解体の危機にあった丹下健三の建築ですが、市民の惜しむ声に後押しされて?おそらく保存されることになったであろう建築です。
丹下健三の建築では、香川県の「船の体育館」こと旧香川県立体育館(高松市)が、県から解体決定が発表されたものの、その時期は明らかになっていません。
クウェート大使館も老朽化を理由に一度は解体が発表されました。その当初の発表によると建て替え工事は2018年に着手し、2020年には新しい大使館が完成する予定でした。
しかし、2024年現在ちゃんと丹下健三の建築は残っているのでこの建て替え計画は白紙に戻ったということなのでしょう。
PRクウェート大使館
1970年に丹下健三によって設計された駐日クウェート大使館は、地下2階・地上7階・塔屋2階、高さ25.4m、延べ面積4,137㎡の大使館です。
アメリカやロシア大使館など大国の大使館と比較するとそれほど巨大な建築ではありませんが、ビルの1室が大使館という国もあることを考えると、独立した建築丸ごと大使館ですから、大きい方と言えるでしょう。
都営地下鉄三田線の三田駅から徒歩で約10分ほどの聖坂という長い坂の途中にあります。向かい側は三田の再開発が進んでいて、その再開発地区に該当するため、移動せざるを得ないあのコンクリート建築「蟻鱒鳶ル」があります。
私は聖坂に行く時は蟻鱒鳶ルとクウェート大使館を必ずチェックすることにしています。
丹下健三設計
丹下健三と言えば、このブログでもいくつか紹介している建築があります。世界を股にかけて活躍した最初の日本人建築家と言っても過言ではありません。
日本人として、さらにアジア人として最初にプリツカー賞を受賞したのも丹下健三です。
また、後進の育成にも定評があり、丹下健三が主宰する丹下都市建築設計からは磯崎新、黒川紀章、槇文彦、谷口吉生など今日の建築業界になくてはならない建築家のレジェンド達を多数輩出しています。
クウェート大使館の外観
聖坂で一際目立つ存在です。超素人な表現をするとジグザグな形の建物です。
フロアとフロアの間には空間があり、テラスになっていたりベランダのようになっていて、なんとも気持ちの良さそうなつくりなんです。
▲大使館という性格上、その門は固く閉じられていて、一般人には、その柵の向こうはそのまんな異国なのです。
現在(2024年)もちゃんとクウェート国旗がたなびいており、大使館として機能していることがわかります。
国旗が掲揚されているテラスには折り返しの階段があったりして、是非是非この目でその空間を確かめてみたいものですね。
建物の屋内でステップフロアになっているのはよく目にしますが、この建築は屋内外でステップフロアになっており、一体内部はどんな何だろうと想像を掻き立てられます。
内部の様子は丹下都市建築設計の公式HPで竣工時の様子が見られます。現在の内部はどんな感じなのでしょうね。いつか見てみたいなぁ!
建築の真ん中にポッカリと空いた空間からはどんな景色が見られるのでしょうか。
毎年港区では区内の大使館を訪問できるイベントを開催していてクウェート大使館も参加することがあるのです。その機会を狙うのが一番良い気がしています。
▲聖坂の上からの様子です。写真だとぎりぎり見えませんが、東京タワーがその先には見えるんです。大使館の屋上からはくっきりと芝公園方面の東京タワーが見えるはずです。
▲これは2022年の写真なのですが、再開発の途中段階では芝桜の名所三田の住友不動産ツインビルからもクウェート大使館が見えた時期がありました。期間限定の眺めでしたね。
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今後の駐日クウェート大使館建築
おそらくですが、建て替えではなく別の場所に新しい駐日クウェート大使館が建つ予定なのではないかと推測されます。(あくまで推測です)この件について駐日クウェート大使館からは何の発表もありません(2024年7月現在)
おそらく新大使館が建設される予定地はこの場所なのではないだろうかという土地もあるのですが、まだ正式発表になってませんのでここに書くのは控えておきます。
そうなるとこの建築はどうなるのか?という素朴な疑問が湧いてきます。はっきり言って私には全くわかりません。
しかし、解体されずにこれから先も継承され続けるのであれば、どんな用途になったとしてもいいのですが、願わくば一般人も入れるような施設になってくれたら嬉しいですね。
基本情報
駐日クウェート大使館
港区三田4丁目13−12MAP |