダイナミックな展覧会はとても興味深く、面白かったです。写真でもわかるように普通の美術館空間のようにホワイトキューブではなく、コールタールを生かしたこの暗い空間は、国宝を扱うようなところでは珍しくありませんが、現代美術の作品を展示する美術館としては珍しいかもしれません。
コールタール壁の展示室とは打って変って真っ白な階段空間。ここすごいよかったです。▼
ここは2階の市民ギャラリーを兼ねたライブラリーです。天井が高く広々です。▼
老朽化した倉庫の屋根をシードルをイメージした「シードル・ゴールド」のチタン製菱葺屋根で覆っています。シードル工場だった歴史をこの屋根の色で表現しています。すごく綺麗でした。この写真は美術棟からカフェ棟の屋根をみたものです。▼
このブログでも書きましたが、青森県には青木淳設計の青森県立美術館、西沢立衛設計の十和田市現代美術館、安藤忠雄設計の国際芸術センター青森などリピートしたい建築&現代美術のポイントがありますが、昨年弘前レンガ倉庫美術館が開館して、また一つポイントが増えて嬉しいです。実際、この時の旅でも青森県立美術館と十和田市現代美術館を再訪しました。夏でも東京のように酷暑ではないので夏の青森旅には何度でも行きたいです。
思うように旅に出られない状況が続きますが、コロナ終息後の旅のプランの参考になればと思います。
弘前レンガ倉庫美術館
青森県弘前市吉野町2-1 MAP
9:00-17:00 火休