アーティゾン美術館で開催されているSTEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示の「倉俣史朗と田中信太郎」と渋谷のBunkamura galleryで開催中の「没後30周年 倉俣史朗展」を一緒にレポートします。
倉俣史朗
倉俣史朗と言えば1月に埼玉県立近代美術館の「コレクション4つの水紋」で久しぶりにミスブランチに再会しました。また、6月には照明型オブジェ「SAMBA-M」が復刻されたりと没後30年経った現在でも話題に事欠きません。
倉俣史朗は、高松次郎や田中信太郎と共に、今では当たり前になりつつあるアーティストとの協働を取り入れたり、自身でもヨセフ・ホフマンへのオマージュとして椅子にスチールワイヤーを巻きつけて燃やし、焼け残ったワイヤーだけとなった椅子「ビギンザビギン」の発表など、デザインの枠にとらわれない活動をしています。
しかし、本人は生涯”デザイナー”であることにこだわっていました。インテリアデザイナーでもプロダクトデザイナーでもなく肩書きは常に”デザイナー”です。
アーティゾン美術館
美術館の6Fロビーには、常時倉俣史朗デザインのガラスのベンチ(1986年制作)が置かれていて、その横には田中信太郎の立体作品(1986年)が設置されています。
ロビーの椅子と田中信太郎の作品「ソノトキ音楽ガキコエハジメタ」は、1986年京橋の旧ブリジストン本社ビルの改修デザインを担当した倉俣史朗が1Fホールに配した椅子と作品です。田中信太郎作品は倉俣史朗からの依頼でコミッションワークとして制作されました。
左、倉俣史朗ガラスのベンチ、奥、田中信太郎「ソノトキ音楽ガキコエハジメタ」▼
倉俣史朗デザイン「エキスパンドチェア」(1986年)▼
これら椅子には座ることができます。ガラスのベンチに初めて座った時は生きた心地がしませんでした。大人の男性3人が同時に座りましたが大丈夫でした。
以前は、銅メッキの「How High The Moon」(1988)もこのロビーに置かれていました。▼
現在は、STEPS AHEAD 展のセクション4「倉俣史朗と田中信太郎」に展示されています。
中央の家具は倉俣史朗デザイン、周りの絵画は田中信太郎の作品です。▼
エキスパンドチェアーとガラステーブル▼
ありし日の倉俣史朗と田中信太郎の写真。▼
現在、ホテルなどで目にするHow High The Moonはほとんど復刻版なので、当時のものを見られるのはとても貴重です。
そもそも当時倉俣史朗に本社ビルの内装デザインをお願いしているブリジストン、さすがお目が高いです。長らく倉庫に眠っていた倉俣史朗の家具ですが、現在は美術館の貴重なコレクションとなっています。
STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示
アーティゾン美術館 6・5・4階 展示室
2021年2月13日(土)- 9月5日(日)10:00 – 18:00 月休
Bunkamura gallery
「没後30年倉俣史朗展」は、倉俣のスケッチをシルクスクリーンでEd化した作品集「倉俣史朗 Shiro Kuramata Cahier」と、復刻された家具や小物類を展示販売しています。
2020年に復刻された「How High the Moon」です。復刻版は購入可能です。▼
「Sofa With Arms Black Edition」のイエローとレッド▼
会場内は撮影禁止の為ウィンドウ越しにちょっとだけ。
Bunkamura gallery内で2種類の映像が流れています。ただどちらも30分近くあるので全部鑑賞するとなると1時間もかかるので全部見ることはできませんでした。
「没後30年倉俣史朗展」
Bunkamura gallery
2021.8/12(木)~8/22(日) 10:00-19:00