私が勝手にイタリア高級家具ブランドABCと名付けている3社があります。Aはアルフレックス、BはB&Bイタリア、Cはカッシーナ、しかし、実はCにはもう一個あるんじゃないかと。それがカッペリーニです。このカッペリーニ、先のABCの3社と何が違うかと言えば、アルフレックスにはアルフレックスジャパン、B&BイタリアにはB&Bイタリアジャパン、カッシーナにはカッシーナ・イクスシーがあるのですが、カッペリーニにはカッペリーニジャパンがありません。
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で、イタリアでは、カッペリーニとカッシーナは共にポルトローナ・フラウの傘下にあります。このポルトローナ・フラウは、1912年にトリノで設立された革張りの高級ソファなどを制作する高級家具メーカーで、1980年代よりランチア、フェラーリ、アルファロメオなどの車のインテリアも手がけていて、大きなグループ企業体です。
カッペリーニは、1946年にエンリコ・カッペリーニが設立した木工家具工房としてスタートし、1977年にその息子ジュリオ・カッペリーニがデザイナー兼CEOとして引き継ぎました。ジュリオの指揮によって様々なデザイナーとのコラボレーションによる斬新な家具を次々発表し大躍進を遂げました。
現在、コラボレーションしたデザイナーは67組に登ります。日本人では、倉俣史朗とNendo(佐藤オオキ)です。
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倉俣史朗とカッペリーニといえば最初に浮かぶのは、「変形の家具」シリーズです。今は亡き倉俣史朗1970年の発表の家具です。今までの既成概念を根底から覆したグニャグニャと揺れているような引き出しは、発表と同時に話題をさらいました。倉俣史朗がミスブランチを発表する実に18年前の話です。
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私がカッペリーニの倉俣史朗デザインで好きなのは「モンドリアンへのオマージュ」です。モンドリアンの絵画がそのまま立体になり、しかも引き出しなのです。なんともユーモラスでワクワクするデザインでしょう。
日本が誇る倉俣史朗は、デザインを”作品”に昇華させた第1号ではないでしょうか。ご本人はアーティストと言われるのを嫌い、自分はデザイナーだとおしゃっていたそうですが、今では倉俣”作品”はオークションでとんでもない高値がつく巨匠となったデザイナーです。
倉俣史朗 |
そして、Nendoこと佐藤オオキは、ミラノサローネでカッペリーニに自身のデザインした「YUKI」を褒められたのを機にカッペリーニに直談判するため何度もイタリアへ通いたおしたのは有名な話です。実に70にのぼるデザイン提案をしてやっと商品化された第1号が「RIBBON」 です。その後カッペリーニとの出会いともなった「YUKI」をはじめとしたNendoデザインの家具がカッペリーニから発表されています。
Nendo 「ribbon」 |
Nendo 「YUKI」 |
Nendo |
また、カッペリーニはファッションのエミリオ・プッチとのコラボやジャスパー・モリソン、ティム・ディクソン、マルセル・ワンダースなどと数々の個性的な家具を発表しています。
エミリオ・プッチとカッペリーニ起用
パトリック・ノルゲとのコラボレートアイテムRive Droite |
ジャスパー・モリソンのThinking Man’s Chair |
日本では、正規代理店としてチームイワキリプロダクトがカッペリーニを取り扱っています。代官山にショールームもあります。
これからもカッペリーニが、人々をあっと言わせる斬新な家具を世に生み出してくれることを期待します。