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渋谷区立松濤美術館「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」展で人形と芸術と人間の関係を振り返る。金曜の夜は夜間開館も。


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私たちは何者?ボーダレス・ドールズ

松濤の渋谷区立松濤美術館では日本の人形をテーマにした展覧会「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」を開催しています。

日本の人形は信仰の対象だったり民俗、工芸的な機能を持つものだったりする長い歴史を持っていました。近代化の過程で西洋的な美術思想が取り入れられ、美術や彫刻とは一段下の存在と見做される時期もありました。

そんな日本での人形の歴史を振り返ることで人間と芸術のあり方まで見えてくる、そんな展覧会になっています。

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2階展示室

この展覧会は2階展示室から始まります。

第1章 それはヒトか、ヒトガタか

第2章 社会に組み込まれる人形、社会をつくる人形

第3章 「彫刻」の登場、「彫刻家」の登場

第4章 美術作品としての人形 − 人形芸術運動

第5章 戦争と人形

第6章 夢と、憧れと、大人の本気と

2階展示室は、以上6章の展示構成です。

平安時代から戦後のリカちゃん人形まで、日本での人形の歴史がテーマに沿って並べられています。

竹久夢二が制作した人形やその影響を受けた中原淳一の人形など意外なものもありますし、平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)のような彫刻家の ”美術品” としての人形などもあって、バリエーションの豊かさは驚くばかりです


地階展示室

2階展示室で古代から戦後まで通観したら、次は地階展示室へ。

第7章 まるでそこに「いる」人形 − 生人形

第8章 商業 ☓ 人形 ☓ 彫刻 = マネキン

第10章 ヒトガタはヒトガタ

地階展示室は、以上3章の展示構成です。

ここでは江戸時代に見世物として発展した生々しい「生人形(いきにんぎょう)」、彫刻家の協力を得て商業ベースで制作されたマネキンなどの大型の人形が紹介されています。

2階展示室からここまでの人形には今のモラルからすれば到底許容できないようなものもありますが、人形の歴史をありのままに紹介するという意図もありそのまま展示されています。

ヒトガタはヒトガタ

古代平安時代からの日本での人形の歴史とその意味を紹介してきた展覧会は、最終章「ヒトガタはヒトガタ」で見事な大団円を迎えます。

四谷シモンの耽美的な球体関節人形はその芸術的な表現で60年代から人々を虜にしてきました。そして20世紀も最後になって村上隆が日本の浮世絵からオタク文化までをフィギュアという一つの表現に押し込んだ新しいアートを世界に対し宣言します。

日本の、特に近代においては芸術の外縁部に押しやられていた人形が、20世紀の最後には人間を表現する芸術手段として復権するという見事な展覧会構成です

少し前に開催された「装いの力―異性装の日本史」と同じような、松濤美術館ならではのユニークな視点からの展覧会。おすすめです。

1階展示室

村上隆と海洋堂のBOMEによる大団円を観たのでさぁ帰ろうか・・・

いえ、その前に第9章 ピュグマリオンの愛と欲望を映し出せ! が残っています。

▲案内を見ると「第9章とお出口は1階です」とありますね。

1階に展示室なんかあったっけ? 松濤美術館のリピーターの方は不思議に思うかもしれませんが今回はあるのです。

▲1階ロビー、ロッカー脇の扉の向こうで第9章の展示が行われています。

気付かずに帰ってしまう人も見かけましたが、ここも忘れずに。

ただし性的な表現を含む人形の作品が展示されているのでその旨を了承したうえで鑑賞してください。また高校生を含む18歳未満の方は見られません。

具体的には嬉野武雄観光秘宝館の有明夫人、それといわゆるラブドールと称される人形が展示されています。

ミュージアムショップやイベント

1階にはグッズ販売コーナーが設けられています。

白井晟一グッズが多いのですが本展の図録も並んでいます。

▲Amazonでは7月15日から販売開始ですが松濤美術館では既に販売されています


写真撮影と注意事項

残念ながら展示室内は写真撮影が禁止です。

そのかわり地下1階に写真撮影コーナーが設けられています。

一緒に記念撮影も可能ですよ。

注意事項

人形というと呪い人形とか、髪が伸びるとか魂が入ってしまうとかいろいろ奇譚が伝えられていますが、この展覧会にも注意事項があります。

不可解な現象や霊的現象が身の回りに発生しても今回の展示、イベントとは一切関わりがありません

だそうです。展覧会の鑑賞は自己責任でどうぞ!


夜間開館再開

パンデミック以降松濤美術館は、金曜の夜間開館をずっと中止していましたが今は以前同様に金曜日は夜20時まで開館します。

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
夜の松濤美術館

中央の連絡橋より夜空を見上げる▲

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
ライトアップされたファサード

▲夜の松濤美術館です。

夜間開館なら仕事の後でも間に合いますね。


基本情報

私たちは何者?ボーダレス・ドールズ


2023年7月1日(土) ~ 8月27日(日)

前期:7月1日(土)~7月30日(日)

後期:8月1日(火)~8月27日(日)

一般1,000円、大学生800円、高校生・60歳以上500円、小中学生100円(支払いは現金のみ)
毎週金曜日は渋谷区民無料

土・日、祝日・夏休み期間は小中学生無料。

月曜休館 (7月17日海の日は開館、7月18日休館)

10:00 – 18:00(金は20:00まで)

渋谷区立松濤美術館

渋谷区松濤2丁目14−14 MAP

アクセス:京王井の頭線神泉駅徒歩5分、渋谷駅徒歩約15分


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