清澄白河の木場公園内に位置する東京都現代美術館で通年開催されいてる所蔵作品展MOT コレクション展を見てきました。
東京都現代美術館では、戦後美術を中心に、近代から現代にいたる約5600点の作品を収蔵しています。その中から会期ごとに様々なテーマや切り口で、コレクション作品を展示しするのがMOTコレクション展です。
毎回東京都現代美術館へ訪れる度に必ず鑑賞しています。なぜなら、企画展同等あるいはそれ以上の充実した作品が観られるからです。
今回の副題は「被膜虚実/Breathing めぐる呼吸」です。
1階の展示室が「被膜虚実」、3階の展示室が「Breathing/めぐる呼吸」「横尾忠則ー水のように」と二つのテーマの展示で構成されています。
それでは、早速どんなコレクションが出品されているのか私が勝手に選んだいくつかの作品と共に見てみましょう。
PR被膜虚実
今回のMOT コレクション「被膜虚実」では、1980年代末以降の作品が展示されています。80年代から約30年にわたる現代美術の流れと、そこに見られる身体観や死生観を作品を通じて感じられるラインナップです。
三上晴子
今回の目玉は、2015年に急逝し、現存する作品が極めて少ない三上晴子の作品です。三上晴子が1990年代初めに手がけた作品群を美術館がコレクションとして収蔵して初めて公開されました。
90年代初頭、かつてあったアートスペースP3やCanon ART LABなどで目にしたアーティストですが、2000年代になってから、(個人的には)目にする機会が減ったイメージがあります。
最近、その名前を目にして驚いたのは、それが訃報だったことです。そして多摩美の情報デザイン学科の教授をされていたのも訃報で知ったくらいです。
今回、東京都現代美術館で非常に懐かしい作品との再会を果たしました。2000年代に入ってからの作品については残念ながらあまり知らないのですが、私が観てきた三上作品は、テンポラリーなインスタレーションが多かったので、確かに現存している作品は少ないでしょう。
ですから、この収蔵作品は三上晴子を知る上でとても貴重な存在です。
名和晃平
被膜といえば名和晃平でしょう。
「PixCell」は、PixCellとは、PixCell: Pixel(画素)とCell(細胞) を合わせた造語で、オブジェクトを透明の球体で覆い、その存在を「映像の細胞」に置き換える名和晃平の代表的な作品シリーズです。
▲ボックスの中に入ったバンビの剥製は、実態を捉えようとしてもなかなか捉えられない。
▲大型のPixCellシリーズも
剥製の全体が大小の球体で覆われているので、その表皮は個々のセル (PixCell) に分割され、拡大・歪曲するレンズを通してしか鑑賞できません。
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石原知明
1988年にヴェニス・ビエンナーレ(アペルト部門)に出品された石原友明の大作インスタレーション「約束」が15年ぶりに登場!
幅20mを超える真っ青な平面で覆われた空間に、アーティス自身の身体が、まるで被膜に覆われた種のような、あるいは水面に揺蕩う舟のように設置されたインスタレーションです。
金氏徹平
まるで雪が降り積もったクリスマスツリーのような立体は、よく見ると日常的なものが積み上げられています。
▲その表皮は白い被膜で覆われ、見慣れたものは全く別のものに変容しています。
小沢剛
小沢剛は、さまざまな場所で撮影された地蔵建立シリーズの写真作品です。
▲よく見ると全ての写真に地蔵が写り込んでいます。どこにお地蔵さんがいるのか、一枚一枚探してみましょう。
伊庭靖子
2000年代の平面作品が並びます。
百瀬文
2000年代の作品の後半になると映像によるインスタレーションなど表現方法が多様化してくるのを実感します。
また、その題材もジェンダーなどに切り込んでいくのも特徴です。
▲百瀬文の映像作品は2019年のものです。
他に、梅沢和木、開発好明、千葉正也、潘逸舟、平川典俊、方力鈞、福田美蘭、ホンマタカシ、村瀬恭子、トーマス・デマンドなどの作品が出品されています。
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Breathing/めぐる呼吸
3階展示室では、人の呼吸に繋がりながら世界をめぐるもの――風や水、大気の流れを思い起こさせるような作品で構成されています。
サム・フランシス
今年生誕100年を迎えるサム・フランシスの大型作品をじっくり堪能することができます。これは贅沢!
▲展示室を出たところに、今回展示されている巨大なサム・フランシス作品の展示の様子を記録した映像が流れています。
必見です!
また、現在、メゾンエルメスフォーラムで開催中のインターフェアレンス展に参加しているアーティストフランシス真吾は、サム・フランシスの息子さんです。
ここら先の展示は、現在「横尾忠則ー水のように」展に展示替えされています。
モンティエン・ブンマー(展示終了)
個人的に思い入れのあるアーティストの作品です。
森美術館で開催された「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」展の作品同様にこの作品も作品の下に佇むとスパイスの香りがします。
▲是非、作品の三角屋根の中に入ってみてください。
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ソピアップ・ピッチ(展示終了)
現在、森美術館で開催中の開館20周年記念展「ワールドクラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」展にも参加しているアーティストです。
遠藤利克(展示終了)
この大型作品は前回のMOTコレクション展から引き続き展示されています。
▲奥に展示されている平面作品は松本陽子作品です。
宮島達男
東京都現代美術館のMOTコレクションの最後を飾るのは、常設されている宮島達男の作品です。
▲この作品を鑑賞して、清澄白河を後にするのが通例です。
やっぱり今回も企画展同様の充実した内容でした。
今回は横尾忠則とのコラボ空間になっているこの宮島作品も必見です。
コレクション展は流してみがちですが、今回は「さばかれえぬ私へ」とMOTコレクションだけのための訪問だったので、いつものように疲労困憊になることなく楽しめました。
写真撮影について
基本的に撮影可能ですが、一部作品は撮影禁止です。
撮影禁止の作品には禁止マークがついています。
同時開催のデヴィッド・ホックニー展
横尾忠則ー水のように▼
基本情報
MOTコレクション 被膜虚実/ 10:00-18:00 月休
(7/21、28、8/4、11、18、25)は10:00-21:00まで開館延長 入場料:一般500円 / 大学生・専門学校生 400円 / 高校生・65歳以上 250円 / 中学生以下無料 東京都現代美術館 江東区三好4丁目1−1 MAP アクセス:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2番出口徒歩9分 都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3番出口徒歩13分 東京メトロ東西線木場駅3番出口より徒歩15分、または都営バスで東京都現代美術館前下車 都営地下鉄新宿線菊川駅A4番出口より徒歩15分、または都営バスで東京都現代美術館前下車 |
「さばかれえぬ私へ」▼
クリスチャン・ディオール展(〜2023年5月28日)▼
清澄白河のカフェ▼
東京都現代美術館に行ったら必ずみたい屋外作品▼
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