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儚くて密やか 東博の内藤礼 「生まれておいで 生きておいで」を見に行く前に知っておきたい情報


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内藤礼の個展が東京で久しぶりに開催されるということで早速行ってきました。東京での個展は2020年の六本木のタカイシイギャラリー以来です。タカイシイギャラリーの個展でもその静謐な美しさは健在でした。

東京国立博物館 本館 内藤礼 「生まれておいで 生きておいで」2024年 写真:建築とアートを巡る

また、誰もが知っている内藤礼の作品と言えば建築家の西沢立衛との協働「豊島美術館」の母型でしょう。豊島美術館へは3回ほど訪れていますが、何度行っても新しい発見があり、これからもおりに触れて訪れたい場所の一つです。

このブログでは、東京国立博物館で開催している内藤礼「生まれておいで 生きておいで」をみる前に知っておくと便利な情報をまとめてみました。

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内藤礼

日本でしかその作品の鑑賞体験はありませんが、今でも印象に残っているのは、2009年の神奈川県立近代美術館での個展「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」です。

旧神奈川県立近代美術館 内藤礼 写真:建築とアートを巡る

今や当時神奈川県立近代美術館だった場所も美術館ではなくなってしまい、(坂倉準三設計の神奈川県立近代美術館は鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムに用途変更され、現在は葉山館と鎌倉館のみ)残念ながら水面に揺れる常設作品(▲写真)ももう見られません。

そんな今となっては夢だったのかと思えるような儚さも内藤礼の作品とダブって記憶に残っています。

東京都庭園美術館「信の感情」2014 内藤礼 写真:建築とアートを巡る

▲その後、2014年に東京都庭園美術館で開催された「信の感情」は、あの小さい人が通いなれたアンリ・ラパンの空間のいろんな場所で出迎えてくれてとても楽しい気持ちになりました。(庭園美術館の展覧会は珍しく写真撮影が可能でした。)

2016年に資生堂ギャラリーで開催された「椿会展2016 -初心-」でも同様でした。

水戸芸術館 内藤礼ポスター 写真:建築とアートを巡る

さらに、水戸芸術館で2018年に開催された自然光だけでみせる個展「明るい地上には あなたの姿が見える」もトップライトのぼんやりとした光だけの空間に密やかに点在する小さな作品の数々は今でもはっきり覚えています。

2020年金沢21世紀美術館で鑑賞した「うつしあう創造」は、入場予約をしてから訪問し限られた人数で鑑賞する展覧会でした。予約して鑑賞する内藤礼作品と言えば直島の「きんざ」や2021年コロナ禍で開催された東京ビエンナーレでのPraying for Tokyo 東京に祈る─「わたしは生きた」は、蔵前の寺院、長応院境内のギャラリー・空蓮房に一人づつ入ってじっくりと作品と向き合うインスタレーションでした。

私が今でも悔やんでいるのは、伝説のアートスペース佐賀町エキジビットスペースでの「地上にひとつの場所を」を鑑賞していないことです。これは内藤礼の伝説的な作品で、内藤礼を語る上では欠かすことのできない展覧会です。

しかし!2022年にアーツ千代田 3331で開催された「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」のなかで80’s佐賀町アーカイブ展の一部として「地上にひとつの場所を」 1991/2022が再現されたのです。ということで再制作ではありましたが、内藤礼の金字塔的な作品も鑑賞することができましたので、堂々と”内藤礼のファン”と語ってもいいのかなと自負しています。

上野では国立西洋美術館での「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?――国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」に内藤礼も参加していたので、久しぶりというわけではありません。

ただ、今回の東博は儚くて密やかな内藤礼の世界観にどっぷり没入できる個展ですから格別です。

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東博内藤礼個展の展覧会構成

東博での内藤礼の個展は3会場で開催されています。

第一会場が平成館企画展示室、第二会場が本館特別5室、第三会場が本館1階ラウンジです。

東博の推奨コースは当然第一、第二、第三の順番に観ることです。

東京国立博物館 内藤礼 「生まれておいで 生きておいで」2024年 写真:建築とアートを巡る

東博内藤礼個展の写真撮影について

これまでの個展やきんざ、豊島美術館がそうであるように、東博の「生まれておいで 生きておいで」も全ての会場で写真撮影は禁止です。

ですから、このブログも残念ながら展示風景の写真はありません。

素晴らしいインスタレーション作品を体感し、しっかり記憶に焼き付けましょう。

東京国立博物館 平成館 内藤礼 「生まれておいで 生きておいで」2024年 写真:建築とアートを巡る

内藤礼個展第一会場 平成館企画展示室(ネタバレ注意)

最初の会場は、細長い展示室です。

入ると正面の壁は全てガラスの展示ケースになっており、その展示ケース内の照明のみ点灯しています。展示室そのもののダウンライトは消灯しています。

作品はガラスケースの中にも外にもあり、展示室全体に作品が点在しています。

入口で渡される作品リストをたよりに作品を探しながら鑑賞するのですが、薄暗いため、文字の小さな作品リストの見ずらいこと!内藤礼あるあるです。

この展示室のポイントは作品No.2です。作品リストにある平面図ではガラスケースの端っこにナンバリングされているので、豊島美術館で見つける難易度の最も高い細い糸が垂れているだけのような、すごいわかりづらいものなのかと思って目を凝らして探しても見つからず、スタッフに聞いても分からないということでした。(会期後半にはスタッフにも認知されていると思います)

しかし、作品リストに明記されている作品のサイズをみて、わかりました!内藤礼らしい小さくて繊細なものを探してはいけません。

作品No.2は実はとても大きな作品で、ガラスケース内の床部分全体の事だったのです。

No.2と同タイプの作品はこの後の展示室もサイズ違いで繰り返し出てきます。一番巨大なのは第一会場です。

さらに、展示室内に居たスタッフに間違ったことを教えられたのでここに書いておきます。(しばらくはその情報がそのままの可能性もあるので)

No.28の作品は、空間全体に吊るされたもののことです。壁面にあるパネルではありません。

東京国立博物館本館 内藤礼 「生まれておいで 生きておいで」2024年 写真:建築とアートを巡る

ということで、ここ第一会場で認知しにくいのは、no.2とno.28の2作品です。わかってしまえばそんなに難易度が高いものではありません。

豊島美術館の認識するのも難しいほど細い紐が、ただ上からぶら下がっているだけの作品に比べたら全然見えますので。

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内藤礼個展第二会場本館特別5

第二会場は明るくて天井が高い大空間です。周囲に回廊があって、中央が吹き抜けなっている気持ち良い空間です。

東博の本館にこんな空間があったんだ!という新鮮な驚きを覚えました。

さらに、上部から吊り下げられた小さき作品の数々の儚さが愛おしく、繊細で内藤礼らしいインスタレーションに仕上がっています。

東京国立博物館本館 内藤礼 「生まれておいで 生きておいで」2024年 写真:建築とアートを巡る

▲特別5室の出入り口には、トンネル状のエントランスが新設されています。

ここは明るいので作品リストも見やすいし、わかりにくい作品は特にありません。

座ってもいい作品と共に息を吹きかけてもいい作品があります。

東京国立博物館本館 大階段 2024年 写真:建築とアートを巡る

この空間は1階の壁は全てトラバーチン、2階の回廊の大理石の手すり下は、見事なアイアンワークが施され、銀色の扉やその上にある照明の意匠など見どころ満載です。▲上の写真は本館大階段の手すり下の意匠です。特別5室の回廊にはこれよりも大型の衣装が施されていました。

内藤礼個展第三会場本館1階ラウンジ

ここは、これまで紹介した2つの会場と違って、内藤礼の展覧会チケットがない人も出入りできる場所なので、たまたま通りかかった外国人観光客と内藤礼展を見に来た人が混じる空間です。

作品は床置きのわかりやすいものと、同じ作品が壁面4ヶ所に展示されています。

ここもまた東博にこんな場所あったんだという美しい空間です。

東京国立博物館 本館 照明 2024年 写真:建築とアートを巡る

特筆すべきは窓のデザインと壁面のモザイクです。照明もエレガントなデザインでした。▲写真は本館2階の照明です。

今回の個展は東京都庭園美術館での個展に少し近いかもしれません。というのもホワイトキューブではなく、歴史ある建築空間との共鳴が美しいインスタレーションだからです。まさにここでしかみることのできない内藤礼の儚くて密やかな作品世界です。

この空間は内藤礼展が終了したら普通に写真が撮れるようになると思うので再訪しようと思っています。

東博って企画展だけ見ていつも満足というか疲労してしまい、常設などをちゃんと見たことがないことを反省しました。

いつか”丸一日中東博”っていうのもやるべきですね。

内藤礼個展の展覧会図録

展覧会図録は、本館1階にあるミュージアムショップで受注販売していました。

そりゃそうですよね。展示終了後に撮影して図録を制作するのですから、会期中に間に合うのか、会期中ずっと受注販売なのか、微妙なところです。

東京国立博物館 内藤礼 「生まれておいで 生きておいで」展覧会図録 2024年 写真:建築とアートを巡る

内藤礼の個展だけを見るなら1日がかりにはなりませんが、内藤礼の個展のチケットで東博の展示は(企画展以外)全部鑑賞できるのでくまなく見ようと思ったら大変です。

当然、谷口吉生設計の法隆寺宝物館も見られますし、本館の裏にある庭園や、表敬館で開催中のカルティエの展覧会まで見ようと思ったら完全に丸一日コースです。

でも、実は日がな一日内藤礼の作品空間に身を置き、午前の光と午後の光の違いを身体で感じるという鑑賞方法が一番贅沢で、充実しているのかもしれません。

基本情報

内藤礼 生まれておいで 生きておいで

2024年6月25日(火) ~ 2024年9月23日(月・休)

9:30~17:00 

月曜と(7/16(火)、8/13(火)、9/17(火))休

7月15日(月)、8月12日(月・休)、9月16日(月)、9月23日(月)開館

チケット料金:一般 1,500円、大学生 1,000円 高校生以下無料

東京国立博物館

台東区上野公園13−9 MAP

JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分

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