東京は三田の聖坂の途中、斜め前には丹下健三設計のクウェート大使館という好立地にある蟻鱒鳶ルは、岡啓輔さんという方が自力でコンクリート建築の自邸を建てています。
セルフビルドですから建築工事にはとても時間がかかっているし、その見た目から三田のガウディなんて呼ばれるほど有名です。
しかし、現在その場所に再開発の手が迫っており、先行き不安定な状況にあるようです。
何度か見学に行っているのでこれまでの蟻鱒鳶ルの様子と現在の蟻鱒鳶ルの様子をレポートします。
最初の訪問
初めて蟻鱒鳶ルを訪問したのは2018年4月で、ちょうど岡啓輔さんの自著「バベる!自力でビルを建てる男」が刊行したばかりの頃でした。
出来立ての著作本を持つ笑顔の岡啓輔さんです。▼
その時のことは2018.5.4のブログ「バベる!自力でビルを建てる男:セルフビルダー岡啓輔」を読んでください。
もっと詳しく知りたい方はこの本がおすすめ▼
2021年再訪
すぐ近くのクウェート大使館の様子も気になったし、久しぶりに行ってみようと三田まで散歩に出かけてみました。
3年前に岡さんと話をした時に「完成はあと3年くらいかなぁ」と言っていたけれど、あれ?全然変わってないんじゃないかな?
2021年3月の蟻鱒鳶ル▼
2020年5月の蟻鱒鳶ル▼
2018年4月の蟻鱒鳶ル▼
間違い探し並に変化が少ないですね。高さに関しては全く変化なしです。
開口は1F出入り口は出入りが激しいからなのかブルーシートで覆われていて、2Fは鉄板で塞がれていますね。夜間の不法侵入防止なんでしょうか。
PRビルの前まで行くと中で作業をしている物音が聞こえてきました。岡さんご本人なんでしょうか。まぁそうでしょうね。おそらく。思いっきり作業中?の音がしています。
となると声をかけて手を止めるのは申し訳ないし、前回の感じだとすごく良い人なので嫌な顔せずに対応してくれちゃうんだろうなと思うと、益々申し訳ないなぁということで。
結局、じっくり外から観察だけさせてもらうことにしました。
サイドからの蟻鱒鳶ル▼
再開発計画
蟻鱒鳶ルがある三田4丁目は2017年に決定した三田三・四丁目地区市街地再開発の計画区内にあるのです。
今回の再訪では前回はなかった「建築計画のお知らせ」が出ており、そこにはご覧の通り岡さんの名前は全くありません。
建築主は再開発組合の理事長名義になっており、施工者は未定です。▼
曳家!?
蟻鱒鳶ル保存会のHPは昨年10月で止まっているので岡さんのTwitterを読むに、どうやら蟻鱒鳶ルを曳家をすることになってるらしいのです。
え?曳家!!!だって200年もつ頑丈なコンクリート建築でしょ?そんな頑丈な建物を曳家できるの?人力で掘った地下はどうなるの?曳家でどこに移動するの?と数々の疑問が湧き上がりまくりなのです。
さらに、現在は再開発組合より建築工事を止められているらしいです。
岡さんは現在clubhouseでアリマストンビルーム(既に20回に渡りこれまでの流れの話をして1回完結し、今2巡目)というのを不定期で21時から約40分開催されているので、遅ればせながら私も聴き始めることにしました。これを聞いていけば徐々に書籍出版以降のことがわかってくると思います。(clubhouseで”岡啓輔/keisukeoka”で検索すると出てきます)
建築計画のお知らせによると今年の4月から令和7年(2025年)までは施工者は未定なものの、ここで工事ができることになっていますから、あと4年この地で工事をして、その後どこかに曳家するってことですね。
再開発工事には屈しないということは前々から宣言されていましたから、曳家ということになったのは喜ばしい結果なのかな。
岡さんは蟻鱒鳶ル建設資金調達のために小さい蟻鱒鳶ルの販売をしており、そのHPにはこんな言葉が掲載されています。
2022年12月のフライデーの記事によると借金が1億円弱なんだとか!?
最終的にはビルそのものを販売する予定みたいなので、どなたかこの唯一無二のコンクリート建築を購入したい方は是非手をあげてください!
PR2021年11月追記
2021年11月に再び蟻鱒鳶ルを訪ねてみました。前回の再訪問から8ヶ月経っています。まずは写真を見てください。▼
養生されて、仮囲いが建って、すごい工事現場感が増していて、岡さんお手製のコンクリートは全く見えません。
以前は隣の秀和レジデンスの青いテラコッタと白い塗り壁の塀が右側の側面ギリギリに建っていましたが、それがなくなっています。
そして、なんと!以前は「未定」となっていた施工者の欄に株式会社辰の文字が入っています。これはどういうことなんでしょうか?
岡さんにとって喜ばしいことなのか、そうでないのか。▼
普通の工事現場にある作業工程表まで設置されていました。そして、部外者を拒絶する「関係者以外立入禁止」の文字とヘルメットをかぶった作業員風の人の通せんぼポーズ。
なんか、工事現場ぽくて悲しい。前はクリエイティブな場所って感じだったのに。▼
もはや、「蟻鱒鳶ル」の文字はどこにも見えないし、養生シートの中は、目を凝らしてようやくうっすら見える程度だし。1階の様子は仮囲いに覆われて全然わかりません。
でも、工事は進行しているようですし、完了予定は令和3年3月31日のままなのでまだ時間はあります。
きっと予定通り完了予定日までコツコツとセルフビルドを続けて、やっぱりどこかへ曳家するということなのでしょうか。
またまた疑問は疑問のままで解決しなかったけれど、今日もまた心の中で「がんばれー!」とエールを送ってきました。
2022年12月再々訪問
久しぶりに蟻鱒鳶ルに行ってみました。
しかし、2021年11月とほとんど変わっていませんでした。
▲変わったことといえば、郵便ポストが設置されていたことでしょうか。
表札は「蟻鱒鳶ル」になっていました。
前回の訪問から1年近く経っていますから、当然工事は進んでいるはずが残念ながらその様子を見ることはできません。
最初に訪問した時の記事はこちら▼
月刊蟻鱒鳶ル売り鱒
岡さんのTwitterを見ていて発見した新情報はなんと月刊誌の発行でした。
そりゃ買うしかないでしょう!ということで早速ポチったらすぐに宛名が岡さん直筆で届きました。
▲見る雑誌というよりはちゃんと読み物です。
▲目次だけチラ見せ。
みんなが気になる蟻鱒鳶ルについて色々書かれています。
気になって仕方のない方は、月刊蟻鱒鳶ル売り鱒はここで買えます。→月刊蟻鱒鳶ル売り鱒をを購入する
増刷はせず、売り切れごめんのようなので急いで!(2023年1月追記)
6月の始めに行きましたが、写真と同じような状況でした。
普通の工事現場という感じです。
秀和の隣は大規模な工事が始まってました。
最新情報ありがとうございます!
このところ見に行けていなかったので貴重な情報で助かります。
一部の物好きの方々には人気ですが、地元民としてはメイワクこの上ない建物です。