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架空の建築を描く野又穣の展覧会「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリーにて


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90年代より架空の建築を描くアーティストとして注目されてきた野又穣(のまた・みのる)の個展が初台の東京オペラシティアートギャラリーで開催されています。

本の装丁などで見かけた方も多いでしょう。私自身も美術館に限らず本の装丁、ポスターなど、予想外の場所でよく目にする絵画という印象があります。

また、架空の建築とはいえ、具象絵画で非常にわかりやすく、飽きのこない画風でとても人気があります。

リトグラフなどの版画作品やポスターなどお手頃価格の作品販売はとても人気です。

今回は、そんな野又穣の東京で建築とアートを巡る展覧会の紹介です。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
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想像の語彙

「Continuum 想像の語彙」と題された今回の個展は、新旧88点の平面作品と一部立体作品で構成されています。

野又穣が描く作品世界同様に展覧会場は静寂と異世界の空気に包まれていました。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー 平面と立体の展示

野又穣の色彩

野又穣の独創的な絵画の世界は、そのモチーフは当然ながら、そのオリジナリティ溢れる色彩にあるといえます。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲植物園のような塔のような建築です。しかし、そこに人物はいません。

ちょっと憂いを帯びた画風はやっぱり野又穣独特の色彩にあるでしょう。

背景は青空ではあるのですがピーカンではありません。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲廃墟のようでもあり、遺跡のようでもある青い建築。どんな人がどんな用途で建てた設定なのか。屋根には旗がたなびいています。

野又作品全般に言えるのは、鑑賞者側にさまざまなストーリーを想像する余白を与えてくれていることです。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲これは建築なのか、乗り物なのか。

暖色系の色が使われてはいるのですが、やっぱりどこか儚げで憂いを感じます。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲全体を通してブルー、グリーンなどの寒色系が使われており、彩度を抑えたトーンが主流です。

だけれども不思議と、とても眩しくて、引き込まれるのです。

▲額装されていない作品は、キャンバスの側面まで絵画が続いています。

ある意味立体作品ですね。

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野又穣の階段

建築好き、階段好きとしては、野又作品に数多く登場する階段に注目してみました。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲やっぱり階段の中で最も美しい螺旋階段が多く登場します。

この作品は、なんと魚が泳いでいます。しかも魚群です。

植物以外の生命体の登場は、野又作品ではかなりレアですね。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲こちらも螺旋階段です。架空なので建築基準法などを遵守する必要がありませんから、手すりなしです。

多くの建築家が求めていても絶対にできないとてもシンプルで美しい螺旋階段です。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲赤というだけでかなり目を惹く作品です。こちらも中央に螺旋階段です。

まるで生き物のように支柱に絡みつきながら上昇しています。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲この螺旋階段は植物と共存しています。周囲の旗やサボテンにも注目です。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲この建築は階段とハシゴのための建築のようです。

現実に存在する建築に例えるとヘザウィックスタジオ設計のNYにあるVessel/ヴェッセルのような感じでしょうか。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

▲後半の展示にあった階段の模型。

やっぱり美しい階段にはこだわりがあることがわかります。

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野又穣の建築

平面作品に混じって、数点の立体作品が出品されています。

架空の建築の模型の数々です。

しかし、その中に2つほど見覚えのある建築を発見しました。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー 立体作品

▲こちらは2010年に群馬県立近代美術館の「建築家白井晟一 精神と空間」に際して制作した立体作品です。

これは、白井好きならすぐにわかる白井晟一設計の親和銀行東京支店(1963年竣工、現存せず)ですね。

少々デフォルメされていますが、そのものです。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー 立体作品

▲こちらは、今でも飯倉の交差点に聳え立つ白井晟一の代表作の一つNOAビルですね。

元々現存する建物の中では不思議度の高い建築ですが、野又穣の手にかかるともっと謎めいた建築になっています。

白井晟一設計 NOAビル
白井晟一設計 NOAビル

白井晟一NOAビルについて▼

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野又穣展の写真撮影について

全作品写真撮影は可能ですが、三脚、フラッシュ、自撮り棒、動画はNGです。

野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー
野又穣「Continuum 想像の語彙」東京オペラシティアートギャラリー

野又穣展は、アート好きはもちろん、建築好き、階段好きにも刺さる展覧会です。

暑い最中、涼しい美術館で展覧会巡りはいかがでしょうか。

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基本情報

野又穣「Continuum 想像の語彙」


2023年7月6日[木]– 9月24日[日]

11:00 – 19:00

入場料:一般1,400円、大・高生800円、中学生以下無料

東京オペラシティアートギャラリー

東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F MAP

アクセス:京王新線 初台駅東口下車 徒歩5分以内

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