銀座の資生堂ギャラリーで2006年から毎年開催されている若手作家の支援を目的とした公募プログラム第16回shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)の第三弾、今回唯一の男性アーティストの展覧会佐藤壮馬展「おもかげのうつろひ」が始まりました。
第一弾岡ともみ展「サカサゴト」と第二弾ゆらめく布、そよぐ糸。ユ ソラの「もずく、たまご」に続き第16回shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)の最後の展覧会です。
第二弾のユソラ展は見慣れた資生堂ギャラリーが柔らかい布で包まれた真っ白の空間に変貌していましたが、今回の展覧会も白い空間ではあったのですが、近づいてみると柔らかに見えたその物体は、実は硬質なものなのに、まるで風ではためいているように感じるインスタレーションでした。
PR佐藤壮馬
北海道生まれで北海道在住のアーティストです。
ロンドン大学で学び帰国後、地元に戻って活動をされているようです。
作品は、写真や映像、3Dスキャンなどを使い、焦点を当てたモノや事象の背景にある文化や歴史などをインスタレーションで表現しています。
今回の資生堂ギャラリーでは展覧会タイトルとなっているインスタレーションの他に3つの作品をみることができます。
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二つの花の作品
資生堂ギャラリーの階段の踊り場と地下へ向かう最後の階段下にある作品は、各々「Rose」と「Tsubaki」で花についての作品です。
この二つの作品は、花の点群イメージ、数値データ、立体オブジェ、花につい て語られた言葉(サウンド)により構成されています。
▲アーティストは、目に見えない 「花」の存在を体感するために、 全盲の方と一緒に時間 を過ごしたそうです。そこで体感したことを「花」を通して作品に展開しています。
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おもかげのうつろひ
展覧会タイトルになっている今回の個展の中心的作品です。
2020年7月11日、大雨の夜に倒木した岐阜県瑞浪市大町・神明神社のご神木は、民家を避け事故になることなく倒れました。
アーティストは、倒木の数か月後から度々現地を訪れ、3Dスキャンと写真による記録をとり、その時の写真と3Dスキャナーのデータを元に制作した立体作品で構成されています。
▲地域のシンボルだった大杉の倒木の様子
▲軽やかに舞う白い物体は、倒木した御神木からとった3Dスキャンデータを元に制作されています。
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Physis
2022年10月、 再建された神社を再訪した際に、大杉の残片が残されていることを知ります。 そこで、それらの一部を許可を得て持ち帰り、その残片をもとに制作された立体作品です。
▲大杉の木片を樹脂で固めた立体作品
壁面には倒木を伝える新聞記事や資料が展示されています。
▲小展示室には、御神木の木片が、大展示室には大杉から型どられた御神木の木片が、まるで浮遊するかのように展示されています。
もう存在しない御神木の虚像と実像が、まるでこの空間に漂い、成仏していくかのようです。
神として人々に崇められた御神木は、倒木し消失してしまったけれど、その面影は人々記憶の中だけでなく、ここ資生堂ギャラリーにて、そのうつろいゆく姿を見せてくれています。
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資生堂アートエッグで取り上げられたアーティストはその後大成している作家が多く必見です!
写真撮影について
今回の展覧会も、第一弾、第二弾同様に写真も動画も撮影可能です。
基本情報
佐藤壮馬「おもかげのうつろひ」
2023年4月18日(火)~5月21日(日) 11:00~19:00 日祝11:00~18:00 月休(祝日でも休廊) 入場無料 中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階 MAP アクセス:東京メトロ銀座A2出口から徒歩4分、東京メトロ新橋駅1番出口から徒歩4分、JR新橋駅銀座口から徒歩5分 |