西麻布の交差点のすぐそばにあるGallery ETHERでは、1998年マレーシア生まれの若手アーティスト、ネルソン・ホーの個展「Memory is a Garden(記憶は庭)」が開催中です。今回のGallery ETHRはいつもとは全く違う空間になっていました。
そんな驚きと戸惑いも全部ひっくるめて空間全体で一つのインスタレーション作品です。
PRネルソン・ホー
初見の作家さんですが、1998年マレーシア生まれで、今年多摩美術大学の日本画科を卒業したばかりの超若手アーティストです。
実は、ギャラリーの前を通り過ぎた時、外苑西通りから見える場所に展示されていた赤い烏の絵にすごく惹かれ、足を止めました。その時は、まだギャラリーが開く前の時間帯だったため中を見ることはありませんでした。
しかし、なんとなく窓越しに見かけた赤い烏の絵が気になって再訪しました。
▲2枚で一組になっていたり、すごく動きのある絵画です。赤一色で描かれているけれど、それは紛れもなく真っ黒な烏であることがわかります。
いつもは書籍が置いてある場所に野性味あふれる烏たちが鑑賞者を迎え入れてくれます。
PR
記憶の庭
展覧会タイトルの「Memory is a Garden(記憶の庭)」というのは、日本語の「見ぬが花」に対峙する言葉として掲げられています。
「見ぬが花」がそうであるように、「記憶の庭」もまた人間の記憶の曖昧さや不確かさを揶揄するかのようですが、実は物事の多くは往々にして、見る前も見た後も個人の偏見や想像に委ねられているものです。
ネルソン・ホーの作品は私小説的で、作家自身の記憶や経験や時に想像や妄想を圧倒的な画力を基に描き上げられています。
それは事実なのか、上書きされた記憶なのか、理想に近いファンタジーなのでしょうか。
展示されている実際の作品を一部だけご紹介します。
漂う不穏な空気やブラックユーモア、不気味さや不吉さを感じるのに人の心の隙間にすっと滲み入ってくるような不思議な作品の数々です。
色彩に頼らない、赤だけの単色で描き上げられているシンプルさが、作家の持つ世界観を強調しているのかもしれません。
▲全国の美術大学・大学院の卒業修了制作展を訪問し、その中から発掘したノミネート作品からさらに厳選した作品に賞が授与されるMARUNOUCHI ART AWARDで受賞した作品です。この作品も展示されています。
封筒
封筒に描かれた小さな作品は時間を忘れて見入ってしまいます。
▲世代的に手紙が日常的なコミュニケーションとは思えませんが、アーティストが封筒にこだわる理由はちゃんとあるようです。
▲茶封筒バージョン
PR
インスタレーション
この展覧会で注目すべきは地下スペースです。
没入型インスタレーションとありましたが、どちらかというと体験型インスタレーション、あるいは参加型インスタレーションといった方が近いと思います。
何がどうなっているかは、あまり書かないでおこうと思います。
百聞は一見にしかずです。
▲赤い絵画がタフティングに!
何か音がしているようですが、この奥には何があるんでしょうか。
_____
さぁ、この展覧会が「見ぬが花」となるのかそうでないのか是非体験してみてください。
PR
基本情報
「Memory is a Garden(記憶の庭)」
2022年12月3日(土)~30日(金) 12:00 – 19:00 入場料: ¥500 日月祝休 GALLERY ETHER 港区西麻布3丁目24−19 1F-B1F 三王商会西麻布ビル MAP |
六本木・西麻布エリアのギャラリー巡り記事はこちら▼
PR