古道具坂田
2020年惜しまれつつ閉店した古道具坂田の坂田和實/さかたかずみさんの千葉の美術館museum as it isも、なんと今秋閉館するという話を聞いてとても驚きました。
ということでしたが、美術館の公式HPに継続のお知らせが掲載されていました。
引用元museum as it is公式HPより▼
そして、次回企画展の予定も出ていました。
– museum as it is 第36回 通常展示 – 2022年6月25日(土)〜2023年3月まで(予定)土日のみ
(2022年8月加筆)
坂田和實さんが2022年11月6日闘病の末に逝去されました。ご冥福をお祈りします。
私自身は2012年松濤美術館の展覧会「古道具、その行き先」を観て虜になったにわかファンなので、坂田さんの47年に及ぶこれまでの活動について多くを語ることはできないのですが、兎にも角にもあの美術館がなくなるのは大変だ!と閉館を知ってすぐに足を運びました。
とにかくすぐ行こう!と車を走らせたのはひどい土砂降りの日で、まるでmuseum as it isの閉館を嘆き悲しんでいるかのような天気でした。
雨の美術館、内部と展覧会の様子は動画でご覧ください。▼
PR閉館について←継続決定!
現在開催している「望月通陽展 一行の詩のために R.M.リルケ『マルテの手記』に寄せて」の会期は2020.9/25-2021.3/28で、この時点では、公式HPに美術館閉館について一切書いていなかった為、もしかしてこの展覧会で閉館?3月末までなの?と少々焦ってしまいました。
しかし、訪れてみて美術館の方に直接聞いたところ、閉館は最後に古道具坂田展を4月5月と開催した後に閉館するそうです。 (←継続です。)
という話でしたが、「最後に」という最後の展覧会は4/10〜9/26まで開催されるようです。ちょっと安心しました。
古道具坂田って何?という方には坂田さんの書籍があります。▼
望月通陽展▼
望月通陽展
現在開催されている望月通陽さんは、この美術館のロゴを描かれたアーティストです。きっと坂田さんと親しい方なのだろうと想像がつきます。
布に染色した作品や、陶器、ガラス絵、ブロンズの立体など幅広い技法で表現するアーティストです。
2階へ上がる階段の壁に展示された染色作品▼
PR建築について
この美術館の設計は住む人に寄り添う優しい住宅を数多く手がけている中村好文です。
外部内部共に壁は土で仕上げられており、この土はこの土地を掘り起こした時の土を利用しています。また、木の手すりもネジの頭を隠してあり、目にふれる材料はぬくもりのある木と土だけです。
このようなこだわりはこの美術館のネーミングにある「as it is/あるがままに」にあらわれており、”自然に対して謙虚な建物でなければならない”というオーナーの坂田和實さんと、建築家の想いが結実しているのです。
この建物がどうなるかについては、美術館の人によると移築という言葉を使っているけれど、そのままは無理なので、おそらく部分的に運べるものは運ぶことになるのだろうとおしゃってました。とりあえず、どういう形になるのかわかりませんがなくなるわけではなさそうです。*移築中止継続決定
雨に濡れる美術館▼
夏に訪れた時の緑豊かな美術館▼
PR古道具
古道具坂田が扱っていたのは、骨董や民藝やアンティークにはカテゴライズされない、坂田さんの審美眼による”古道具”です。
そのオリジナルな世界観にあの村上隆も心酔し、このブログでも書きましたが、自身がもつ南麻布のkaikaikiki galleryで「陶芸↔現代美術の関係性ってどうなんだろう」を開催したりしています。
2020年の展覧会の様子▼
おそらく、最後の展覧会は古道具坂田の47年の歴史を総決算するものになるに違いありません。しかし、坂田さんのことですからド派手な内容ではなく、しみじみしたものになると思います。(勝手な想像)
移築について←移築中止継続決定
閉館後、古道具坂田のものは何度も展覧会を開催している岐阜県多治見市のギャルリ百草に全部移動するそうです。この”全部”のなかに建築も含まれるのかどうかちゃんと確認できていないのですが、多分、古道具も建物も多治見に行くのだと思います。どこであれ継承されていくことになっていることを聞けて勝手に安心しました。
追記:移築中止のお知らせがas it isのHPに出ていました。諸事情により急遽中止と言うことですが、何があったんでしょうか。今後については、「後日改めてご案内します」としか書いていないので不明です。
あくまで”移築中止”ですから、この場所に残す方向になったのなら嬉しいことですが、どうなんでしょうか。今後の行方について見守っていきたいと思います。
今まで通り継続決定で安心しました。(2021年9月加筆)
体調が優れない坂田さんですが「自分が亡くなったら作動する時限爆弾を仕掛けてある」ということなので、何か坂田さんらしいエンディングをもう既に考えてらっしゃるようです。
as it isで淹れてくださる珈琲をいただきながら、「やっぱり最後にもう一度来なくちゃならないなぁ」の思いが過りました。
最後かもしれない、来られてもあと1回であろうas it is。名残惜しい気持ちを振り切り美術館をあとにしました。
PR千葉の市原のそのまた奥というロケーションですが圏央道が開通したので都心からもクルマで1時間ちょっとアクセスの便が格段に良くなりました。
アクアラインからなら市原鶴舞ICで下りてからクルマで10分ちょっと。数台分の駐車場があります。
museum as it is
千葉県長生郡長南町岩撫41
10:30-16:00 入館料800円 土日のみ開館(当面)