群集墳である一須賀古墳群が展開する近つ飛鳥風土記の丘に隣接する場所にある安藤忠雄が設計を手がけた大阪府立近つ飛鳥博物館(おおさかふりつ ちかつあすかはくぶつかん)をご存知でしょうか?
奈良県と大阪府との県境にも近いので、奈良で「建築とアートを巡る」旅をした際に足を延ばしてみました。
PR近つ飛鳥博物館はいつできた?
近つ飛鳥博物館は1994年に開館しました。安藤忠雄54歳の時です。1994年といえば京都府立陶板名画の庭やサントリーミュージアム天保山など、大型の施設を次々手掛けていた時期と重なります。と言うのも翌年1995年にはこのブログでも紹介した奈良県五條市にある市立五條文化博物館やアサヒビール大山崎山荘美術館、長良川国際会議場が竣工しています。同時期に複数の大型プロジェクトを進行していたという事です。
また、この耳慣れない「近つ飛鳥」というのは古事記からの引用です。
履中天皇の同母弟(後の反正天皇)が、難波から大和の石上神宮に参向する途中で、その地を名付ける際に、近い方を「近つ飛鳥」、遠い方を「遠つ飛鳥」と名付けたと言われています。
「近つ飛鳥」は今の大阪府羽曳野市飛鳥を中心とした地域をさし、「遠つ飛鳥」は奈良県高市郡明日香村飛鳥を中心とした地域をさします。
近つ飛鳥博物館はどんな建築?
博物館のある場所は、4基の天皇陵をはじめ二百数十基の古墳群を有する日本でも屈指の古墳群エリアです。
そのため博物館の建物のコンセプトは、出土地域全体を一望できるようなひとつの丘をつくることでした。
▲博物館の敷地は窪地だったため、周囲を一望できるように隆起させ、博物館の屋上は一面階段が広がる展望広場になっています。
その丘の上にはまるでモノリスのような箱型のコンクリートの角柱が置かれており、その角柱の周囲をぐるりと階段がまわっているのです。
安藤忠雄の階段だけの建築は、長野県の小海町高原美術館にもありますが、ここのコンクリートの角柱もおそらく展望台なのでしょう。
しかし、訪れた時は、残念ながら立ち入り禁止になっていて、上からの眺望をのぞむことはできませんでした。上まで登らせて欲しかったなぁ。
▲これまでに全てとまでは行きませんが、複数の安藤忠雄が手がけた建築を巡ってきましたが、ここはその中でも特に独創性に富んでいて、印象深い建築です。
安藤忠雄にとっても代表作の一つとして捉えているというのも納得です。
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安藤忠雄の美術館・博物館はその多くが周囲の自然との調和を考慮して、大半のスペースが地中に埋まっています。
地中にある展示室というと薄暗い洞窟のような空間を想像しますが、全くそうではありません。
それが安藤忠雄のすごいところです。
地中埋まっている博物館の展示室は、トップライトからのふんだんな光に満たされており、美しい大空間が広がっているのです。
たいてい、想像以上に内部が広くて、想像以上に内部は明るいので本当にいつも驚かされます。
安藤忠雄は毎年桃の節句の3月3日に、この博物館で講演を行なっているそうです。
講演会と同時に開館時から博物館の周囲に梅の木の植樹をしているそうです。
梅の木の植樹は、地域のボランティアの方々に支えられ、現在は400本以上の梅の木が春になると花を咲かせるそうです。それは見事でしょうね。
再訪するなら梅の花の咲き季節がいいなぁ。
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近つ飛鳥博物館で何がみられる?
常設展示室は前方後円墳を模した形をしており、土偶や土器などさまざまな出土品の展示が行われています。
展示室の中心にあるのは巨大な古墳のジオラマです。
はるか昔、古墳を建設した人々の営みを伝える貴重な資料展示です。
常設展示室は大きく3つのゾーンに分かれています。第1ゾーン:近つ飛鳥と国際交流 – 倭の五王、聖徳太子の時代ほか、第2ゾーン:古代国家の源流 – 埴輪、石室の世界ほか、第3ゾーン:現代科学と文化遺産 – 修羅の保存、現代科学と考古学
近つ飛鳥博物館はどこにある?
大阪府立 近つ飛鳥博物館は大阪府南河内郡河南町の大阪府立近つ飛鳥風土記の丘に位置します。
前述しましたが、周囲には敏達・用明・推古・孝徳天皇と聖徳太子など、飛鳥時代の王族たちの陵墓に囲まれていて、博物館を含めてエリア全体が遺跡博物館と言っても過言ではありません。
だからこそ、モノリスのような箱型のコンクリートの展望台からの眺めを見てみたかった!
また、80台の無料駐車場がすぐそばにあるので車でのアクセスは便利です。
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基本情報
大阪府立近つ飛鳥博物館
開館時間:9:45~17:00 休館日:月曜日、年末年始 入館料:おとな 310円、高校生・大学生・65歳以上 210円、中学生以下無料 住所:大阪府南河内郡河南町大字東山299 MAP アクセス: 車の場合:無料駐車場あり |